ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。
この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。
今回小林さんが話してくれたのは、ちょうど良いデザインの「ゴミ箱」についてです。
使っている意識がないくらいの存在感
小林さん:ゴミ箱には、自分の仕事を淡々と、粛々とこなしてくれれば良いと思っています。こういうものが必要以上にスタイリッシュだと気恥ずかしくて(笑)。余計な主張が前に出過ぎていても結局飽きちゃうし、毎日目に入るものなのでそっけないくらいが良いんじゃないかと思います。使っている意識がないくらいの存在感。
そんな目線で紹介したいのが3種のゴミ箱です。どれもドイツ製。ドイツ=質実剛健というのは紋切り型ではありつつも、結局そうだなと思いますね。
灰皿のようなゴミ箱
小林さん:まずは『DURABLE』の消火蓋付きのステンレスゴミ箱です。名前のとおり、“丈夫な”という意味を持つブランド。
外形に比べて内側の穴の径が小さく、傾斜がついています。もし燃えているものが入っちゃったとしても、中で空気がうまく対流して自動的に酸欠状態に。灰皿でもこの形があるのは、同じような考えがあるのかもしれません。
僕ならオフィスか、耐久性のあるステンレスで錆びたりする心配はないので洗面所やキッチンでも使いたいですね。
気遣い上手なゴミ箱
小林さん:次は『HAILO』のフットペタル式のゴミ箱です。踏みやすいフットペタルで蓋が開き、そしてゴミを捨てた後は蓋がゆっくり閉まるという気遣い。そっけないふりをしておいて、気遣い上手なんですよね。そういう人でありたいなと思います(笑)。
ドレッサーの下に使いたい。サイズが大きいものはオムツ用にも!」
真四角なゴミ箱
小林さん:同じく『HAILO』の大きいサイズのゴミ箱。我が家では壁が白いので、真っ白なボディのものを使っています。白でも上のパーツが黒いのでメリハリがあり、ほっこりしすぎないんです。そしてここまで真四角なものってあまりないんですよね。
内開きの蓋は軽く触れるくらいでスムーズに開きます。要注意事項としては、例えばゴミ箱の上にかかったタオルが知らない間に落ちると、音もなく静かにサッと入ってしまうこと。スムーズすぎて物が消えてしまうことも(笑)!
ゴミ箱を使わない日はない。毎日使うものにどんなことを求めるのか……
“使っている意識がないくらいの存在感でありながら、気遣い上手な一面を持っている”
そんな目線で、ゴミ箱はもちろん、日々をともに過ごす日用品がずらりと並ぶLOST AND FOUNDでの物選びを楽しんでいただきたい。
<記事内紹介商品>
小林 和人 @kazutokobayashi
1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。
「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。
interview & text by Sahoko Seki
photo by Naoki Yamashita
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