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LOST AND FOUNDオープン4周年企画 ESSENTIAL TOOLS 2025 平林 奈緒美さん×⼩林 和⼈さん 対談

LOST AND FOUNDオープン4周年企画 ESSENTIAL TOOLS 2025 平林...

LOST AND FOUNDでは、オープン4周年を記念して、プロユースの道具たちの価値を新たな角度で見つめ直すマーケットイベント「ESSENTIAL TOOLS 2025」を開催しています。日常では目に触れる機会が少ない、専門職の現場で使われるプロユースの道具たち。このESSENTIAL <=欠かせない、本質的>な存在を生活に取り込んだとき、利便性やデザイン性など、新たな角度でその価値を見つめ直すことができるのではないか。そんな視点でアートディレクター・平林奈緒美さんと、セレクター・小林和人さん(Roundabout, OUTBOUND オーナー)がアイテムを選びました。今回はお二人が選んだそれぞれの道具の魅力についてお話しいただきました。 プロユースの道具を深掘り。 小林さん:「オープン1周年企画として立ち上がり、大人気となったマーケットイベント「BAZAAR」で何度かチームで買い付けをするうち、ある程度掘り出し尽くしたと感じ始めてきました。そんな中で、企画とは関係なく平林さんがいつも国内外の業務ツールのサイトや商品カタログを見ていて、そのリサーチ習慣から見つけた日本未上陸のイタリアのテープカッターが話題になったんですよね」 平林さん:「テープカッターは何年も気にいるものを探していたんです。ついに見つけたものをインスタにアップしたりしていたのですが、気づいたら日本で取り扱われるようになっていて。業務用の素っ気ないデザインのものって魅力があるんだなと改めて思いました」 小林さん:「そこから、日常の暮らしではあまり目にしない業務用製品の魅力を伝えると楽しいのではないか、ということでこの企画が生まれたんでしたね」 小さなものの収納に、瓶シリーズ 小林さん:「こうして二人それぞれが選んだものを並べてみると、不思議と一体感がありますね。まず平林さんがガラス瓶を色々と探しているという話をされていたので、僕は赤いボトルキャリアを選んでみました。サイズがちょうどでしたね。調味料などの瓶ものを収納するのに便利ですし、例えば困りがちな掃除機の替ノズルの収納なんかにもいかがでしょうか。平林さんが選んだこの瓶は蓋の質感がいいですね!」 平林さん:「そうなんです。特に透明の蓋が良いなと思って。そして私的にはこの頭でっかちなフォルムとフタのリブのピッチがたまらないんですよね」 小林さん:「確かに、リブの幅やピッチは重要ですよね。今回、平林さんが選んだ瓶類はサイズによってまた印象が変わるのが興味深いです。牛乳瓶の飲み口の量感もいいなと改めて感じました。デスク周りのものを小分けするのにも使えそうです」 平林さん:「瓶って液体以外にも意外といろんなものに使えるなと思っていて。例えば海外に行くといまだに瓶入りのヨーグルトが普通に売っているんですが、そういった瓶も、クリップなどの小さなものを入れるのに便利だったりしますね」 用途選びが楽しい 真っ黒な「導電」シリーズ 小林さん:「そして何と言っても平林さんの黒い容器群。これらのものは『導電タイプ』と呼ばれているとは今回初めて知りましたが、こうやって揃うととてもいいですね」 平林さん:「静電気を嫌う電子部品等の搬送、保管に適した容器のことなんですが、このタイプは基本的に色が黒いんです。容器以外にもテープディスペンサーとかゴミ箱など色々なアイテムがあって、導電グッズだけでフェアができるんじゃないかと思っています」 小林さん:「タッパーだとここまで大きなものはなかなかないですしね。何をいれましょうか。やっぱり工具系でしょうか」 平林さん:「この0.9Lのサイズはトイレクイックルを入れるのにぴったりなんです」 小林さん:「なるほど〜!ぴったりですね。乾かないですし、これは究極のトイレクイックル入れですね」 平林さん:「少し大きな1.5Lタイプはコーヒーフィルターを入れて使っています。ボトルタイプの2Lは粉末の洗剤などを入れるのに便利。大きなタンクは災害時に水を運んだり、水を入れて使えばストッパーや錘にもなります」 小林さん:「流石!全てピンポイントで用途があるとは!2Lタイプの筒型はダンベル代わりにもいいんじゃないでしょうか。置いてあっても嫌じゃないし、コソッと筋トレしたい人へ(笑)。約10種類とサイズや形が様々にあるので、ぴったりの用途を考えるのが楽しそうですね」 暮らしに欠かせない、コンテナやツールボックス 平林さん:「小林さんがセレクトされたこのコンテナはキッチンのストックルームに置いて、お米とかパスタみたいなものを入れるのに良さそうですね」 小林さん:「なるほど!いわれてみれば確かに、食品系などにも使えそうですね」 小林さん:「このHAZETというドイツの工具メーカーのツールボックスもおすすめです。リモートワークの方が増えたと思うので、仕事道具など、パソコンの充電器も入れて家の中を移動できます」...

LOST AND FOUNDオープン4周年企画 ESSENTIAL TOOLS 2025 平林...

LOST AND FOUNDでは、オープン4周年を記念して、プロユースの道具たちの価値を新たな角度で見つめ直すマーケットイベント「ESSENTIAL TOOLS 2025」を開催しています。日常では目に触れる機会が少ない、専門職の現場で使われるプロユースの道具たち。このESSENTIAL <=欠かせない、本質的>な存在を生活に取り込んだとき、利便性やデザイン性など、新たな角度でその価値を見つめ直すことができるのではないか。そんな視点でアートディレクター・平林奈緒美さんと、セレクター・小林和人さん(Roundabout, OUTBOUND オーナー)がアイテムを選びました。今回はお二人が選んだそれぞれの道具の魅力についてお話しいただきました。 プロユースの道具を深掘り。 小林さん:「オープン1周年企画として立ち上がり、大人気となったマーケットイベント「BAZAAR」で何度かチームで買い付けをするうち、ある程度掘り出し尽くしたと感じ始めてきました。そんな中で、企画とは関係なく平林さんがいつも国内外の業務ツールのサイトや商品カタログを見ていて、そのリサーチ習慣から見つけた日本未上陸のイタリアのテープカッターが話題になったんですよね」 平林さん:「テープカッターは何年も気にいるものを探していたんです。ついに見つけたものをインスタにアップしたりしていたのですが、気づいたら日本で取り扱われるようになっていて。業務用の素っ気ないデザインのものって魅力があるんだなと改めて思いました」 小林さん:「そこから、日常の暮らしではあまり目にしない業務用製品の魅力を伝えると楽しいのではないか、ということでこの企画が生まれたんでしたね」 小さなものの収納に、瓶シリーズ 小林さん:「こうして二人それぞれが選んだものを並べてみると、不思議と一体感がありますね。まず平林さんがガラス瓶を色々と探しているという話をされていたので、僕は赤いボトルキャリアを選んでみました。サイズがちょうどでしたね。調味料などの瓶ものを収納するのに便利ですし、例えば困りがちな掃除機の替ノズルの収納なんかにもいかがでしょうか。平林さんが選んだこの瓶は蓋の質感がいいですね!」 平林さん:「そうなんです。特に透明の蓋が良いなと思って。そして私的にはこの頭でっかちなフォルムとフタのリブのピッチがたまらないんですよね」 小林さん:「確かに、リブの幅やピッチは重要ですよね。今回、平林さんが選んだ瓶類はサイズによってまた印象が変わるのが興味深いです。牛乳瓶の飲み口の量感もいいなと改めて感じました。デスク周りのものを小分けするのにも使えそうです」 平林さん:「瓶って液体以外にも意外といろんなものに使えるなと思っていて。例えば海外に行くといまだに瓶入りのヨーグルトが普通に売っているんですが、そういった瓶も、クリップなどの小さなものを入れるのに便利だったりしますね」 用途選びが楽しい 真っ黒な「導電」シリーズ 小林さん:「そして何と言っても平林さんの黒い容器群。これらのものは『導電タイプ』と呼ばれているとは今回初めて知りましたが、こうやって揃うととてもいいですね」 平林さん:「静電気を嫌う電子部品等の搬送、保管に適した容器のことなんですが、このタイプは基本的に色が黒いんです。容器以外にもテープディスペンサーとかゴミ箱など色々なアイテムがあって、導電グッズだけでフェアができるんじゃないかと思っています」 小林さん:「タッパーだとここまで大きなものはなかなかないですしね。何をいれましょうか。やっぱり工具系でしょうか」 平林さん:「この0.9Lのサイズはトイレクイックルを入れるのにぴったりなんです」 小林さん:「なるほど〜!ぴったりですね。乾かないですし、これは究極のトイレクイックル入れですね」 平林さん:「少し大きな1.5Lタイプはコーヒーフィルターを入れて使っています。ボトルタイプの2Lは粉末の洗剤などを入れるのに便利。大きなタンクは災害時に水を運んだり、水を入れて使えばストッパーや錘にもなります」 小林さん:「流石!全てピンポイントで用途があるとは!2Lタイプの筒型はダンベル代わりにもいいんじゃないでしょうか。置いてあっても嫌じゃないし、コソッと筋トレしたい人へ(笑)。約10種類とサイズや形が様々にあるので、ぴったりの用途を考えるのが楽しそうですね」 暮らしに欠かせない、コンテナやツールボックス 平林さん:「小林さんがセレクトされたこのコンテナはキッチンのストックルームに置いて、お米とかパスタみたいなものを入れるのに良さそうですね」 小林さん:「なるほど!いわれてみれば確かに、食品系などにも使えそうですね」 小林さん:「このHAZETというドイツの工具メーカーのツールボックスもおすすめです。リモートワークの方が増えたと思うので、仕事道具など、パソコンの充電器も入れて家の中を移動できます」...

小林和人が選んだもの 「ほうきの話」

小林和人が選んだもの 「ほうきの話」

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。今回小林さんが話してくれたのは、ほうきについてです。 ノーストレスな掃除用具 便利な装置がどんどん発達している現代に、そもそも何故ほうきなのかー。ほうきの優れた点は、“起動時間0秒”、握った瞬間に使えるところではないでしょうか。掃除機は大体しまってあるものなので、ちょっと掃除したいというときに引っ張り出すのが面倒。ほうきなら電源コードや充電、音のストレスからも解放されますよ(笑)。ほうきの毛はナイロンだと摩擦で丸まったりするので、自然素材を使ったものが好きです。スウェーデンの老舗ブラシブランド「IRIS HANTVERK」の馬毛が使われているほうきはしなやかで細かい埃まで取ることができ、その上耐久性もあるので、自分の店(OUTBOUND)では毎朝の掃除に使っています。 形状ごとの細やかな働き ほうきには、扉の桟や床の隅、高いところ…埃がたまりやすいあらゆる隙間をサッと綺麗にできる手軽さがありますよね。暮らしに合った使い勝手の良いほうきを選ぶのも楽しい。例えばドイツの老舗生活用品ブランド「REDECKER」の小ぶりな手ほうきは玄関ポーチをはいたり、家の中のデスクをさっときれいにしたり。馬毛の大きなものはワックスをかけたフローリングなど、傷をつけたくない床の掃除に。サイズや形によってそれぞれの働きをしてくれるので、いくつあっても嬉しいものです。 ほうきらしいほうきの、美しい佇まい インテリアのアクセントになるところも魅力です。魔女が乗っているような赤い柄のほうきは「REDECKER」のもの。お子さんが遊びながら掃除を手伝ってくれるかもしれないですね(笑)。おもちゃっぽさがあり、飾るも良しですよね。今の時代にこんな“ほうきらしい”ほうきを持っていると、逆にとても新鮮な気持ちになります。部屋の見えるところに置いたりかけたりして、その佇まいを愉しむのも素敵です。 名ブランドの強く温かい繋がり 今回紹介した二つのブランド「IRIS HANTVERK」と「REDECKER」は、実は共通項があります。REDECKERの歴史は、創業者、フリーデル・レデッカーが子供のころに視力を失い、盲学校でブラシ作りの技術を学んだことがきっかけとなって始まったそうです。以降、家族経営で、職人たちが手作業で一つひとつ丁寧にブラシを中心とした道具を作っています。環境保護に努める姿勢や、よりよい物を作ろうとするクラフトマンシップに共感を覚えます。一方、IRIS HANTVERKの歴史は、ある博士が設立した視覚障害のある職人のための救貧院だと言います。スウェーデンの視覚障害者団体との強いつながりの中、紆余曲折ありながら、現在は様々な文化圏出身の視覚障害のある職人6名が、ストックホルム南部の工房でブラシ作りに取り組んでいます。REDECKERもIRIS HANTVERKも、いずれも世界中に知られるブランドでありながら、どちらも小さな規模を保ったまま職人たちが伝統に則ったもの作りをしています。英語でブラシ作りは「brush binding」などと表現するそうですが、この二つのブランドからはまさに工房の仕事に従事する人たちの同志の「結びつき」みたいなものを感じます。企業背景も合わせて心から良いと思える物を大事に使っていきたいですね。   小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 interview & text by Sahoko Sekiphoto by...

小林和人が選んだもの 「ほうきの話」

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。今回小林さんが話してくれたのは、ほうきについてです。 ノーストレスな掃除用具 便利な装置がどんどん発達している現代に、そもそも何故ほうきなのかー。ほうきの優れた点は、“起動時間0秒”、握った瞬間に使えるところではないでしょうか。掃除機は大体しまってあるものなので、ちょっと掃除したいというときに引っ張り出すのが面倒。ほうきなら電源コードや充電、音のストレスからも解放されますよ(笑)。ほうきの毛はナイロンだと摩擦で丸まったりするので、自然素材を使ったものが好きです。スウェーデンの老舗ブラシブランド「IRIS HANTVERK」の馬毛が使われているほうきはしなやかで細かい埃まで取ることができ、その上耐久性もあるので、自分の店(OUTBOUND)では毎朝の掃除に使っています。 形状ごとの細やかな働き ほうきには、扉の桟や床の隅、高いところ…埃がたまりやすいあらゆる隙間をサッと綺麗にできる手軽さがありますよね。暮らしに合った使い勝手の良いほうきを選ぶのも楽しい。例えばドイツの老舗生活用品ブランド「REDECKER」の小ぶりな手ほうきは玄関ポーチをはいたり、家の中のデスクをさっときれいにしたり。馬毛の大きなものはワックスをかけたフローリングなど、傷をつけたくない床の掃除に。サイズや形によってそれぞれの働きをしてくれるので、いくつあっても嬉しいものです。 ほうきらしいほうきの、美しい佇まい インテリアのアクセントになるところも魅力です。魔女が乗っているような赤い柄のほうきは「REDECKER」のもの。お子さんが遊びながら掃除を手伝ってくれるかもしれないですね(笑)。おもちゃっぽさがあり、飾るも良しですよね。今の時代にこんな“ほうきらしい”ほうきを持っていると、逆にとても新鮮な気持ちになります。部屋の見えるところに置いたりかけたりして、その佇まいを愉しむのも素敵です。 名ブランドの強く温かい繋がり 今回紹介した二つのブランド「IRIS HANTVERK」と「REDECKER」は、実は共通項があります。REDECKERの歴史は、創業者、フリーデル・レデッカーが子供のころに視力を失い、盲学校でブラシ作りの技術を学んだことがきっかけとなって始まったそうです。以降、家族経営で、職人たちが手作業で一つひとつ丁寧にブラシを中心とした道具を作っています。環境保護に努める姿勢や、よりよい物を作ろうとするクラフトマンシップに共感を覚えます。一方、IRIS HANTVERKの歴史は、ある博士が設立した視覚障害のある職人のための救貧院だと言います。スウェーデンの視覚障害者団体との強いつながりの中、紆余曲折ありながら、現在は様々な文化圏出身の視覚障害のある職人6名が、ストックホルム南部の工房でブラシ作りに取り組んでいます。REDECKERもIRIS HANTVERKも、いずれも世界中に知られるブランドでありながら、どちらも小さな規模を保ったまま職人たちが伝統に則ったもの作りをしています。英語でブラシ作りは「brush binding」などと表現するそうですが、この二つのブランドからはまさに工房の仕事に従事する人たちの同志の「結びつき」みたいなものを感じます。企業背景も合わせて心から良いと思える物を大事に使っていきたいですね。   小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 interview & text by Sahoko Sekiphoto by...

小林和人が選んだもの 「ワインラックの話」

小林和人が選んだもの 「ワインラックの話」

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。今回小林さんが話してくれたのは、ワインラックについてです。 エンツォ・マーリによる、アノニマスなデザイン 小林さん:ワインラックは急を要するものではないので、なかなか手が出せないでいる方も多いのではないでしょうか。でも持っていると、生活がグッと楽しくなる存在だと思います。今回は、イタリアのデザイン界の巨匠、エンツォ・マーリがデザインした「REXITE CANTINA」のワインラックをご紹介します。エンツォ・マーリというと、デザインを、企業による販売促進のためではなく、或る課題に対して解を与えるための手段として捉えていたような印象を受けます。例えばこのワインラックは、一見するとデザイナーが介在していないかのようです。しかし、よく見ると12本のワインボトルを小スペースにいかに収めるかが考え抜かれ、それが必要最低限の要素で成り立っていることが分かります。僕はそんなアノニマスな佇まいでありながら、細部にまできちんと練られたデザインであるところがとても気に入っています。 シンプルな構造で最大限の効果 小林さん:もしもワインが12本以上になったときはどうしたら良いか。そんなワイン愛好家の悩みに対して、上に重ねてスタッキングすることができるという、シンプルな構造で応えているところも素晴らしい。最小限の手数で最大限の効果をあげているデザインのお手本のようなプロダクトだと思います。そして、このタイムレスな佇まいはどんな空間にも馴染むのではないでしょうか。現代的な空間はもちろん、ヴィンテージの家具を基調とした味のある部屋にもアクセントになってくれそうです。 ギフト選びで心がけること 小林さん:外装の箱も、抜かりないデザイン。図面がそのままパッケージになったかのようなデザインがカッコいいですよね。捨てずに取っておきたくもあり、贈り物にもおすすめです。それこそ新築祝いや結婚祝いなどにも喜ばれそうです。ギフトを選ぶとき、相手が持っていたり、他の人と被ったりするかもしれないという心配がよくありますが、これなら大丈夫です。なぜならこれは連結できるのだから!笑 <記事内紹介商品> 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 interview & text by Sahoko Sekiphoto by Naoki Yamashita

小林和人が選んだもの 「ワインラックの話」

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。今回小林さんが話してくれたのは、ワインラックについてです。 エンツォ・マーリによる、アノニマスなデザイン 小林さん:ワインラックは急を要するものではないので、なかなか手が出せないでいる方も多いのではないでしょうか。でも持っていると、生活がグッと楽しくなる存在だと思います。今回は、イタリアのデザイン界の巨匠、エンツォ・マーリがデザインした「REXITE CANTINA」のワインラックをご紹介します。エンツォ・マーリというと、デザインを、企業による販売促進のためではなく、或る課題に対して解を与えるための手段として捉えていたような印象を受けます。例えばこのワインラックは、一見するとデザイナーが介在していないかのようです。しかし、よく見ると12本のワインボトルを小スペースにいかに収めるかが考え抜かれ、それが必要最低限の要素で成り立っていることが分かります。僕はそんなアノニマスな佇まいでありながら、細部にまできちんと練られたデザインであるところがとても気に入っています。 シンプルな構造で最大限の効果 小林さん:もしもワインが12本以上になったときはどうしたら良いか。そんなワイン愛好家の悩みに対して、上に重ねてスタッキングすることができるという、シンプルな構造で応えているところも素晴らしい。最小限の手数で最大限の効果をあげているデザインのお手本のようなプロダクトだと思います。そして、このタイムレスな佇まいはどんな空間にも馴染むのではないでしょうか。現代的な空間はもちろん、ヴィンテージの家具を基調とした味のある部屋にもアクセントになってくれそうです。 ギフト選びで心がけること 小林さん:外装の箱も、抜かりないデザイン。図面がそのままパッケージになったかのようなデザインがカッコいいですよね。捨てずに取っておきたくもあり、贈り物にもおすすめです。それこそ新築祝いや結婚祝いなどにも喜ばれそうです。ギフトを選ぶとき、相手が持っていたり、他の人と被ったりするかもしれないという心配がよくありますが、これなら大丈夫です。なぜならこれは連結できるのだから!笑 <記事内紹介商品> 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 interview & text by Sahoko Sekiphoto by Naoki Yamashita

#贈りもの vol.1 小林和人さんから method山田遊さんへ

#贈りもの vol.1 小林和人さんから method山田遊さんへ

気になるあの人が大切な人へ贈りものを選ぶときの話、ご紹介します。 小林さん:「山田遊くんは吉祥寺が地元で、まだラウンダバウトが出来た頃、たまに寄ってくれていたんです。実際に話すようになったのは、建築系の雑誌の座談会だったかな。共通の友人も多く、デザイン系の集まりでよく会う関係性になり、去年彼が家を建てたときにはメディア向けのオープンハウス前夜に仲間と共に招いてくれました。その日、仕事が終わってから吉祥寺のハモニカ横丁で、華やかな場の手土産に丸鶏を買いました。分厚めのポリ袋に入った熱々の鶏を、さらに有料の白いビニールに入れてもらい、ワクワクしながら向かいました。将来的にはギャラリー的展開もしたいと話していた印象的なエントランスからすぐのリビングに、既に皆が集まっていました。僕にとっては久々のワイワイした場だったので嬉しくなってしまって、獲物をとった狩猟民の気分で、手にした鶏を高らかに持ち上げて見せたんです。その瞬間、モルタル洗い出しの真新しい床の上に油がどばーーーーっと流れ落ちてきてしまって…。すぐさま、キッチンの流しで布巾を絞ろうとするも、まだ水が通っていない状態で、大急ぎで植栽用の水場で絞った雑巾で、映画『ベスト・キット』の窓磨きシーンを思い出しながら、祈る様な気持ちで拭きました。もう大惨事でした。設計を担当した建築家の友人も『こうなったら全面オイル仕上げかな』なんてフォローしてくれるも、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。かと思えば、ブックセレクターの友人は寿司だったかな、大人な手土産を持参していて…。差し出し方の違いを見せつけられました(笑)。 翌日聞いたらシミは消えていたようで、心底安堵しました。そんななくても良いようなエピソードを添えて、今回改めて山田遊くんに新居祝いに贈りたいと思ったのが、ALESSIの『ソクラテスワインオープナー』です。物にまつわる仕事をする彼には、やっぱりいいものを贈りたいという想いがあり、ジャスパー・モリソンのプロダクトは色々と持っていそうで迷いましたが、LOST AND FOUNDに来てくれたときに少し探りは入れていたので(笑)。ジャスパー・モリソン自身のコメントによれば、このパンダグラフ構造のボトルオープナーはテコの原理で抜きやすくとても優れているのに、世の中から姿を消しつつあることを残念に思い、復活させるのが自分の使命だと思ったそうです。発売されたのが1998年、僕が店をオープンしたのが1999年、そして山田くんも独立したのが2000年頃で、同じ時間を共有してきたと思いました。 もしもすでに愛用しているボトルオープナーがあったとしても、今日はどれを使おうかと迷う楽しみができるでしょうし、オープナーの登場シーンって華やかでいいすよね。そういうときに会話が盛り上がるアイテムでもあると思い、確実に気に入ってもらえると思いました。デザイナーがデザインしたものであるにも関わらず、アノニマスな佇まいに留まっていることも素晴らしい。そんな想いで、選びました。自分が贈り物を選ぶときは、まず、”好き“なものであることを大事にしています。でも押し付けにならないようにも注意しています。手仕事のものは、ちょっとでも好みとずれると相手にとっては出番が少なくなります。プロダクトとしての一歩引いた立ち位置、プレゼントとしての主役の座を狙いに行かない慎ましさを大事に考えています。そういうものを選ぶとき、LOST AND FOUNDはとてもいいんですよね(笑)」 送る人小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 <記事内紹介商品>   interview & text by Sahoko Seki

#贈りもの vol.1 小林和人さんから method山田遊さんへ

気になるあの人が大切な人へ贈りものを選ぶときの話、ご紹介します。 小林さん:「山田遊くんは吉祥寺が地元で、まだラウンダバウトが出来た頃、たまに寄ってくれていたんです。実際に話すようになったのは、建築系の雑誌の座談会だったかな。共通の友人も多く、デザイン系の集まりでよく会う関係性になり、去年彼が家を建てたときにはメディア向けのオープンハウス前夜に仲間と共に招いてくれました。その日、仕事が終わってから吉祥寺のハモニカ横丁で、華やかな場の手土産に丸鶏を買いました。分厚めのポリ袋に入った熱々の鶏を、さらに有料の白いビニールに入れてもらい、ワクワクしながら向かいました。将来的にはギャラリー的展開もしたいと話していた印象的なエントランスからすぐのリビングに、既に皆が集まっていました。僕にとっては久々のワイワイした場だったので嬉しくなってしまって、獲物をとった狩猟民の気分で、手にした鶏を高らかに持ち上げて見せたんです。その瞬間、モルタル洗い出しの真新しい床の上に油がどばーーーーっと流れ落ちてきてしまって…。すぐさま、キッチンの流しで布巾を絞ろうとするも、まだ水が通っていない状態で、大急ぎで植栽用の水場で絞った雑巾で、映画『ベスト・キット』の窓磨きシーンを思い出しながら、祈る様な気持ちで拭きました。もう大惨事でした。設計を担当した建築家の友人も『こうなったら全面オイル仕上げかな』なんてフォローしてくれるも、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。かと思えば、ブックセレクターの友人は寿司だったかな、大人な手土産を持参していて…。差し出し方の違いを見せつけられました(笑)。 翌日聞いたらシミは消えていたようで、心底安堵しました。そんななくても良いようなエピソードを添えて、今回改めて山田遊くんに新居祝いに贈りたいと思ったのが、ALESSIの『ソクラテスワインオープナー』です。物にまつわる仕事をする彼には、やっぱりいいものを贈りたいという想いがあり、ジャスパー・モリソンのプロダクトは色々と持っていそうで迷いましたが、LOST AND FOUNDに来てくれたときに少し探りは入れていたので(笑)。ジャスパー・モリソン自身のコメントによれば、このパンダグラフ構造のボトルオープナーはテコの原理で抜きやすくとても優れているのに、世の中から姿を消しつつあることを残念に思い、復活させるのが自分の使命だと思ったそうです。発売されたのが1998年、僕が店をオープンしたのが1999年、そして山田くんも独立したのが2000年頃で、同じ時間を共有してきたと思いました。 もしもすでに愛用しているボトルオープナーがあったとしても、今日はどれを使おうかと迷う楽しみができるでしょうし、オープナーの登場シーンって華やかでいいすよね。そういうときに会話が盛り上がるアイテムでもあると思い、確実に気に入ってもらえると思いました。デザイナーがデザインしたものであるにも関わらず、アノニマスな佇まいに留まっていることも素晴らしい。そんな想いで、選びました。自分が贈り物を選ぶときは、まず、”好き“なものであることを大事にしています。でも押し付けにならないようにも注意しています。手仕事のものは、ちょっとでも好みとずれると相手にとっては出番が少なくなります。プロダクトとしての一歩引いた立ち位置、プレゼントとしての主役の座を狙いに行かない慎ましさを大事に考えています。そういうものを選ぶとき、LOST AND FOUNDはとてもいいんですよね(笑)」 送る人小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 <記事内紹介商品>   interview & text by Sahoko Seki

小林和人が選んだもの 「耐熱ガラスの話」

小林和人が選んだもの 「耐熱ガラスの話」

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。 この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、耐熱ガラスについてです。 急な温度変化にも耐え得るガラス 小林さん:1887年に産業用途向けの「ホウケイ酸ガラス」と呼ばれる耐熱ガラスが登場したそうです。化学薬品に対する耐性、そして急激な温度変化に対する耐性という特性を持ったガラス。通常のガラスを熱すると割れてしまうのは、温度変化についていけないから。でも今回ご紹介するものたちは、熱による膨張が小さめに抑えられる性質のため、例えば淹れたばかりの熱々のお茶に氷をざーーっと入れても大丈夫なんです。 緊張感とともに直火で湯を沸かす時間 小林さん:まずは「トレンドグラス イエナ」のポットをご紹介しましょう。もともとドイツに「イエナグラス」という耐熱ガラスの代名詞的ブランドがあって、バウハウスを代表するインダストリアルデザイナー、ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルトがデザインした製品でも知られており、昔はラウンダバウトでもティーポットなどを取り扱っていました。2005年に生産終了してしまったのですが、結局金型や設備はそのまま引き継がれ、ドイツとハンガリーで生産を再開させたのがこの「トレンドグラス・ イエナ」です。ブランドの存続にも色々な形態がありますね。この、ケトルの実験器具的なデザインがとても気に入っています。火にかけたガラスを眺めながら、沸騰する瞬間を待つのもいい時間です。 パーツ全てとその繋がりの秀逸さ 小林さん:続いては持ち手部分が特徴的なデザインの、「イッケンドルフ ミラノ」のティーポットです。こちらも20世紀初頭にドイツで生まれたのですが、90年代からミラノを拠点にしているんですね。イッケンドルフという名前は創業したケルン郊外の地名なのですが、そこにミラノがつくというギャップに個人的には「Paris吉祥寺」を思い出します(笑)。しかしながら、直線的な実直さと曲線的な優美さの共存がいいですね。蓋や取っ手、そしてストレーナーまでガラス製で、その繋がりがとても綺麗なプロダクトだと思います。ティーポットは重心が高めのものと低めのものがありますので、好みでお選び頂けたらと思います。 余白を楽しむガラスアイテム 小林さん:ヨーロッパの製品が続きましたが、最後は「小泉硝子製作所」のビーカーです。実は昨年、茨城県猿島にある工場にお邪魔してきました。規格品でありながら、実は職人の方たちによる手吹きなんですね。よく見ると一つひとつちょっとした丸みなどが違うんですよね。ガラスの凛とした姿と、手仕事の細やかさにグッときました。ビーカーにはシロップやドレッシングを入れたり、広口のものはコーヒードリッパーと組み合わせてなど、色々な用途に使っていただけそうです。どれも立ち姿が綺麗で、置いておくだけでも楽しむことができる。人によって使い道はそれぞれで、そんな余白が良いなと思います。明治45年に東京都台東区三ノ輪に創業。ホームページにその歴史ある一枚の写真が載っているので是非ご覧ください!(https://koizumiglass.co.jp/?mode=f3) 今回紹介した耐熱ガラス製品は、元々医療用や実験用で作られたものが多くあります。それらを生活の中に落とし込むと、途端に見え方が変わる。そんな見立て心を誘発してくれる存在かもしれません。これからやってくる暑い日々、冷房などによる夏冷え対策として敢えて熱めのお茶で迎えるのはいかがでしょう? <記事内紹介商品> 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 interview & text by Sahoko Sekiphoto...

小林和人が選んだもの 「耐熱ガラスの話」

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。 この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、耐熱ガラスについてです。 急な温度変化にも耐え得るガラス 小林さん:1887年に産業用途向けの「ホウケイ酸ガラス」と呼ばれる耐熱ガラスが登場したそうです。化学薬品に対する耐性、そして急激な温度変化に対する耐性という特性を持ったガラス。通常のガラスを熱すると割れてしまうのは、温度変化についていけないから。でも今回ご紹介するものたちは、熱による膨張が小さめに抑えられる性質のため、例えば淹れたばかりの熱々のお茶に氷をざーーっと入れても大丈夫なんです。 緊張感とともに直火で湯を沸かす時間 小林さん:まずは「トレンドグラス イエナ」のポットをご紹介しましょう。もともとドイツに「イエナグラス」という耐熱ガラスの代名詞的ブランドがあって、バウハウスを代表するインダストリアルデザイナー、ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルトがデザインした製品でも知られており、昔はラウンダバウトでもティーポットなどを取り扱っていました。2005年に生産終了してしまったのですが、結局金型や設備はそのまま引き継がれ、ドイツとハンガリーで生産を再開させたのがこの「トレンドグラス・ イエナ」です。ブランドの存続にも色々な形態がありますね。この、ケトルの実験器具的なデザインがとても気に入っています。火にかけたガラスを眺めながら、沸騰する瞬間を待つのもいい時間です。 パーツ全てとその繋がりの秀逸さ 小林さん:続いては持ち手部分が特徴的なデザインの、「イッケンドルフ ミラノ」のティーポットです。こちらも20世紀初頭にドイツで生まれたのですが、90年代からミラノを拠点にしているんですね。イッケンドルフという名前は創業したケルン郊外の地名なのですが、そこにミラノがつくというギャップに個人的には「Paris吉祥寺」を思い出します(笑)。しかしながら、直線的な実直さと曲線的な優美さの共存がいいですね。蓋や取っ手、そしてストレーナーまでガラス製で、その繋がりがとても綺麗なプロダクトだと思います。ティーポットは重心が高めのものと低めのものがありますので、好みでお選び頂けたらと思います。 余白を楽しむガラスアイテム 小林さん:ヨーロッパの製品が続きましたが、最後は「小泉硝子製作所」のビーカーです。実は昨年、茨城県猿島にある工場にお邪魔してきました。規格品でありながら、実は職人の方たちによる手吹きなんですね。よく見ると一つひとつちょっとした丸みなどが違うんですよね。ガラスの凛とした姿と、手仕事の細やかさにグッときました。ビーカーにはシロップやドレッシングを入れたり、広口のものはコーヒードリッパーと組み合わせてなど、色々な用途に使っていただけそうです。どれも立ち姿が綺麗で、置いておくだけでも楽しむことができる。人によって使い道はそれぞれで、そんな余白が良いなと思います。明治45年に東京都台東区三ノ輪に創業。ホームページにその歴史ある一枚の写真が載っているので是非ご覧ください!(https://koizumiglass.co.jp/?mode=f3) 今回紹介した耐熱ガラス製品は、元々医療用や実験用で作られたものが多くあります。それらを生活の中に落とし込むと、途端に見え方が変わる。そんな見立て心を誘発してくれる存在かもしれません。これからやってくる暑い日々、冷房などによる夏冷え対策として敢えて熱めのお茶で迎えるのはいかがでしょう? <記事内紹介商品> 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 interview & text by Sahoko Sekiphoto...

小林和人が選んだもの 「スプレーボトルの話」

小林和人が選んだもの 「スプレーボトルの話」

  ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、考え尽くされた「GLORIA」のスプレーボトルについてです。 “専門道具”として信頼できる 小林さん:「GLORIA」と聞くと、ある歌が脳内に響き渡ってしまう世代ですが…(笑)。このブランドは、主に薬剤などの噴霧器を作っている、ドイツのメーカーです。雑貨的なスプレーというよりは、機能がしっかりとした、“専門道具”として信頼できるスプレーボトルですね。 ノンストップで噴霧できる 小林さん:最大の特徴は、トリガーを握っても放しても噴霧されるという、ダブルアクション構造。ノンストップで噴霧できるので、効率的ですよね。そして先端のノズルを回すことで、円錐状の噴霧から、鋭く直線的なウォーターガンに切り替えることができるんです。それによって、ガーデニングから掃除まで広く使い分けが可能です。他にも、底面はバンパーになっていて丈夫だったり、ストラップをつけられる部分があったり…細部まで気が利いています。 写真はPro05(0.5ℓサイズ)のボトル 長く使い続けることができる 小林さん:ボトル部分には目盛りがついているので、洗剤を入れる時には計りながら使えます。例えば、Pro05だったら0.5L(Pr010の場合は1.0L)の目盛りまで水を入れて、その少し上の左側にある2%のところまで洗剤を足すと、濃度2%の希釈液ができあがるという仕組みです。なんとも合理的ですね!ちなみに本体の素材であるポリエチレンはリサイクル可能、耐薬品、耐油性に優れているという特徴があります。プラスチックが敬遠される時代、使い捨ての容器などについてはもちろん考えなくてはならない課題もありますが、こういった長く使い続ける製品については適材適所ということも大事なのではないかと思います。 一点を狙うことができる! 小林さん:僕は、洗剤を希釈して店舗の棚を吹き上げるのに使っています。ウエス(布巾)に噴霧するときは円錐状に、直線的で勢いの良い噴射は、窓の桟やゴムパッキンの隙間を狙いたいとき、というように使い分けるのも楽しいんですよ。 掃除やガーデニングにおけるスプレーボトル選びにじっくり向き合う機会はそれほど多くはないかもしれない。しかしながら、もしも噴霧・噴射の“専門道具”を購入するときがきたなら、考え抜かれた機能を過不足なく搭載し、且つ飽きのこないデザインのGLORIAを是非一度手にとっていただきたい。 <記事内紹介商品> GLORIA スプレーボトル PRO05 0.5Lタイプ ¥2,970 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。

小林和人が選んだもの 「スプレーボトルの話」

  ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、考え尽くされた「GLORIA」のスプレーボトルについてです。 “専門道具”として信頼できる 小林さん:「GLORIA」と聞くと、ある歌が脳内に響き渡ってしまう世代ですが…(笑)。このブランドは、主に薬剤などの噴霧器を作っている、ドイツのメーカーです。雑貨的なスプレーというよりは、機能がしっかりとした、“専門道具”として信頼できるスプレーボトルですね。 ノンストップで噴霧できる 小林さん:最大の特徴は、トリガーを握っても放しても噴霧されるという、ダブルアクション構造。ノンストップで噴霧できるので、効率的ですよね。そして先端のノズルを回すことで、円錐状の噴霧から、鋭く直線的なウォーターガンに切り替えることができるんです。それによって、ガーデニングから掃除まで広く使い分けが可能です。他にも、底面はバンパーになっていて丈夫だったり、ストラップをつけられる部分があったり…細部まで気が利いています。 写真はPro05(0.5ℓサイズ)のボトル 長く使い続けることができる 小林さん:ボトル部分には目盛りがついているので、洗剤を入れる時には計りながら使えます。例えば、Pro05だったら0.5L(Pr010の場合は1.0L)の目盛りまで水を入れて、その少し上の左側にある2%のところまで洗剤を足すと、濃度2%の希釈液ができあがるという仕組みです。なんとも合理的ですね!ちなみに本体の素材であるポリエチレンはリサイクル可能、耐薬品、耐油性に優れているという特徴があります。プラスチックが敬遠される時代、使い捨ての容器などについてはもちろん考えなくてはならない課題もありますが、こういった長く使い続ける製品については適材適所ということも大事なのではないかと思います。 一点を狙うことができる! 小林さん:僕は、洗剤を希釈して店舗の棚を吹き上げるのに使っています。ウエス(布巾)に噴霧するときは円錐状に、直線的で勢いの良い噴射は、窓の桟やゴムパッキンの隙間を狙いたいとき、というように使い分けるのも楽しいんですよ。 掃除やガーデニングにおけるスプレーボトル選びにじっくり向き合う機会はそれほど多くはないかもしれない。しかしながら、もしも噴霧・噴射の“専門道具”を購入するときがきたなら、考え抜かれた機能を過不足なく搭載し、且つ飽きのこないデザインのGLORIAを是非一度手にとっていただきたい。 <記事内紹介商品> GLORIA スプレーボトル PRO05 0.5Lタイプ ¥2,970 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。