JOURNAL

小林和人が選んだもの 「ワインラックの話」
ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。今回小林さんが話してくれたのは、ワインラックについてです。 エンツォ・マーリによる、アノニマスなデザイン 小林さん:ワインラックは急を要するものではないので、なかなか手が出せないでいる方も多いのではないでしょうか。でも持っていると、生活がグッと楽しくなる存在だと思います。今回は、イタリアのデザイン界の巨匠、エンツォ・マーリがデザインした「REXITE CANTINA」のワインラックをご紹介します。エンツォ・マーリというと、デザインを、企業による販売促進のためではなく、或る課題に対して解を与えるための手段として捉えていたような印象を受けます。例えばこのワインラックは、一見するとデザイナーが介在していないかのようです。しかし、よく見ると12本のワインボトルを小スペースにいかに収めるかが考え抜かれ、それが必要最低限の要素で成り立っていることが分かります。僕はそんなアノニマスな佇まいでありながら、細部にまできちんと練られたデザインであるところがとても気に入っています。 シンプルな構造で最大限の効果 小林さん:もしもワインが12本以上になったときはどうしたら良いか。そんなワイン愛好家の悩みに対して、上に重ねてスタッキングすることができるという、シンプルな構造で応えているところも素晴らしい。最小限の手数で最大限の効果をあげているデザインのお手本のようなプロダクトだと思います。そして、このタイムレスな佇まいはどんな空間にも馴染むのではないでしょうか。現代的な空間はもちろん、ヴィンテージの家具を基調とした味のある部屋にもアクセントになってくれそうです。 ギフト選びで心がけること 小林さん:外装の箱も、抜かりないデザイン。図面がそのままパッケージになったかのようなデザインがカッコいいですよね。捨てずに取っておきたくもあり、贈り物にもおすすめです。それこそ新築祝いや結婚祝いなどにも喜ばれそうです。ギフトを選ぶとき、相手が持っていたり、他の人と被ったりするかもしれないという心配がよくありますが、これなら大丈夫です。なぜならこれは連結できるのだから!笑 <記事内紹介商品> 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 interview & text by Sahoko Sekiphoto by Naoki Yamashita
小林和人が選んだもの 「ワインラックの話」
ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。今回小林さんが話してくれたのは、ワインラックについてです。 エンツォ・マーリによる、アノニマスなデザイン 小林さん:ワインラックは急を要するものではないので、なかなか手が出せないでいる方も多いのではないでしょうか。でも持っていると、生活がグッと楽しくなる存在だと思います。今回は、イタリアのデザイン界の巨匠、エンツォ・マーリがデザインした「REXITE CANTINA」のワインラックをご紹介します。エンツォ・マーリというと、デザインを、企業による販売促進のためではなく、或る課題に対して解を与えるための手段として捉えていたような印象を受けます。例えばこのワインラックは、一見するとデザイナーが介在していないかのようです。しかし、よく見ると12本のワインボトルを小スペースにいかに収めるかが考え抜かれ、それが必要最低限の要素で成り立っていることが分かります。僕はそんなアノニマスな佇まいでありながら、細部にまできちんと練られたデザインであるところがとても気に入っています。 シンプルな構造で最大限の効果 小林さん:もしもワインが12本以上になったときはどうしたら良いか。そんなワイン愛好家の悩みに対して、上に重ねてスタッキングすることができるという、シンプルな構造で応えているところも素晴らしい。最小限の手数で最大限の効果をあげているデザインのお手本のようなプロダクトだと思います。そして、このタイムレスな佇まいはどんな空間にも馴染むのではないでしょうか。現代的な空間はもちろん、ヴィンテージの家具を基調とした味のある部屋にもアクセントになってくれそうです。 ギフト選びで心がけること 小林さん:外装の箱も、抜かりないデザイン。図面がそのままパッケージになったかのようなデザインがカッコいいですよね。捨てずに取っておきたくもあり、贈り物にもおすすめです。それこそ新築祝いや結婚祝いなどにも喜ばれそうです。ギフトを選ぶとき、相手が持っていたり、他の人と被ったりするかもしれないという心配がよくありますが、これなら大丈夫です。なぜならこれは連結できるのだから!笑 <記事内紹介商品> 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 interview & text by Sahoko Sekiphoto by Naoki Yamashita

#贈りもの vol.1 小林和人さんから method山田遊さんへ
気になるあの人が大切な人へ贈りものを選ぶときの話、ご紹介します。 小林さん:「山田遊くんは吉祥寺が地元で、まだラウンダバウトが出来た頃、たまに寄ってくれていたんです。実際に話すようになったのは、建築系の雑誌の座談会だったかな。共通の友人も多く、デザイン系の集まりでよく会う関係性になり、去年彼が家を建てたときにはメディア向けのオープンハウス前夜に仲間と共に招いてくれました。その日、仕事が終わってから吉祥寺のハモニカ横丁で、華やかな場の手土産に丸鶏を買いました。分厚めのポリ袋に入った熱々の鶏を、さらに有料の白いビニールに入れてもらい、ワクワクしながら向かいました。将来的にはギャラリー的展開もしたいと話していた印象的なエントランスからすぐのリビングに、既に皆が集まっていました。僕にとっては久々のワイワイした場だったので嬉しくなってしまって、獲物をとった狩猟民の気分で、手にした鶏を高らかに持ち上げて見せたんです。その瞬間、モルタル洗い出しの真新しい床の上に油がどばーーーーっと流れ落ちてきてしまって…。すぐさま、キッチンの流しで布巾を絞ろうとするも、まだ水が通っていない状態で、大急ぎで植栽用の水場で絞った雑巾で、映画『ベスト・キット』の窓磨きシーンを思い出しながら、祈る様な気持ちで拭きました。もう大惨事でした。設計を担当した建築家の友人も『こうなったら全面オイル仕上げかな』なんてフォローしてくれるも、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。かと思えば、ブックセレクターの友人は寿司だったかな、大人な手土産を持参していて…。差し出し方の違いを見せつけられました(笑)。 翌日聞いたらシミは消えていたようで、心底安堵しました。そんななくても良いようなエピソードを添えて、今回改めて山田遊くんに新居祝いに贈りたいと思ったのが、ALESSIの『ソクラテスワインオープナー』です。物にまつわる仕事をする彼には、やっぱりいいものを贈りたいという想いがあり、ジャスパー・モリソンのプロダクトは色々と持っていそうで迷いましたが、LOST AND FOUNDに来てくれたときに少し探りは入れていたので(笑)。ジャスパー・モリソン自身のコメントによれば、このパンダグラフ構造のボトルオープナーはテコの原理で抜きやすくとても優れているのに、世の中から姿を消しつつあることを残念に思い、復活させるのが自分の使命だと思ったそうです。発売されたのが1998年、僕が店をオープンしたのが1999年、そして山田くんも独立したのが2000年頃で、同じ時間を共有してきたと思いました。 もしもすでに愛用しているボトルオープナーがあったとしても、今日はどれを使おうかと迷う楽しみができるでしょうし、オープナーの登場シーンって華やかでいいすよね。そういうときに会話が盛り上がるアイテムでもあると思い、確実に気に入ってもらえると思いました。デザイナーがデザインしたものであるにも関わらず、アノニマスな佇まいに留まっていることも素晴らしい。そんな想いで、選びました。自分が贈り物を選ぶときは、まず、”好き“なものであることを大事にしています。でも押し付けにならないようにも注意しています。手仕事のものは、ちょっとでも好みとずれると相手にとっては出番が少なくなります。プロダクトとしての一歩引いた立ち位置、プレゼントとしての主役の座を狙いに行かない慎ましさを大事に考えています。そういうものを選ぶとき、LOST AND FOUNDはとてもいいんですよね(笑)」 送る人小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 <記事内紹介商品> interview & text by Sahoko Seki
#贈りもの vol.1 小林和人さんから method山田遊さんへ
気になるあの人が大切な人へ贈りものを選ぶときの話、ご紹介します。 小林さん:「山田遊くんは吉祥寺が地元で、まだラウンダバウトが出来た頃、たまに寄ってくれていたんです。実際に話すようになったのは、建築系の雑誌の座談会だったかな。共通の友人も多く、デザイン系の集まりでよく会う関係性になり、去年彼が家を建てたときにはメディア向けのオープンハウス前夜に仲間と共に招いてくれました。その日、仕事が終わってから吉祥寺のハモニカ横丁で、華やかな場の手土産に丸鶏を買いました。分厚めのポリ袋に入った熱々の鶏を、さらに有料の白いビニールに入れてもらい、ワクワクしながら向かいました。将来的にはギャラリー的展開もしたいと話していた印象的なエントランスからすぐのリビングに、既に皆が集まっていました。僕にとっては久々のワイワイした場だったので嬉しくなってしまって、獲物をとった狩猟民の気分で、手にした鶏を高らかに持ち上げて見せたんです。その瞬間、モルタル洗い出しの真新しい床の上に油がどばーーーーっと流れ落ちてきてしまって…。すぐさま、キッチンの流しで布巾を絞ろうとするも、まだ水が通っていない状態で、大急ぎで植栽用の水場で絞った雑巾で、映画『ベスト・キット』の窓磨きシーンを思い出しながら、祈る様な気持ちで拭きました。もう大惨事でした。設計を担当した建築家の友人も『こうなったら全面オイル仕上げかな』なんてフォローしてくれるも、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。かと思えば、ブックセレクターの友人は寿司だったかな、大人な手土産を持参していて…。差し出し方の違いを見せつけられました(笑)。 翌日聞いたらシミは消えていたようで、心底安堵しました。そんななくても良いようなエピソードを添えて、今回改めて山田遊くんに新居祝いに贈りたいと思ったのが、ALESSIの『ソクラテスワインオープナー』です。物にまつわる仕事をする彼には、やっぱりいいものを贈りたいという想いがあり、ジャスパー・モリソンのプロダクトは色々と持っていそうで迷いましたが、LOST AND FOUNDに来てくれたときに少し探りは入れていたので(笑)。ジャスパー・モリソン自身のコメントによれば、このパンダグラフ構造のボトルオープナーはテコの原理で抜きやすくとても優れているのに、世の中から姿を消しつつあることを残念に思い、復活させるのが自分の使命だと思ったそうです。発売されたのが1998年、僕が店をオープンしたのが1999年、そして山田くんも独立したのが2000年頃で、同じ時間を共有してきたと思いました。 もしもすでに愛用しているボトルオープナーがあったとしても、今日はどれを使おうかと迷う楽しみができるでしょうし、オープナーの登場シーンって華やかでいいすよね。そういうときに会話が盛り上がるアイテムでもあると思い、確実に気に入ってもらえると思いました。デザイナーがデザインしたものであるにも関わらず、アノニマスな佇まいに留まっていることも素晴らしい。そんな想いで、選びました。自分が贈り物を選ぶときは、まず、”好き“なものであることを大事にしています。でも押し付けにならないようにも注意しています。手仕事のものは、ちょっとでも好みとずれると相手にとっては出番が少なくなります。プロダクトとしての一歩引いた立ち位置、プレゼントとしての主役の座を狙いに行かない慎ましさを大事に考えています。そういうものを選ぶとき、LOST AND FOUNDはとてもいいんですよね(笑)」 送る人小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 <記事内紹介商品> interview & text by Sahoko Seki

小林和人が選んだもの 「耐熱ガラスの話」
ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。 この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、耐熱ガラスについてです。 急な温度変化にも耐え得るガラス 小林さん:1887年に産業用途向けの「ホウケイ酸ガラス」と呼ばれる耐熱ガラスが登場したそうです。化学薬品に対する耐性、そして急激な温度変化に対する耐性という特性を持ったガラス。通常のガラスを熱すると割れてしまうのは、温度変化についていけないから。でも今回ご紹介するものたちは、熱による膨張が小さめに抑えられる性質のため、例えば淹れたばかりの熱々のお茶に氷をざーーっと入れても大丈夫なんです。 緊張感とともに直火で湯を沸かす時間 小林さん:まずは「トレンドグラス イエナ」のポットをご紹介しましょう。もともとドイツに「イエナグラス」という耐熱ガラスの代名詞的ブランドがあって、バウハウスを代表するインダストリアルデザイナー、ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルトがデザインした製品でも知られており、昔はラウンダバウトでもティーポットなどを取り扱っていました。2005年に生産終了してしまったのですが、結局金型や設備はそのまま引き継がれ、ドイツとハンガリーで生産を再開させたのがこの「トレンドグラス・ イエナ」です。ブランドの存続にも色々な形態がありますね。この、ケトルの実験器具的なデザインがとても気に入っています。火にかけたガラスを眺めながら、沸騰する瞬間を待つのもいい時間です。 パーツ全てとその繋がりの秀逸さ 小林さん:続いては持ち手部分が特徴的なデザインの、「イッケンドルフ ミラノ」のティーポットです。こちらも20世紀初頭にドイツで生まれたのですが、90年代からミラノを拠点にしているんですね。イッケンドルフという名前は創業したケルン郊外の地名なのですが、そこにミラノがつくというギャップに個人的には「Paris吉祥寺」を思い出します(笑)。しかしながら、直線的な実直さと曲線的な優美さの共存がいいですね。蓋や取っ手、そしてストレーナーまでガラス製で、その繋がりがとても綺麗なプロダクトだと思います。ティーポットは重心が高めのものと低めのものがありますので、好みでお選び頂けたらと思います。 余白を楽しむガラスアイテム 小林さん:ヨーロッパの製品が続きましたが、最後は「小泉硝子製作所」のビーカーです。実は昨年、茨城県猿島にある工場にお邪魔してきました。規格品でありながら、実は職人の方たちによる手吹きなんですね。よく見ると一つひとつちょっとした丸みなどが違うんですよね。ガラスの凛とした姿と、手仕事の細やかさにグッときました。ビーカーにはシロップやドレッシングを入れたり、広口のものはコーヒードリッパーと組み合わせてなど、色々な用途に使っていただけそうです。どれも立ち姿が綺麗で、置いておくだけでも楽しむことができる。人によって使い道はそれぞれで、そんな余白が良いなと思います。明治45年に東京都台東区三ノ輪に創業。ホームページにその歴史ある一枚の写真が載っているので是非ご覧ください!(https://koizumiglass.co.jp/?mode=f3) 今回紹介した耐熱ガラス製品は、元々医療用や実験用で作られたものが多くあります。それらを生活の中に落とし込むと、途端に見え方が変わる。そんな見立て心を誘発してくれる存在かもしれません。これからやってくる暑い日々、冷房などによる夏冷え対策として敢えて熱めのお茶で迎えるのはいかがでしょう? <記事内紹介商品> 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 interview & text by Sahoko Sekiphoto...
小林和人が選んだもの 「耐熱ガラスの話」
ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。 この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、耐熱ガラスについてです。 急な温度変化にも耐え得るガラス 小林さん:1887年に産業用途向けの「ホウケイ酸ガラス」と呼ばれる耐熱ガラスが登場したそうです。化学薬品に対する耐性、そして急激な温度変化に対する耐性という特性を持ったガラス。通常のガラスを熱すると割れてしまうのは、温度変化についていけないから。でも今回ご紹介するものたちは、熱による膨張が小さめに抑えられる性質のため、例えば淹れたばかりの熱々のお茶に氷をざーーっと入れても大丈夫なんです。 緊張感とともに直火で湯を沸かす時間 小林さん:まずは「トレンドグラス イエナ」のポットをご紹介しましょう。もともとドイツに「イエナグラス」という耐熱ガラスの代名詞的ブランドがあって、バウハウスを代表するインダストリアルデザイナー、ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルトがデザインした製品でも知られており、昔はラウンダバウトでもティーポットなどを取り扱っていました。2005年に生産終了してしまったのですが、結局金型や設備はそのまま引き継がれ、ドイツとハンガリーで生産を再開させたのがこの「トレンドグラス・ イエナ」です。ブランドの存続にも色々な形態がありますね。この、ケトルの実験器具的なデザインがとても気に入っています。火にかけたガラスを眺めながら、沸騰する瞬間を待つのもいい時間です。 パーツ全てとその繋がりの秀逸さ 小林さん:続いては持ち手部分が特徴的なデザインの、「イッケンドルフ ミラノ」のティーポットです。こちらも20世紀初頭にドイツで生まれたのですが、90年代からミラノを拠点にしているんですね。イッケンドルフという名前は創業したケルン郊外の地名なのですが、そこにミラノがつくというギャップに個人的には「Paris吉祥寺」を思い出します(笑)。しかしながら、直線的な実直さと曲線的な優美さの共存がいいですね。蓋や取っ手、そしてストレーナーまでガラス製で、その繋がりがとても綺麗なプロダクトだと思います。ティーポットは重心が高めのものと低めのものがありますので、好みでお選び頂けたらと思います。 余白を楽しむガラスアイテム 小林さん:ヨーロッパの製品が続きましたが、最後は「小泉硝子製作所」のビーカーです。実は昨年、茨城県猿島にある工場にお邪魔してきました。規格品でありながら、実は職人の方たちによる手吹きなんですね。よく見ると一つひとつちょっとした丸みなどが違うんですよね。ガラスの凛とした姿と、手仕事の細やかさにグッときました。ビーカーにはシロップやドレッシングを入れたり、広口のものはコーヒードリッパーと組み合わせてなど、色々な用途に使っていただけそうです。どれも立ち姿が綺麗で、置いておくだけでも楽しむことができる。人によって使い道はそれぞれで、そんな余白が良いなと思います。明治45年に東京都台東区三ノ輪に創業。ホームページにその歴史ある一枚の写真が載っているので是非ご覧ください!(https://koizumiglass.co.jp/?mode=f3) 今回紹介した耐熱ガラス製品は、元々医療用や実験用で作られたものが多くあります。それらを生活の中に落とし込むと、途端に見え方が変わる。そんな見立て心を誘発してくれる存在かもしれません。これからやってくる暑い日々、冷房などによる夏冷え対策として敢えて熱めのお茶で迎えるのはいかがでしょう? <記事内紹介商品> 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。 interview & text by Sahoko Sekiphoto...

小林和人が選んだもの 「スプレーボトルの話」
ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、考え尽くされた「GLORIA」のスプレーボトルについてです。 “専門道具”として信頼できる 小林さん:「GLORIA」と聞くと、ある歌が脳内に響き渡ってしまう世代ですが…(笑)。このブランドは、主に薬剤などの噴霧器を作っている、ドイツのメーカーです。雑貨的なスプレーというよりは、機能がしっかりとした、“専門道具”として信頼できるスプレーボトルですね。 ノンストップで噴霧できる 小林さん:最大の特徴は、トリガーを握っても放しても噴霧されるという、ダブルアクション構造。ノンストップで噴霧できるので、効率的ですよね。そして先端のノズルを回すことで、円錐状の噴霧から、鋭く直線的なウォーターガンに切り替えることができるんです。それによって、ガーデニングから掃除まで広く使い分けが可能です。他にも、底面はバンパーになっていて丈夫だったり、ストラップをつけられる部分があったり…細部まで気が利いています。 写真はPro05(0.5ℓサイズ)のボトル 長く使い続けることができる 小林さん:ボトル部分には目盛りがついているので、洗剤を入れる時には計りながら使えます。例えば、Pro05だったら0.5L(Pr010の場合は1.0L)の目盛りまで水を入れて、その少し上の左側にある2%のところまで洗剤を足すと、濃度2%の希釈液ができあがるという仕組みです。なんとも合理的ですね!ちなみに本体の素材であるポリエチレンはリサイクル可能、耐薬品、耐油性に優れているという特徴があります。プラスチックが敬遠される時代、使い捨ての容器などについてはもちろん考えなくてはならない課題もありますが、こういった長く使い続ける製品については適材適所ということも大事なのではないかと思います。 一点を狙うことができる! 小林さん:僕は、洗剤を希釈して店舗の棚を吹き上げるのに使っています。ウエス(布巾)に噴霧するときは円錐状に、直線的で勢いの良い噴射は、窓の桟やゴムパッキンの隙間を狙いたいとき、というように使い分けるのも楽しいんですよ。 掃除やガーデニングにおけるスプレーボトル選びにじっくり向き合う機会はそれほど多くはないかもしれない。しかしながら、もしも噴霧・噴射の“専門道具”を購入するときがきたなら、考え抜かれた機能を過不足なく搭載し、且つ飽きのこないデザインのGLORIAを是非一度手にとっていただきたい。 <記事内紹介商品> GLORIA スプレーボトル PRO05 0.5Lタイプ ¥2,970 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。
小林和人が選んだもの 「スプレーボトルの話」
ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、考え尽くされた「GLORIA」のスプレーボトルについてです。 “専門道具”として信頼できる 小林さん:「GLORIA」と聞くと、ある歌が脳内に響き渡ってしまう世代ですが…(笑)。このブランドは、主に薬剤などの噴霧器を作っている、ドイツのメーカーです。雑貨的なスプレーというよりは、機能がしっかりとした、“専門道具”として信頼できるスプレーボトルですね。 ノンストップで噴霧できる 小林さん:最大の特徴は、トリガーを握っても放しても噴霧されるという、ダブルアクション構造。ノンストップで噴霧できるので、効率的ですよね。そして先端のノズルを回すことで、円錐状の噴霧から、鋭く直線的なウォーターガンに切り替えることができるんです。それによって、ガーデニングから掃除まで広く使い分けが可能です。他にも、底面はバンパーになっていて丈夫だったり、ストラップをつけられる部分があったり…細部まで気が利いています。 写真はPro05(0.5ℓサイズ)のボトル 長く使い続けることができる 小林さん:ボトル部分には目盛りがついているので、洗剤を入れる時には計りながら使えます。例えば、Pro05だったら0.5L(Pr010の場合は1.0L)の目盛りまで水を入れて、その少し上の左側にある2%のところまで洗剤を足すと、濃度2%の希釈液ができあがるという仕組みです。なんとも合理的ですね!ちなみに本体の素材であるポリエチレンはリサイクル可能、耐薬品、耐油性に優れているという特徴があります。プラスチックが敬遠される時代、使い捨ての容器などについてはもちろん考えなくてはならない課題もありますが、こういった長く使い続ける製品については適材適所ということも大事なのではないかと思います。 一点を狙うことができる! 小林さん:僕は、洗剤を希釈して店舗の棚を吹き上げるのに使っています。ウエス(布巾)に噴霧するときは円錐状に、直線的で勢いの良い噴射は、窓の桟やゴムパッキンの隙間を狙いたいとき、というように使い分けるのも楽しいんですよ。 掃除やガーデニングにおけるスプレーボトル選びにじっくり向き合う機会はそれほど多くはないかもしれない。しかしながら、もしも噴霧・噴射の“専門道具”を購入するときがきたなら、考え抜かれた機能を過不足なく搭載し、且つ飽きのこないデザインのGLORIAを是非一度手にとっていただきたい。 <記事内紹介商品> GLORIA スプレーボトル PRO05 0.5Lタイプ ¥2,970 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。

小林和人が選んだもの「トレーの話」
ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、「SEKISAKA」の万能トレーについてです。 気軽に使える、万能トレー 小林さん: SEKISAKAは1701年から福井県鯖江市で続く漆器業を前身とする株式会社セキサカのブランドで、同社は高度経済成長期には機内食用食器などの樹脂製品のOEM生産も手掛けてきました。その技術を応用して現代的に再解釈した"PLACE"は、家庭用としても業務用としても気兼ねなく使える万能トレーです。LOST AND FOUNDらしい、ベーシックな4色(ライトグレー、ベージュ、オレンジイエロー、ダークグリーン)を選びました。B5、A4、B4というサイズ展開が文具的で良いですよね。 マイケル・ジャクソンのダンスのごとく 小林さん:塗料を吹き付けたドリッピング模様が特徴なのですが、実はこの柄が滑り止めになっているんです。世代的には、どこまで斜めに傾けられるかというマイケル・ジャクソンの「Smooth Criminal」ごっこをしたくなる衝動に駆られます(笑)。お茶を出すときも倒れづらく安心ですし、子供のおやつにも良いですよね。見た目だけでなく機能を兼ねているからこそ、惹かれたトレーです。 念願の、SEKISAKAプロダクト 小林さん:SEKISAKAの代表・関坂達弘さんは、学生の頃から「Roundabout」によく来てくれていた間柄で、数年前に彼が会社を継いでブランドを立ち上げてからは展示会でずっと定点観測していました。この"PLACE"も以前から気にしていましたが、ドリッピングがただの模様ではなく、実は機能として必然性を伴っているという部分がLOST AND FOUND的なのではと思い立ち、導入を決めました。NIKKOの本社がある石川県とも北陸繋がりですしね。リサイクル樹脂素材という点でも、親和性を感じています。初めて仕事でも関わることができて嬉しかったです。 家族揃っての、朝食時間に 小林さん:"PLACE"のシリーズはLOST AND FOUNDで紹介する他の製品とも相性が良いんです。朝食にはREMASTEREDのオーバルプレートやタンブラーの白がよく映えますし、スープボウル13は実はシリアルボウルとしても最適です。子供のりんごジュースにはBormioli Roccoのホステリアシリーズで大人気分を味わせたり。家族それぞれが好きな色のトレーに、自分に合った器をのせて皆で食べる景色もまた良いでしょうね。全員のカトラリーをバサッと乗せただけでも、そのラフな感じが絵になるというか。“運ぶ”ことをよりスムーズに行うという、トレーとしての機能をしっかりと果たしながら、キッチンだけでなく、デスクやベッドサイドなどでも活躍してくれそうな汎用性の高さを持ち合わせている。加えて絶妙な色合いが独特で、新しい定番の仲間入りを後押ししている。SEKISAKAの万能トレー、プレゼントとしても喜ばれるはず! SEKISAKAのすべてのアイテムを見る 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。interview & text...
小林和人が選んだもの「トレーの話」
ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、「SEKISAKA」の万能トレーについてです。 気軽に使える、万能トレー 小林さん: SEKISAKAは1701年から福井県鯖江市で続く漆器業を前身とする株式会社セキサカのブランドで、同社は高度経済成長期には機内食用食器などの樹脂製品のOEM生産も手掛けてきました。その技術を応用して現代的に再解釈した"PLACE"は、家庭用としても業務用としても気兼ねなく使える万能トレーです。LOST AND FOUNDらしい、ベーシックな4色(ライトグレー、ベージュ、オレンジイエロー、ダークグリーン)を選びました。B5、A4、B4というサイズ展開が文具的で良いですよね。 マイケル・ジャクソンのダンスのごとく 小林さん:塗料を吹き付けたドリッピング模様が特徴なのですが、実はこの柄が滑り止めになっているんです。世代的には、どこまで斜めに傾けられるかというマイケル・ジャクソンの「Smooth Criminal」ごっこをしたくなる衝動に駆られます(笑)。お茶を出すときも倒れづらく安心ですし、子供のおやつにも良いですよね。見た目だけでなく機能を兼ねているからこそ、惹かれたトレーです。 念願の、SEKISAKAプロダクト 小林さん:SEKISAKAの代表・関坂達弘さんは、学生の頃から「Roundabout」によく来てくれていた間柄で、数年前に彼が会社を継いでブランドを立ち上げてからは展示会でずっと定点観測していました。この"PLACE"も以前から気にしていましたが、ドリッピングがただの模様ではなく、実は機能として必然性を伴っているという部分がLOST AND FOUND的なのではと思い立ち、導入を決めました。NIKKOの本社がある石川県とも北陸繋がりですしね。リサイクル樹脂素材という点でも、親和性を感じています。初めて仕事でも関わることができて嬉しかったです。 家族揃っての、朝食時間に 小林さん:"PLACE"のシリーズはLOST AND FOUNDで紹介する他の製品とも相性が良いんです。朝食にはREMASTEREDのオーバルプレートやタンブラーの白がよく映えますし、スープボウル13は実はシリアルボウルとしても最適です。子供のりんごジュースにはBormioli Roccoのホステリアシリーズで大人気分を味わせたり。家族それぞれが好きな色のトレーに、自分に合った器をのせて皆で食べる景色もまた良いでしょうね。全員のカトラリーをバサッと乗せただけでも、そのラフな感じが絵になるというか。“運ぶ”ことをよりスムーズに行うという、トレーとしての機能をしっかりと果たしながら、キッチンだけでなく、デスクやベッドサイドなどでも活躍してくれそうな汎用性の高さを持ち合わせている。加えて絶妙な色合いが独特で、新しい定番の仲間入りを後押ししている。SEKISAKAの万能トレー、プレゼントとしても喜ばれるはず! SEKISAKAのすべてのアイテムを見る 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。interview & text...

グレイッシュな日用品
今月のLOST AND TOKYO STOREのセンターテーブルは、”グレイッシュな日用品”がテーマ。今回、グレーの曖昧さに惹かれたという小林さん。小林さん:グレーモデルのBRAUNの時計の取り扱いをきっかけに、LOST AND FOUNDでセレクトしているアイテムの中にも程よいグレーのプロダクトが多いと気がつきました。グレーは、味気なさの象徴のように捉えられがちですが、実は幅のある表情豊かな色なのではないかと思います。温かみのあるものから、ひんやりとしたトーンのグレーまで、今回はその様な性格の異なるグレーの日用品を色々と揃えました。数あるグレイッシュな日用品の中から、新入荷のアイテムをご紹介いただきました。 静岡県で、成形合板(プライウッド)の技術で木工製品を作り続けるメーカー「SAITO WOOD(サイト―ウッド)」のダストボックス。高度な円筒成形合板技術から生み出されたシンプルで無駄のないデザイン。軽量で耐久性にも優れています。小林さん:私も敬愛する、プロダクトデザイナー藤城成貴(ふじしろ しげき)さんがディレクションされています。あえて木目を抑えたマットな仕上げ。様々な空間に溶け込むグレージュっぽいニュアンスも好みです。一回り小さいサイズは、LOST AND FOUNDが別注した限定サイズです。(以下、店頭のみ販売中)BASKET gray [tapered] (LAF888-SW01) ¥7,700 BASKET gray S [tapered] LOST AND FOUND 別注 (LAF888-SW02) ¥7,150 80年以上の歴史をもつ英国ブランドANGLEPOISE(アングルポイズ)。スプリング式の可動部により、あらゆる方向に光を向けることが可能になった、現在のデスクランプの始まりといえるランプです。小林さん:ANGLEPOISEは、テーブルランプの定番的存在のひとつですね。黒で空間を締めるのも素敵ですが、このロンドンの曇り空を思い起こさせるグレーも良いですね。デスクランプとテーブルランプで、それぞれ微妙にグレーのトーンが異なります。実際に店頭で見比べていただきたいです。(以下、店頭のみ販売中)Original 1227™ Mini DESK Dove...
グレイッシュな日用品
今月のLOST AND TOKYO STOREのセンターテーブルは、”グレイッシュな日用品”がテーマ。今回、グレーの曖昧さに惹かれたという小林さん。小林さん:グレーモデルのBRAUNの時計の取り扱いをきっかけに、LOST AND FOUNDでセレクトしているアイテムの中にも程よいグレーのプロダクトが多いと気がつきました。グレーは、味気なさの象徴のように捉えられがちですが、実は幅のある表情豊かな色なのではないかと思います。温かみのあるものから、ひんやりとしたトーンのグレーまで、今回はその様な性格の異なるグレーの日用品を色々と揃えました。数あるグレイッシュな日用品の中から、新入荷のアイテムをご紹介いただきました。 静岡県で、成形合板(プライウッド)の技術で木工製品を作り続けるメーカー「SAITO WOOD(サイト―ウッド)」のダストボックス。高度な円筒成形合板技術から生み出されたシンプルで無駄のないデザイン。軽量で耐久性にも優れています。小林さん:私も敬愛する、プロダクトデザイナー藤城成貴(ふじしろ しげき)さんがディレクションされています。あえて木目を抑えたマットな仕上げ。様々な空間に溶け込むグレージュっぽいニュアンスも好みです。一回り小さいサイズは、LOST AND FOUNDが別注した限定サイズです。(以下、店頭のみ販売中)BASKET gray [tapered] (LAF888-SW01) ¥7,700 BASKET gray S [tapered] LOST AND FOUND 別注 (LAF888-SW02) ¥7,150 80年以上の歴史をもつ英国ブランドANGLEPOISE(アングルポイズ)。スプリング式の可動部により、あらゆる方向に光を向けることが可能になった、現在のデスクランプの始まりといえるランプです。小林さん:ANGLEPOISEは、テーブルランプの定番的存在のひとつですね。黒で空間を締めるのも素敵ですが、このロンドンの曇り空を思い起こさせるグレーも良いですね。デスクランプとテーブルランプで、それぞれ微妙にグレーのトーンが異なります。実際に店頭で見比べていただきたいです。(以下、店頭のみ販売中)Original 1227™ Mini DESK Dove...