JOURNAL

小林和人×幅允孝 1周年記念対談 vol.1 編集するということ

小林和人×幅允孝 1周年記念対談 vol.1 編集するということ

2022/12/12

LOST AND FOUND旗艦店オープン1周年を記念して、プロダクトセレクターを務める小林和人さん(Roundabout, OUTBOUND オーナー)と、彼がラブコールを送ったBACH代表・幅允孝さんの対談が実現しました。 本を選ぶだけではないブックディレクターという仕事 小林さん:幅くんとはデザイン野郎の集いで会ったりしていますよね。幅さん:長い付き合いですね、小林くんとは。あまり仕事はご一緒しないんですけど、酒席でよく会うんですよ。小林さん:そうそう。楽しい場では会ってるんですけど、こういう場はあまりないですね。幅さん:酔って歌ってない和人を見たのは久しぶり。いつも『QUEEN』を裏声で熱唱してるんで(笑)。小林さん:コロナ禍でブランクあるんで、喉が閉じてきちゃってるかも(笑)!さて、幅くんは『ブックディレクター』として活躍していますが、どういった仕事なのでしょうか。幅さん:そうですね、ものすごく簡単に言うと図書館をつくる仕事をやっていまして、公共図書館から企業図書館、病院図書館まで。そこの、コンセプトと分類づくり、選書、配架、サイン計画や家具計画などをみることもあります。時間の奪い合いが激しい今、なかなか本を読んでもらえないじゃないですか。でもやっぱり本じゃないと伝わらないところってあるのではなかろうかと、個人的に思っていて。本を読むために『本を選ぶ』ということと、『読む環境を整える』つまり空間作りの両方を合わせた図書館作りが多いですね。小林さん:最近はどんな図書館を作りましたか?幅さん:9月1日にリニューアルした『神奈川県立図書館』を。実はまだ道半ばで。本館が新しくできたんですけど、ル・コルビュジエの愛弟子である前川 國男が1954年に初めて公共の図書館を作ったんです。その前川氏が作った公共図書館で今残ってるのは、国立国会図書館と神奈川県立図書館しかないんですよ。前川氏がつくった神奈川県立図書館を時代とともにちょっとずつ増床したり、少し強引に3階4階を作ったり。それで変わってしまったところをなるべくオリジナルの姿に戻し、現代の人に楽しんでもらえる場所として復活させるっていうプロジェクトを2026年にむかってやっていて、第一弾として、新しい本館はやりました。小林さん:E&Yの松澤 剛さんや二俣 公一さんが載っているデザイン誌の『AXIS』でプロジェクトについてのインタビュー記事を見ましたよ。幅さん:そうそう、その二人に家具を作ってもらって。昔って建築と家具が一体化していて、神奈川県立図書館も、前川氏の右腕だった水之江 忠臣さんという方が、図書館のために椅子をデザインした。で、それがリニューアルを繰り返して、今でもプロダクト化して残っているんです。そういう来歴を調べるほど、新しくできる本館も、今の日本のプロダクトデザイナーに図書館のための家具をデザインしてもらい、それが残り続けるような体制ができないだろうかって。それで先ほど話があったE&Y代表の松澤さんに相談したところ、中坊 壮介さんと二俣さんに、そのための椅子や机、ラウンジチェアを作ってもらって…。小林さん:場の歴史的文脈を継承していくということですね。幅さん:はい。話を本に戻すのであれば、昔だったら本なんてどこに置いていてもみんな読んでくれたのが、今は集中を阻むテクノロジーが沢山あるじゃないですか。3分集中するのも大変な世の中だから。時間の流れの遅い場所みたいなものを意図的に作らないと、人は読書に向かってくれないということで、読むための椅子だったり、ラウンジチェアを考えていきました。実際に二俣さんが作ったラウンジチェアが置いてある3階は、美術批評や芸術書など、深く潜って読むべき本がたくさん置いてある場所なんですけど、カーペットの毛足を長くして滞留時間をのばし、じっくり本を向かい合ってもらうとか。昔は『ブックディレクター』って本を選ぶだけの仕事という感じだったのが、本を読む周辺環境を整える、その本の差し出し方を考えるなども、仕事の範疇になってきています。おもしろいんだけれど、何屋さんかよくわからなくなってきている(笑)。小林さん:話をきくと、つくづく『編集』だなと思う。人がそこでどう過ごすか、それを実現するためにカーペットの毛足の長さひとつからね…。幅さん:違いますよね、毛足ひとつで。あと椅子の座面の高さと素材を変えるだけで全然違って、ちょっと読むためのスイッチを入れるというか。『本をいっぱい読みましょう』ってポスターを貼るよりは、気づいたら読んでいた、みたいな、そういう状況をどういうふうに作るかっていうのが大切です。 小林さんが幅さんにオススメするアイテム 汎用性の高いバイオプラスチックの買い物かご 小林さん:そんな仕事をしている幅くんですが!私はLOST AND FOUNDの商品セレクトを行なっていて、今回は幅くんにオススメのアイテムを3つ選んでみました。まずは『HINZA』というスウェーデン発のブランドのプラスチックバッグ(HINZA BAG)。脱プラに向かっているところで今なんでこれなのかっていうところなんですけど!幅さん:本当だよね。逆走だね。小林さん:実はこれ、サトウキビを原料としたバイオプラスチックが主原料なんですよ。そもそもは1950年代くらいまでスウェーデンの最王手のプラスチックメーカーが生産していて、買い物かごとして、また家で野菜を入れたりする家庭用で使われていたもの。60年代に使い捨ての時代になり、もう廃れちゃって、作られなくなってしまったんです。でもひ孫にあたる女性がパートナーの方と一緒に、2006年だったかな?復活させたもの。まさにLOST AND FOUNDだなって。幅さん:なんでこれが幅にオススメなんですか?小林さん:図書館に行くときにほら!幅さん:トートじゃダメなんですか(笑)?小林さん:トートはいいですよ。トートほど素晴らしいものはない!元々氷を入れる道具だったものに本を入れたりしているのだから、逆に買い物かごに本を入れるって、いいじゃないですか。幅さん:ただ正直言いますと、本は重いですよ!小林さん:大丈夫です。10kgまで耐えられます。アートディレクターの平林さんは、築地に買い物に行くときに使ってらっしゃるって。ドサっと入れても全く問題ないです。幅さん:確かにね、お魚とかの臭いがつかなそう。小林さん:そうそう、濡れたものも大丈夫ですし。家でお客さんが来たときにワインクーラーにもされているそうです。 巨匠がデザインした“無名性”ワインラック 小林さん:で、幅くんといえばワイン!幅さん:え、僕ワインというわけでは(笑)!お酒全般です。小林さん:ほら、荒木町の『HIBANA』っていうワインバーに連れていってもらったことがありましたよね。幅さん:名店ですね。小林さん:そうそう。そんなことを思い出しながら、おすすめしたいワインラック(REXITE CANTINA ワインラック)がありまして。12本収納できて連結もできるんですが、これ実は、エンツォ・マーリのデザインなんですよ。ぱっと見は“無名性”の塊のようにみえて、実はイタリアデザインの巨匠が手掛けているという意外性が面白いなと思って。エンツォ・マーリの仕事でまずこれを思い浮かべる人は極めて少ないと思うんだけど、敢えてそこに光を当てる。そのずらしがLOST AND FOUND的視点なんですよね。幅さん:エンツォ・マーリらしさでいうと、どのあたりにあると思う?小林さん:ひと言で言うと、哲学とロジックがこの“無名性”のなかに溶け込んでいるということなんじゃないかと。その意味では実はとてもエンツォ・マーリらしいプロダクトなのかもしれないです。そういえば、確かみすず書房から『プロジェクトとパッション』っていう…。幅さん:はい、素晴らしい本です。小林さん:エンツォ・マーリ先生のフィロソフィーに触れるべく、是非読みたいと思っていて。でも調べたらかなり高くなっちゃっていて!絶版になっちゃってるんですか?幅さん:今ね、どんどんリプリントをしなくなっちゃっているから。これは!っていうタイトルは値段の上がり方がすごい。特にハードカバーは高くて、『後から買おう』が、だんだん通用しない世の中になっていますね。本は早めに買った方がいいですよ。小林さん:そういうとき、図書館は助かるなと思っていて。幅さん:そうね、アーカイブズはやっぱりしっかりしてるからね。でもどういう本を紙束として手元に置いておき、どういう本をデジタルで…みたいな使い分けみたいなのに対して、多分人は意識的になってきていて。音楽とかもそうじゃないですか。なんでもSpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションで聞けるけど、この1枚はレコードで持っといて、自分で針を落として聴きたい、という心持ちと同じような考え方。この1冊は紙で近くに置いておいて、気が付いたときに読んでみるとかね。まぁ是非図書館で読んでいただいて、気に入ったら探してみてください。近くに置いておくと、安心して忘れられるんですよ。小林さん:逆説的だけど、まさに。幅さん:視界に入ってるって、実はすごい安心する。いつも読むわけではないんだけど、あーこの本そういえば、ってね。小林さん:そうそう、幅くんが前に発言してた言葉ですごく印象的だったのが、『本は遅効性のメディアである』っていう…。幅さん:よく言いますね。今は即効性ばかりが求められていて。来週の月曜日の会議のためにとりあえず読んどくとか、1000円の本を2時間で読んだら1000円と2時間分の何かがほしいとか。そうせざるを得ないような世の中の流れはあるのかもしれないけど、本はどっちかというと、いつ芽が出るかわからない種まき的に、別に“何かのため”じゃなくて、無意味に読んでもいいっていうことも言っておかないと、どんどん堅苦しくなる。そういうことは昔から言ってましたね。 ガシガシ洗える“遅効性”布巾 小林さん:意味に規定されない価値っていうことだったり、いつかそれが逆に『こういう意味だったのか』って帰ってきたり。時間をかけて価値が醸成されていく、あるいは育っていく…そういう意味で、続いて『LIBECO』のベルギーリネンを使ったキッチンクロス(LIBECO キッチンクロス)をオススメします。いわゆる変哲も無い麻のクロスなんですが、時間をかけて使っていくととろみが増してね。幅さん:とろみ…布巾的“とろみ”とはなんですか。小林さん:落ち感というかね。繊維のハリからとろみへと変質していく感じ、手触りが変わっていくんですよ。もちろん僅かなハリは残りつつ、それの塩梅が絶妙なところで。。幅さん:遅効性布巾ですね(笑)。小林さん:(笑)いわゆるすぐ良さが発揮されるものとは違ったもので。幅さん:これは家でガシガシあらっていいの?乾燥機も許してくれる?小林さん:はい、ガシガシ洗って、乾燥機も使って大丈夫!幅さん:『LIBECO』、覚えておきます。おもしろいですね。さすがプロの目で集めてこられた物たちを堪能しました。――私たちの暮らしの中で、本を読むという行為が少なくなってきた昨今ですが、無意味に紙をめくる時間にしか得られないものはあり、そんな時間に連れて行ってくれるのが、幅さんの作る「図書館」という場です。それは、LOST...

小林和人×幅允孝 1周年記念対談 vol.1 編集するということ

2022/12/12

LOST AND FOUND旗艦店オープン1周年を記念して、プロダクトセレクターを務める小林和人さん(Roundabout, OUTBOUND オーナー)と、彼がラブコールを送ったBACH代表・幅允孝さんの対談が実現しました。 本を選ぶだけではないブックディレクターという仕事 小林さん:幅くんとはデザイン野郎の集いで会ったりしていますよね。幅さん:長い付き合いですね、小林くんとは。あまり仕事はご一緒しないんですけど、酒席でよく会うんですよ。小林さん:そうそう。楽しい場では会ってるんですけど、こういう場はあまりないですね。幅さん:酔って歌ってない和人を見たのは久しぶり。いつも『QUEEN』を裏声で熱唱してるんで(笑)。小林さん:コロナ禍でブランクあるんで、喉が閉じてきちゃってるかも(笑)!さて、幅くんは『ブックディレクター』として活躍していますが、どういった仕事なのでしょうか。幅さん:そうですね、ものすごく簡単に言うと図書館をつくる仕事をやっていまして、公共図書館から企業図書館、病院図書館まで。そこの、コンセプトと分類づくり、選書、配架、サイン計画や家具計画などをみることもあります。時間の奪い合いが激しい今、なかなか本を読んでもらえないじゃないですか。でもやっぱり本じゃないと伝わらないところってあるのではなかろうかと、個人的に思っていて。本を読むために『本を選ぶ』ということと、『読む環境を整える』つまり空間作りの両方を合わせた図書館作りが多いですね。小林さん:最近はどんな図書館を作りましたか?幅さん:9月1日にリニューアルした『神奈川県立図書館』を。実はまだ道半ばで。本館が新しくできたんですけど、ル・コルビュジエの愛弟子である前川 國男が1954年に初めて公共の図書館を作ったんです。その前川氏が作った公共図書館で今残ってるのは、国立国会図書館と神奈川県立図書館しかないんですよ。前川氏がつくった神奈川県立図書館を時代とともにちょっとずつ増床したり、少し強引に3階4階を作ったり。それで変わってしまったところをなるべくオリジナルの姿に戻し、現代の人に楽しんでもらえる場所として復活させるっていうプロジェクトを2026年にむかってやっていて、第一弾として、新しい本館はやりました。小林さん:E&Yの松澤 剛さんや二俣 公一さんが載っているデザイン誌の『AXIS』でプロジェクトについてのインタビュー記事を見ましたよ。幅さん:そうそう、その二人に家具を作ってもらって。昔って建築と家具が一体化していて、神奈川県立図書館も、前川氏の右腕だった水之江 忠臣さんという方が、図書館のために椅子をデザインした。で、それがリニューアルを繰り返して、今でもプロダクト化して残っているんです。そういう来歴を調べるほど、新しくできる本館も、今の日本のプロダクトデザイナーに図書館のための家具をデザインしてもらい、それが残り続けるような体制ができないだろうかって。それで先ほど話があったE&Y代表の松澤さんに相談したところ、中坊 壮介さんと二俣さんに、そのための椅子や机、ラウンジチェアを作ってもらって…。小林さん:場の歴史的文脈を継承していくということですね。幅さん:はい。話を本に戻すのであれば、昔だったら本なんてどこに置いていてもみんな読んでくれたのが、今は集中を阻むテクノロジーが沢山あるじゃないですか。3分集中するのも大変な世の中だから。時間の流れの遅い場所みたいなものを意図的に作らないと、人は読書に向かってくれないということで、読むための椅子だったり、ラウンジチェアを考えていきました。実際に二俣さんが作ったラウンジチェアが置いてある3階は、美術批評や芸術書など、深く潜って読むべき本がたくさん置いてある場所なんですけど、カーペットの毛足を長くして滞留時間をのばし、じっくり本を向かい合ってもらうとか。昔は『ブックディレクター』って本を選ぶだけの仕事という感じだったのが、本を読む周辺環境を整える、その本の差し出し方を考えるなども、仕事の範疇になってきています。おもしろいんだけれど、何屋さんかよくわからなくなってきている(笑)。小林さん:話をきくと、つくづく『編集』だなと思う。人がそこでどう過ごすか、それを実現するためにカーペットの毛足の長さひとつからね…。幅さん:違いますよね、毛足ひとつで。あと椅子の座面の高さと素材を変えるだけで全然違って、ちょっと読むためのスイッチを入れるというか。『本をいっぱい読みましょう』ってポスターを貼るよりは、気づいたら読んでいた、みたいな、そういう状況をどういうふうに作るかっていうのが大切です。 小林さんが幅さんにオススメするアイテム 汎用性の高いバイオプラスチックの買い物かご 小林さん:そんな仕事をしている幅くんですが!私はLOST AND FOUNDの商品セレクトを行なっていて、今回は幅くんにオススメのアイテムを3つ選んでみました。まずは『HINZA』というスウェーデン発のブランドのプラスチックバッグ(HINZA BAG)。脱プラに向かっているところで今なんでこれなのかっていうところなんですけど!幅さん:本当だよね。逆走だね。小林さん:実はこれ、サトウキビを原料としたバイオプラスチックが主原料なんですよ。そもそもは1950年代くらいまでスウェーデンの最王手のプラスチックメーカーが生産していて、買い物かごとして、また家で野菜を入れたりする家庭用で使われていたもの。60年代に使い捨ての時代になり、もう廃れちゃって、作られなくなってしまったんです。でもひ孫にあたる女性がパートナーの方と一緒に、2006年だったかな?復活させたもの。まさにLOST AND FOUNDだなって。幅さん:なんでこれが幅にオススメなんですか?小林さん:図書館に行くときにほら!幅さん:トートじゃダメなんですか(笑)?小林さん:トートはいいですよ。トートほど素晴らしいものはない!元々氷を入れる道具だったものに本を入れたりしているのだから、逆に買い物かごに本を入れるって、いいじゃないですか。幅さん:ただ正直言いますと、本は重いですよ!小林さん:大丈夫です。10kgまで耐えられます。アートディレクターの平林さんは、築地に買い物に行くときに使ってらっしゃるって。ドサっと入れても全く問題ないです。幅さん:確かにね、お魚とかの臭いがつかなそう。小林さん:そうそう、濡れたものも大丈夫ですし。家でお客さんが来たときにワインクーラーにもされているそうです。 巨匠がデザインした“無名性”ワインラック 小林さん:で、幅くんといえばワイン!幅さん:え、僕ワインというわけでは(笑)!お酒全般です。小林さん:ほら、荒木町の『HIBANA』っていうワインバーに連れていってもらったことがありましたよね。幅さん:名店ですね。小林さん:そうそう。そんなことを思い出しながら、おすすめしたいワインラック(REXITE CANTINA ワインラック)がありまして。12本収納できて連結もできるんですが、これ実は、エンツォ・マーリのデザインなんですよ。ぱっと見は“無名性”の塊のようにみえて、実はイタリアデザインの巨匠が手掛けているという意外性が面白いなと思って。エンツォ・マーリの仕事でまずこれを思い浮かべる人は極めて少ないと思うんだけど、敢えてそこに光を当てる。そのずらしがLOST AND FOUND的視点なんですよね。幅さん:エンツォ・マーリらしさでいうと、どのあたりにあると思う?小林さん:ひと言で言うと、哲学とロジックがこの“無名性”のなかに溶け込んでいるということなんじゃないかと。その意味では実はとてもエンツォ・マーリらしいプロダクトなのかもしれないです。そういえば、確かみすず書房から『プロジェクトとパッション』っていう…。幅さん:はい、素晴らしい本です。小林さん:エンツォ・マーリ先生のフィロソフィーに触れるべく、是非読みたいと思っていて。でも調べたらかなり高くなっちゃっていて!絶版になっちゃってるんですか?幅さん:今ね、どんどんリプリントをしなくなっちゃっているから。これは!っていうタイトルは値段の上がり方がすごい。特にハードカバーは高くて、『後から買おう』が、だんだん通用しない世の中になっていますね。本は早めに買った方がいいですよ。小林さん:そういうとき、図書館は助かるなと思っていて。幅さん:そうね、アーカイブズはやっぱりしっかりしてるからね。でもどういう本を紙束として手元に置いておき、どういう本をデジタルで…みたいな使い分けみたいなのに対して、多分人は意識的になってきていて。音楽とかもそうじゃないですか。なんでもSpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションで聞けるけど、この1枚はレコードで持っといて、自分で針を落として聴きたい、という心持ちと同じような考え方。この1冊は紙で近くに置いておいて、気が付いたときに読んでみるとかね。まぁ是非図書館で読んでいただいて、気に入ったら探してみてください。近くに置いておくと、安心して忘れられるんですよ。小林さん:逆説的だけど、まさに。幅さん:視界に入ってるって、実はすごい安心する。いつも読むわけではないんだけど、あーこの本そういえば、ってね。小林さん:そうそう、幅くんが前に発言してた言葉ですごく印象的だったのが、『本は遅効性のメディアである』っていう…。幅さん:よく言いますね。今は即効性ばかりが求められていて。来週の月曜日の会議のためにとりあえず読んどくとか、1000円の本を2時間で読んだら1000円と2時間分の何かがほしいとか。そうせざるを得ないような世の中の流れはあるのかもしれないけど、本はどっちかというと、いつ芽が出るかわからない種まき的に、別に“何かのため”じゃなくて、無意味に読んでもいいっていうことも言っておかないと、どんどん堅苦しくなる。そういうことは昔から言ってましたね。 ガシガシ洗える“遅効性”布巾 小林さん:意味に規定されない価値っていうことだったり、いつかそれが逆に『こういう意味だったのか』って帰ってきたり。時間をかけて価値が醸成されていく、あるいは育っていく…そういう意味で、続いて『LIBECO』のベルギーリネンを使ったキッチンクロス(LIBECO キッチンクロス)をオススメします。いわゆる変哲も無い麻のクロスなんですが、時間をかけて使っていくととろみが増してね。幅さん:とろみ…布巾的“とろみ”とはなんですか。小林さん:落ち感というかね。繊維のハリからとろみへと変質していく感じ、手触りが変わっていくんですよ。もちろん僅かなハリは残りつつ、それの塩梅が絶妙なところで。。幅さん:遅効性布巾ですね(笑)。小林さん:(笑)いわゆるすぐ良さが発揮されるものとは違ったもので。幅さん:これは家でガシガシあらっていいの?乾燥機も許してくれる?小林さん:はい、ガシガシ洗って、乾燥機も使って大丈夫!幅さん:『LIBECO』、覚えておきます。おもしろいですね。さすがプロの目で集めてこられた物たちを堪能しました。――私たちの暮らしの中で、本を読むという行為が少なくなってきた昨今ですが、無意味に紙をめくる時間にしか得られないものはあり、そんな時間に連れて行ってくれるのが、幅さんの作る「図書館」という場です。それは、LOST...

セレクター 小林和人氏が選ぶ、LOST AND FOUNDなホリデーギフト

セレクター 小林和人氏が選ぶ、LOST AND FOUNDなホリデーギフト

2022/12/01

ホリデーシーズンがやってきました。LOST AND FOUND の長く愛用できる日用品は、贈る人も受け取る人も、記憶に残るギフトになるはず。セレクター小林和人さんに、テーマ別にギフトセットをセレクトいただきLOST AND FOUNDのオリジナルギフト巾着袋でラッピング。お世話になった方や大切な人を思い浮かべながらギフト選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。 RECOMMEND SET - TABLE - 小林さん:理化学医療用の耐熱ガラス製品メーカーとしての蓄積が息づいている、小泉硝子製作所のhoyapotは、職人による手吹きというところも魅力です。セットに選んだのはニッコーのボーンチャイナで復刻された柳宗理のコーヒーカップ&ソーサー。どちらも100年以上もの間、日本で物づくりを続けるメーカーによる製品です。 小泉硝子製作所 hoyapot 革ホルダーセット ¥7,150 IF YOU CARE 無漂白コーヒーフィルター No.2 100枚入り (1〜2杯用) ¥660 LOST AND FOUND ギフトバッグ (M) ¥440...

セレクター 小林和人氏が選ぶ、LOST AND FOUNDなホリデーギフト

2022/12/01

ホリデーシーズンがやってきました。LOST AND FOUND の長く愛用できる日用品は、贈る人も受け取る人も、記憶に残るギフトになるはず。セレクター小林和人さんに、テーマ別にギフトセットをセレクトいただきLOST AND FOUNDのオリジナルギフト巾着袋でラッピング。お世話になった方や大切な人を思い浮かべながらギフト選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。 RECOMMEND SET - TABLE - 小林さん:理化学医療用の耐熱ガラス製品メーカーとしての蓄積が息づいている、小泉硝子製作所のhoyapotは、職人による手吹きというところも魅力です。セットに選んだのはニッコーのボーンチャイナで復刻された柳宗理のコーヒーカップ&ソーサー。どちらも100年以上もの間、日本で物づくりを続けるメーカーによる製品です。 小泉硝子製作所 hoyapot 革ホルダーセット ¥7,150 IF YOU CARE 無漂白コーヒーフィルター No.2 100枚入り (1〜2杯用) ¥660 LOST AND FOUND ギフトバッグ (M) ¥440...

NO CODE米澤文雄シェフ 『BONEARTH®』で育てられた「簡単キャベツのカルボナーラ」 クッキング・ライブレポート

NO CODE米澤文雄シェフ 『BONEARTH®』で育てられた「簡単キャベツのカルボナーラ」...

2022/11/24

食器をリサイクルした肥料『BONEARTH ®(ボナース)』を使い育てられたトウモロコシをたっぷり使用した夏のご馳走クッキングライブに続き、今回はNO CODEの米澤文雄シェフをお迎えして、同じく『BONEARTH®』で育てられた石川県産のキャベツのクッキングライブを行いました。今年は雨が多く、キャベツの栽培にとって厳しい気候となりました。うまく育たなかった産地もあったそうですが、ニッコーの本社近くの、石川県白山市の中本農園産では2ヶ月半で大きくしっかりと甘みのあるキャベツを収穫することができました。 今回のメニューは「キャベツの簡単カルボナーラ」。パスタよりキャベツの方が量が多い!キャベツをたくさん食べるためのヘルシーなレシピをお届けします。 米澤文雄 1980年東京都出身。22歳単身ニューヨークへ行き、「Jean-Georges」にて、日本人初のスーシェフとなる。 帰国後、有名店でエグゼクティブ・シェフなどを経て、2014年「Jean-Georges Tokyo」オープン時より、シェフ・ド・キュイジーヌに。 2018年、南青山に自身のプロデュースでサステナブル・グリルレストラン「The Burn」をオープン。最近ではジャンルレスに「食」の事業を展開する新会社NO CODEを設立し、代表を務める。月に数回オープンするレストランNO CODEも営業中。主な著書に「Vegan Recipes/ヴィーガン・レシピ」(柴田書店)がある。  (材料:2人分)・キャベツ1/2個・ベーコン 30-40g・リングイネ 50-60g・オリーブオイル・玉ねぎ 1/2個・ニンニク 1かけ・生クリーム. 100cc程度・卵黄 1個・バター 20g程度・粉チーズ お好みの分量・塩胡椒 ① 大きめの鍋にたっぷり水とそれに応じた塩を入れ、沸騰したらパスタ(今回、米澤シェフのオススメはリングイネ!)を入れ、表示通りの時間茹でる。② キャベツは芯を取り除き、玉ねぎは皮をむき、ざっくりした千切りにする。③ フライパンにオリーブオイルとバターを入れ、そこにニンニクを入れ、少ししてから玉ねぎを入れる。少し塩をして弱火から中火で甘みを出すようにじっくりと炒める。 ④ ベーコンを細めに切り、フライパンに加えて炒める。少ししたら生クリームを入れ煮詰めていく。 ⑤ 生クリームが煮詰まったところにキャベツを入れ、火を強め、塩を少々振り、パスタの茹で汁を少しずつ加え混ぜ合わせる。⑥ キャベツがしんなりとし、緑色が鮮やかになったところで、①の茹で上がったパスタと混ぜ合わせ器に盛り付け、真ん中に卵黄を落として出来上がり!最後にお好みで粉チーズと胡椒をかけ、全体を混ぜながら召し上がってください。...

NO CODE米澤文雄シェフ 『BONEARTH®』で育てられた「簡単キャベツのカルボナーラ」...

2022/11/24

食器をリサイクルした肥料『BONEARTH ®(ボナース)』を使い育てられたトウモロコシをたっぷり使用した夏のご馳走クッキングライブに続き、今回はNO CODEの米澤文雄シェフをお迎えして、同じく『BONEARTH®』で育てられた石川県産のキャベツのクッキングライブを行いました。今年は雨が多く、キャベツの栽培にとって厳しい気候となりました。うまく育たなかった産地もあったそうですが、ニッコーの本社近くの、石川県白山市の中本農園産では2ヶ月半で大きくしっかりと甘みのあるキャベツを収穫することができました。 今回のメニューは「キャベツの簡単カルボナーラ」。パスタよりキャベツの方が量が多い!キャベツをたくさん食べるためのヘルシーなレシピをお届けします。 米澤文雄 1980年東京都出身。22歳単身ニューヨークへ行き、「Jean-Georges」にて、日本人初のスーシェフとなる。 帰国後、有名店でエグゼクティブ・シェフなどを経て、2014年「Jean-Georges Tokyo」オープン時より、シェフ・ド・キュイジーヌに。 2018年、南青山に自身のプロデュースでサステナブル・グリルレストラン「The Burn」をオープン。最近ではジャンルレスに「食」の事業を展開する新会社NO CODEを設立し、代表を務める。月に数回オープンするレストランNO CODEも営業中。主な著書に「Vegan Recipes/ヴィーガン・レシピ」(柴田書店)がある。  (材料:2人分)・キャベツ1/2個・ベーコン 30-40g・リングイネ 50-60g・オリーブオイル・玉ねぎ 1/2個・ニンニク 1かけ・生クリーム. 100cc程度・卵黄 1個・バター 20g程度・粉チーズ お好みの分量・塩胡椒 ① 大きめの鍋にたっぷり水とそれに応じた塩を入れ、沸騰したらパスタ(今回、米澤シェフのオススメはリングイネ!)を入れ、表示通りの時間茹でる。② キャベツは芯を取り除き、玉ねぎは皮をむき、ざっくりした千切りにする。③ フライパンにオリーブオイルとバターを入れ、そこにニンニクを入れ、少ししてから玉ねぎを入れる。少し塩をして弱火から中火で甘みを出すようにじっくりと炒める。 ④ ベーコンを細めに切り、フライパンに加えて炒める。少ししたら生クリームを入れ煮詰めていく。 ⑤ 生クリームが煮詰まったところにキャベツを入れ、火を強め、塩を少々振り、パスタの茹で汁を少しずつ加え混ぜ合わせる。⑥ キャベツがしんなりとし、緑色が鮮やかになったところで、①の茹で上がったパスタと混ぜ合わせ器に盛り付け、真ん中に卵黄を落として出来上がり!最後にお好みで粉チーズと胡椒をかけ、全体を混ぜながら召し上がってください。...

オープン1周年企画 アートディレクター・平林 奈緒美さん×小林 和人さん 対談

オープン1周年企画 アートディレクター・平林 奈緒美さん×小林 和人さん 対談

2022/11/04

富ヶ谷の地にLOST AND FOUNDの旗艦店がオープンしてから1年。これを記念して立ち上がった企画が、「1st ANNIVERSARY BAZAAR」というマーケットイベントです。アートディレクターの平林 奈緒美さんと、プロダクトセレクターを務める小林 和人さん(Roundabout, OUTBOUND オーナー)の審美眼により、各地“忘れ物保管所”のデッドストックやユーズド品から大切なものを集めた“バザー”。お二人はどんなものを発掘したのでしょうか。 ――小林さんが選んだお店で、お二人揃っての買い付けはいかがでしたか?平林さん:すごく楽しかったです。こういうショップ巡り、毎月やりたいですね。小林さん:無作為にいろいろ集まってる場所っておもしろい。特に一箇所目は源泉掛け流し感があってよかったですよね。 平林さん:海外にはよくあるんですけど、日本のマーケットって既に誰かの視点で選ばれたものが並んでいて、ハズレもない代わりに発見もあまりない。小林さん:今回は“機械生産ならではの良さ”を感じるものを多く選びました。同一規格で積み上がっている感じが良いんですよね。手仕事のものの良さもありますが、規格品の整然とした“反復の美”みたいなものにも魅力を覚えます。 GYOZAVAT 平林さん:分かります。特にアメリカの業務用のものって、ちょっとした愛嬌がありますよね。これは日本のものですけど、(「GYOZAVAT」を指しながら)こういうのは可愛いですよね。小林さん:この文字に愛嬌があります。平林さん:書体もなんだか可愛らしいし。小林さん:このバットもエンボス(文字)のないものがあったんですけど、「GYOZAVAT」っていうのが、日本語の「餃子」として認識されない感じでいいんですよ。僕だったら、3台重ねて、「要返信」「ちょっと寝かせておく」「1週間たったら破棄」みたいな資料を整理したり。コピー用紙のストックにも良いかも。白い紙が積んであったら綺麗なんですよね。小林さん:買い付けで印象に残ってるのが、平林さんの見つけてきたものを見ると、なんか四角い形状のもの、箱が多いんですよね。平林さん:確かに。四角いもの、特に箱モノは好きかもです。小林さん:箱に弱い部分がありますね。 CAMBRO フードパン 平林さん:(CAMBRO フードパン を指しながら)これはウチに全部欲しいです。小林さん:平林さんだったら何を収納するんですか?平林さん:家にストックルームがあるんですけど、その棚にずらっと揃えて、マスクとかパスタとか…入れたいですね。――そういう時はラベルを作るんですか?平林さん:作りたいと思うんですけど、ちゃんとしたものを作るには覚悟がいるから、結局ポストイットに仮で書いたものをいつまでたっても貼ってあるっていうね…笑小林さん:それが格好良かったりしそうです。 ――平林さんは小林さんの買い付けで感じたことはありますか?平林さん:小林さんはやっぱりご自身でお店を持たれているから、いろんなバランスを考えてセレクトしてるな、と思いましたね。小林さん:このアイテムでカサ増ししておこうとか…いろいろ考えちゃいますね。 American Standard ソープトレイ 平林さん:私的に今回のイチオシは、小林さんが見つけたコレ(American Standard ソープトレイ)なんですよね。小林さん:嬉しい!平林さん:アメリカンスタンダードの、陶器のバスルームのシェルフ。歯磨きを置いて、石鹸はベタッとつかないように置ける。 こういうの、家のリノベーションをしたときに結構探したんですよ。でもこんな綺麗なデッドストックはなかなかなくて。今の時代に作っていても全然いいと思うデザインなのに。 小林さん:逆に今は例えば抗菌仕様のものとか…機能性ばかりを追い求めて、情緒的な部分がなくなっていますね。平林さん:逆に変にソリッドでオシャレにしちゃったりして。小林さん:妙に作り手の自意識が染み込んだ感じが鬱陶しかったりするんですよね。見られていることを意識していない業務用のものなんかは素っ気なさが肝なんですけどね。 TANITA はかり 平林さん:そういう意味で、この「タニタ」の測り(TANITA...

オープン1周年企画 アートディレクター・平林 奈緒美さん×小林 和人さん 対談

2022/11/04

富ヶ谷の地にLOST AND FOUNDの旗艦店がオープンしてから1年。これを記念して立ち上がった企画が、「1st ANNIVERSARY BAZAAR」というマーケットイベントです。アートディレクターの平林 奈緒美さんと、プロダクトセレクターを務める小林 和人さん(Roundabout, OUTBOUND オーナー)の審美眼により、各地“忘れ物保管所”のデッドストックやユーズド品から大切なものを集めた“バザー”。お二人はどんなものを発掘したのでしょうか。 ――小林さんが選んだお店で、お二人揃っての買い付けはいかがでしたか?平林さん:すごく楽しかったです。こういうショップ巡り、毎月やりたいですね。小林さん:無作為にいろいろ集まってる場所っておもしろい。特に一箇所目は源泉掛け流し感があってよかったですよね。 平林さん:海外にはよくあるんですけど、日本のマーケットって既に誰かの視点で選ばれたものが並んでいて、ハズレもない代わりに発見もあまりない。小林さん:今回は“機械生産ならではの良さ”を感じるものを多く選びました。同一規格で積み上がっている感じが良いんですよね。手仕事のものの良さもありますが、規格品の整然とした“反復の美”みたいなものにも魅力を覚えます。 GYOZAVAT 平林さん:分かります。特にアメリカの業務用のものって、ちょっとした愛嬌がありますよね。これは日本のものですけど、(「GYOZAVAT」を指しながら)こういうのは可愛いですよね。小林さん:この文字に愛嬌があります。平林さん:書体もなんだか可愛らしいし。小林さん:このバットもエンボス(文字)のないものがあったんですけど、「GYOZAVAT」っていうのが、日本語の「餃子」として認識されない感じでいいんですよ。僕だったら、3台重ねて、「要返信」「ちょっと寝かせておく」「1週間たったら破棄」みたいな資料を整理したり。コピー用紙のストックにも良いかも。白い紙が積んであったら綺麗なんですよね。小林さん:買い付けで印象に残ってるのが、平林さんの見つけてきたものを見ると、なんか四角い形状のもの、箱が多いんですよね。平林さん:確かに。四角いもの、特に箱モノは好きかもです。小林さん:箱に弱い部分がありますね。 CAMBRO フードパン 平林さん:(CAMBRO フードパン を指しながら)これはウチに全部欲しいです。小林さん:平林さんだったら何を収納するんですか?平林さん:家にストックルームがあるんですけど、その棚にずらっと揃えて、マスクとかパスタとか…入れたいですね。――そういう時はラベルを作るんですか?平林さん:作りたいと思うんですけど、ちゃんとしたものを作るには覚悟がいるから、結局ポストイットに仮で書いたものをいつまでたっても貼ってあるっていうね…笑小林さん:それが格好良かったりしそうです。 ――平林さんは小林さんの買い付けで感じたことはありますか?平林さん:小林さんはやっぱりご自身でお店を持たれているから、いろんなバランスを考えてセレクトしてるな、と思いましたね。小林さん:このアイテムでカサ増ししておこうとか…いろいろ考えちゃいますね。 American Standard ソープトレイ 平林さん:私的に今回のイチオシは、小林さんが見つけたコレ(American Standard ソープトレイ)なんですよね。小林さん:嬉しい!平林さん:アメリカンスタンダードの、陶器のバスルームのシェルフ。歯磨きを置いて、石鹸はベタッとつかないように置ける。 こういうの、家のリノベーションをしたときに結構探したんですよ。でもこんな綺麗なデッドストックはなかなかなくて。今の時代に作っていても全然いいと思うデザインなのに。 小林さん:逆に今は例えば抗菌仕様のものとか…機能性ばかりを追い求めて、情緒的な部分がなくなっていますね。平林さん:逆に変にソリッドでオシャレにしちゃったりして。小林さん:妙に作り手の自意識が染み込んだ感じが鬱陶しかったりするんですよね。見られていることを意識していない業務用のものなんかは素っ気なさが肝なんですけどね。 TANITA はかり 平林さん:そういう意味で、この「タニタ」の測り(TANITA...

〜真っ白な器を自分色に染める〜 お皿の絵付け体験レポート

〜真っ白な器を自分色に染める〜 お皿の絵付け体験レポート

2022/10/04

真っ白な器をキャンバスにしたら、あなたは、何色でどんな模様を描きますか?LOST AND FOUNDで、お皿の絵付け体験ができるワークショップを行いました。使用したのは、とりわけ美しい白さの器「REMASTERED」。細部にまでこだわりが詰め込まれた、飽きのこないデザインと丈夫さが大人気のアイテムです。まずは想像を巡らせることからスタート。何を食べるためのお皿にしようか…などと考える方もいました。いえ、何も考えずに器の色のように真っ白な状態で筆をとってみるのも良いかもしれません。 10色ほどの専用上絵の具を筆にとり、色と色を混ぜながらたったひとつの自分色を作っていくのが何とも贅沢。 さぁ、いよいよ筆をお皿にのせる、一番緊張する瞬間です。と言っても、失敗したらティッシュや綿棒でサッとひと拭きすれば、また真っ白なキャンバスに戻るので、ここは大胆に筆を入れてOK。 お子さんも気兼ねなく自由に描くことができました。表面はもちろん、裏面に描く方、サインを入れる方もいましたよ。色を重ねたりしながら、段々と見えてくる全貌にワクワク。大好きな植物、愛するペット、大切な言葉…何を描くかは自分次第。描いた器は石川県にあるNIKKOの工場で焼き付けられ、後日送られてきます。とっておきの1枚の完成が待ち遠しいばかり。自分のためはもちろん、ギフトにしても良いかもしれませんね。描く時間、完成を待つ時間、料理を盛り付ける時間、食事を楽しむ時間…日常に、そっと鮮やかな色が加わったような気持ちを味わえるはず。こんな貴重な体験ができるワークショップが10月8日にも開催されることになりました。知らなかった自分の才能に驚いてしまうかも!?一日限りの特別ワークショップをお見逃しなく。 詳細とご予約はコチラから!

〜真っ白な器を自分色に染める〜 お皿の絵付け体験レポート

2022/10/04

真っ白な器をキャンバスにしたら、あなたは、何色でどんな模様を描きますか?LOST AND FOUNDで、お皿の絵付け体験ができるワークショップを行いました。使用したのは、とりわけ美しい白さの器「REMASTERED」。細部にまでこだわりが詰め込まれた、飽きのこないデザインと丈夫さが大人気のアイテムです。まずは想像を巡らせることからスタート。何を食べるためのお皿にしようか…などと考える方もいました。いえ、何も考えずに器の色のように真っ白な状態で筆をとってみるのも良いかもしれません。 10色ほどの専用上絵の具を筆にとり、色と色を混ぜながらたったひとつの自分色を作っていくのが何とも贅沢。 さぁ、いよいよ筆をお皿にのせる、一番緊張する瞬間です。と言っても、失敗したらティッシュや綿棒でサッとひと拭きすれば、また真っ白なキャンバスに戻るので、ここは大胆に筆を入れてOK。 お子さんも気兼ねなく自由に描くことができました。表面はもちろん、裏面に描く方、サインを入れる方もいましたよ。色を重ねたりしながら、段々と見えてくる全貌にワクワク。大好きな植物、愛するペット、大切な言葉…何を描くかは自分次第。描いた器は石川県にあるNIKKOの工場で焼き付けられ、後日送られてきます。とっておきの1枚の完成が待ち遠しいばかり。自分のためはもちろん、ギフトにしても良いかもしれませんね。描く時間、完成を待つ時間、料理を盛り付ける時間、食事を楽しむ時間…日常に、そっと鮮やかな色が加わったような気持ちを味わえるはず。こんな貴重な体験ができるワークショップが10月8日にも開催されることになりました。知らなかった自分の才能に驚いてしまうかも!?一日限りの特別ワークショップをお見逃しなく。 詳細とご予約はコチラから!

小林和人が選んだもの 「ゴミ箱の話」

小林和人が選んだもの 「ゴミ箱の話」

2022/08/26

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、ちょうど良いデザインの「ゴミ箱」についてです。 使っている意識がないくらいの存在感 小林さん:ゴミ箱には、自分の仕事を淡々と、粛々とこなしてくれれば良いと思っています。こういうものが必要以上にスタイリッシュだと気恥ずかしくて(笑)。余計な主張が前に出過ぎていても結局飽きちゃうし、毎日目に入るものなのでそっけないくらいが良いんじゃないかと思います。使っている意識がないくらいの存在感。 そんな目線で紹介したいのが3種のゴミ箱です。どれもドイツ製。ドイツ=質実剛健というのは紋切り型ではありつつも、結局そうだなと思いますね。 灰皿のようなゴミ箱 小林さん:まずは『DURABLE』の消火蓋付きのステンレスゴミ箱です。名前のとおり、“丈夫な”という意味を持つブランド。 外形に比べて内側の穴の径が小さく、傾斜がついています。もし燃えているものが入っちゃったとしても、中で空気がうまく対流して自動的に酸欠状態に。灰皿でもこの形があるのは、同じような考えがあるのかもしれません。僕ならオフィスか、耐久性のあるステンレスで錆びたりする心配はないので洗面所やキッチンでも使いたいですね。 気遣い上手なゴミ箱 小林さん:次は『HAILO』のフットペタル式のゴミ箱です。踏みやすいフットペタルで蓋が開き、そしてゴミを捨てた後は蓋がゆっくり閉まるという気遣い。そっけないふりをしておいて、気遣い上手なんですよね。そういう人でありたいなと思います(笑)。ドレッサーの下に使いたい。サイズが大きいものはオムツ用にも!」 真四角なゴミ箱 小林さん:同じく『HAILO』の大きいサイズのゴミ箱。我が家では壁が白いので、真っ白なボディのものを使っています。白でも上のパーツが黒いのでメリハリがあり、ほっこりしすぎないんです。そしてここまで真四角なものってあまりないんですよね。 内開きの蓋は軽く触れるくらいでスムーズに開きます。要注意事項としては、例えばゴミ箱の上にかかったタオルが知らない間に落ちると、音もなく静かにサッと入ってしまうこと。スムーズすぎて物が消えてしまうことも(笑)! ゴミ箱を使わない日はない。毎日使うものにどんなことを求めるのか……“使っている意識がないくらいの存在感でありながら、気遣い上手な一面を持っている”そんな目線で、ゴミ箱はもちろん、日々をともに過ごす日用品がずらりと並ぶLOST AND FOUNDでの物選びを楽しんでいただきたい。 <記事内紹介商品> DURABLE Basket Stainless 15 ¥9,900 Hailo ハイロ ピュア S 3.0L ¥12,100...

小林和人が選んだもの 「ゴミ箱の話」

2022/08/26

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、ちょうど良いデザインの「ゴミ箱」についてです。 使っている意識がないくらいの存在感 小林さん:ゴミ箱には、自分の仕事を淡々と、粛々とこなしてくれれば良いと思っています。こういうものが必要以上にスタイリッシュだと気恥ずかしくて(笑)。余計な主張が前に出過ぎていても結局飽きちゃうし、毎日目に入るものなのでそっけないくらいが良いんじゃないかと思います。使っている意識がないくらいの存在感。 そんな目線で紹介したいのが3種のゴミ箱です。どれもドイツ製。ドイツ=質実剛健というのは紋切り型ではありつつも、結局そうだなと思いますね。 灰皿のようなゴミ箱 小林さん:まずは『DURABLE』の消火蓋付きのステンレスゴミ箱です。名前のとおり、“丈夫な”という意味を持つブランド。 外形に比べて内側の穴の径が小さく、傾斜がついています。もし燃えているものが入っちゃったとしても、中で空気がうまく対流して自動的に酸欠状態に。灰皿でもこの形があるのは、同じような考えがあるのかもしれません。僕ならオフィスか、耐久性のあるステンレスで錆びたりする心配はないので洗面所やキッチンでも使いたいですね。 気遣い上手なゴミ箱 小林さん:次は『HAILO』のフットペタル式のゴミ箱です。踏みやすいフットペタルで蓋が開き、そしてゴミを捨てた後は蓋がゆっくり閉まるという気遣い。そっけないふりをしておいて、気遣い上手なんですよね。そういう人でありたいなと思います(笑)。ドレッサーの下に使いたい。サイズが大きいものはオムツ用にも!」 真四角なゴミ箱 小林さん:同じく『HAILO』の大きいサイズのゴミ箱。我が家では壁が白いので、真っ白なボディのものを使っています。白でも上のパーツが黒いのでメリハリがあり、ほっこりしすぎないんです。そしてここまで真四角なものってあまりないんですよね。 内開きの蓋は軽く触れるくらいでスムーズに開きます。要注意事項としては、例えばゴミ箱の上にかかったタオルが知らない間に落ちると、音もなく静かにサッと入ってしまうこと。スムーズすぎて物が消えてしまうことも(笑)! ゴミ箱を使わない日はない。毎日使うものにどんなことを求めるのか……“使っている意識がないくらいの存在感でありながら、気遣い上手な一面を持っている”そんな目線で、ゴミ箱はもちろん、日々をともに過ごす日用品がずらりと並ぶLOST AND FOUNDでの物選びを楽しんでいただきたい。 <記事内紹介商品> DURABLE Basket Stainless 15 ¥9,900 Hailo ハイロ ピュア S 3.0L ¥12,100...