JOURNAL

BONEARTH TABLE開催直前!料理家・ワタナベマキさんが農家を訪ねる

BONEARTH TABLE開催直前!料理家・ワタナベマキさんが農家を訪ねる

2023/07/19

フードイベント「BONEARTH TABLE」の開催を前に、料理家・ワタナベマキさんと共に「BONEARTH®(ボナース)」で野菜を育てる農家「アグリコネクト」(東京・日の出町)を訪ねてきました。 NIKKOが開発した、世界初の捨てられる食器から生まれた肥料、ボナースで育てた野菜を使って、マキさんが色鮮やかな夏らしい料理の数々を考案。マキさんが目の前で調理をしてもてなすという、なんとも贅沢な1日を前に、その野菜がどのように育てられているのか、実際に見てみたい!ということで訪問が実現しました。7月初旬、暑さがどんどん厳しくなってきた頃、それでも午前中はいくぶんか気温が低いだろうと10時に現地に集合。今回伺ったアグリコネクトは、元々神楽坂で「神楽坂野菜計画」という八百屋を運営しており、5年前に日の出町で農業を始めたといいます。 アグリコネクト・河合洋輔さん:人気のサラダハーブは路地での栽培のみだったので、1年のうちに5ヶ月しか収穫できなかったんです。会社化してハウスを建て、今まで収穫できなかった夏と冬も含めて通年栽培、通年出荷をはじめました。でも作物が育ちづらい時期にどうしたら野菜が元気に育つのか…長い研究の日々が続きました。通年出荷できると言えるようになったのは、実は5年やっていてやっと去年からなんです。栽培の技術がついてきていて、様々な問題に対処できるようになってきました。 ルッコラを試食するマキさん 6棟あるビニールハウスで、1週間ごとに種をまくタイミングをずらしながら、収穫し続けるスタイル。しかししゃがみながら6時間以上かかる収穫は想像以上に大変そうです。アグリコネクト・阿部智宏さん:収穫は1枚1枚目視しながら、美味しそうな葉っぱのみを手摘みしているので、マンパワーでやるしかありません。今は週に3日、収穫しているので、大変ではありますが、1番楽しい作業でもあります。そうやって手間をかけて作られるサラダハーブとは、ケール、ルッコラ、からし菜、わさび菜の4種類の葉物野菜。ケールだけは、夏の暑さや冬の寒さで枯れることのない強さがあるので、ビニールハウスではなく外で育てているということで、一同ケール畑へ。ボナーステーブルで実際に使用するケールの畑を目の前に、興奮気味のマキさん。(TOPの写真がケール畑) マキさん:大きなブロッコリーのよう!こうやってできているんですね、知りませんでした。茎は食べられないんですか?アグリコネクト・阿部智宏さん:茎は食べられないんです。実は下の方にも葉はついていますが、夏は過密にすると虫がよってきてしまうので、きれいに取っています。春秋冬はもじゃもじゃしているんですよ。マキさん:季節によって味は変わりますか?アグリコネクト・河合洋輔さん:そうですね。春は春キャベツのように葉が柔らかいので生で、冬はかたいのですが甘みが強く火入れするのがおすすめです。 マキさん:今回のイベントではこれを使わせていただけるんですよね(と言いながらその場で味見をさせていただく)。とてもやわらかくておいしい!マキさん自身、ご自宅からほど近い広大な畑の一角を借りて、様々な野菜を育てているので、農業の大変さとともに、愛情を持って育てた野菜の本当の美味しさを痛感しているといいます。マキさん:最近は枝豆や空芯菜、落花生なんかも育てているんですよ。野菜や果物の価格変動に苦しみ、また見た目が悪いものは市場に出すことすらできないという現状に頭を悩ませる農家は多いといいます。 マキさん:皆さんの生産を見ていると、野菜がどうやって作られているかを理解し、感謝しながらちゃんとした価格で購入したいと、つくづく思いますね。 アグリコネクトでは、いくつもある畑の中で、ボナースを使うべきかを見極めながら使っているのだそう。アグリコネクト・阿部智宏さん:このあたりでは、火山灰土と言って、そもそもリン酸を吸収しづらい土があります。人工的にリン酸を供給してあげないと、なかなか吸収できない土なんです。畑の場所は時期によって植えるものが異なるので、土のバランスを見ながら、ボナースを使うかどうかを決めています。マキさん:土のバランスはどうやって見るのでしょう。 アグリコネクト・阿部智宏さん:カルシウム、マグネシウム、ミネラル、窒素…などの栄養素のバランス見て、それを補うための肥料をあげています。我々は簡易の検査キットを使ったり、専門機関に土を送ることで、より詳しい成分を出してもらい、土のバランスを常に見ながら肥料設計を整えています。今やボナースがなくてはならない肥料だと言いながらも、その価格に本音がポロリ。アグリコネクト・阿部智宏さん:通常の肥料に比べると、ボナースは高いですよね。もう少し下がったらなぁ…。ボナースの活動は始まったばかりで、実は農家にとっては価格が高いのが現状です。半永久的に使えるという利点はありながら、レストラン・農作物生産者・生活者と共に、食をとりまく循環をつくりあげていくことを目指すために、課題も多くあります。変化にブレーキをかけず、挑戦し続ける彼らの姿勢に我々も続いていきたいと感じた訪問になりました。アグリコネクト・阿部智宏さん:サラダハーブ以外にも季節の野菜に今年は挑戦して、ノウハウをどんどん貯めていきたい。考え、実行し続けたら必ず技術力は上がっていくのだから。 今回マキさんと試食したケールは、「オーガニック・エコフェスタ(※)」で最優秀賞を目指していると言います。それは何も夢のような話ではない。2021年にはルッコラ部門で最優秀賞を獲得した彼らが、満を持して生産したケールなのだから! フードイベント「BONEARTH TABLE」では、この力強いケールを味わえるひと皿「ケールと夏野菜のキヌアライス」も楽しむことができます。ワタナベマキさんによる全4皿の涼やかなメニューは、全てボナースの原料となるNIKKO FINE BONE CHINAで作られた、「REMASTERED」のテーブルウエアに盛り付けられます。おいしい料理を楽しみながら、是非一緒に食の未来を考えていきましょう。※オーガニックエコフェスタ 消費者と生産者にオーガニックの魅力と重要性を伝えること、そしてオーガニック栽培に取り組む生産者を支援する目的で2012年に初開催されたイベント。毎年、野菜の種類別に栄養価コンテストを行い、最優秀賞を決めている。特別に、ケールと夏野菜のキヌアライスのレシピを公開! ケールと夏野菜のキヌアライス 【ケールソテー】・ケール 150g・白ワイン 大さじ1・レモン汁 大さじ1・にんにく(つぶす) 1片・しょうゆ 小さじ1・塩 小さじ1/3・ピーナッツオイル 小さじ2⁡① ケールは太い芯をのぞき、2cm幅に切る② フライパンにオイルとにんにくを入れ、弱火で熱し香りがたったら①を入れて中火にし、白ワイン、塩を加えて蓋をして3分ほど蒸し炒めをする③ レモン汁、醤油を加えて和える⁡【ビーツのマリネ】・ビーツ 小1個(200g)・赤ワインビネガー 大さじ1・塩 小さじ1/3・粗びき黒こしょう 少々・オリーブオイル 小さじ2⁡① ビーツは皮をむき細切りにし、蒸し器で7分蒸す② 温かいうちに、赤ワインビネガー、塩、オリーブオイルでマリネしこしょうをふる⁡【ズッキーニのクミンマリネ】・ズッキーニ 1本(250g)・クミンシード 小さじ1・にんにく(つぶす) 1片・塩 小さじ1/3・オリーブオイル 小さじ2⁡① 薄切りにしたズッキーニは塩をふり、しんなりするまでおいて軽く絞る② クミンシードはフライパンで乾煎りし、香りがたったら①と和え、にんにく、塩、オリーブオイルを加えてさっと混ぜる⁡【キヌアライス】(作りやすい分量)・米 1.5合・キヌア 大さじ5・ローリエ 1枚・塩 小さじ1/3・水 400ml⁡① 米とキヌアは洗ってざるにあげる② 鍋に①、ローリエ、塩、水を入れて10分浸水させ、強火にかける③ 煮立ったら弱火にして12分炊き、10秒ほど強火にしたら火を消して15分蒸らす④ キヌアライスに、各々のソテーとマリネを盛り付け、混ぜながら食べる!...

BONEARTH TABLE開催直前!料理家・ワタナベマキさんが農家を訪ねる

2023/07/19

フードイベント「BONEARTH TABLE」の開催を前に、料理家・ワタナベマキさんと共に「BONEARTH®(ボナース)」で野菜を育てる農家「アグリコネクト」(東京・日の出町)を訪ねてきました。 NIKKOが開発した、世界初の捨てられる食器から生まれた肥料、ボナースで育てた野菜を使って、マキさんが色鮮やかな夏らしい料理の数々を考案。マキさんが目の前で調理をしてもてなすという、なんとも贅沢な1日を前に、その野菜がどのように育てられているのか、実際に見てみたい!ということで訪問が実現しました。7月初旬、暑さがどんどん厳しくなってきた頃、それでも午前中はいくぶんか気温が低いだろうと10時に現地に集合。今回伺ったアグリコネクトは、元々神楽坂で「神楽坂野菜計画」という八百屋を運営しており、5年前に日の出町で農業を始めたといいます。 アグリコネクト・河合洋輔さん:人気のサラダハーブは路地での栽培のみだったので、1年のうちに5ヶ月しか収穫できなかったんです。会社化してハウスを建て、今まで収穫できなかった夏と冬も含めて通年栽培、通年出荷をはじめました。でも作物が育ちづらい時期にどうしたら野菜が元気に育つのか…長い研究の日々が続きました。通年出荷できると言えるようになったのは、実は5年やっていてやっと去年からなんです。栽培の技術がついてきていて、様々な問題に対処できるようになってきました。 ルッコラを試食するマキさん 6棟あるビニールハウスで、1週間ごとに種をまくタイミングをずらしながら、収穫し続けるスタイル。しかししゃがみながら6時間以上かかる収穫は想像以上に大変そうです。アグリコネクト・阿部智宏さん:収穫は1枚1枚目視しながら、美味しそうな葉っぱのみを手摘みしているので、マンパワーでやるしかありません。今は週に3日、収穫しているので、大変ではありますが、1番楽しい作業でもあります。そうやって手間をかけて作られるサラダハーブとは、ケール、ルッコラ、からし菜、わさび菜の4種類の葉物野菜。ケールだけは、夏の暑さや冬の寒さで枯れることのない強さがあるので、ビニールハウスではなく外で育てているということで、一同ケール畑へ。ボナーステーブルで実際に使用するケールの畑を目の前に、興奮気味のマキさん。(TOPの写真がケール畑) マキさん:大きなブロッコリーのよう!こうやってできているんですね、知りませんでした。茎は食べられないんですか?アグリコネクト・阿部智宏さん:茎は食べられないんです。実は下の方にも葉はついていますが、夏は過密にすると虫がよってきてしまうので、きれいに取っています。春秋冬はもじゃもじゃしているんですよ。マキさん:季節によって味は変わりますか?アグリコネクト・河合洋輔さん:そうですね。春は春キャベツのように葉が柔らかいので生で、冬はかたいのですが甘みが強く火入れするのがおすすめです。 マキさん:今回のイベントではこれを使わせていただけるんですよね(と言いながらその場で味見をさせていただく)。とてもやわらかくておいしい!マキさん自身、ご自宅からほど近い広大な畑の一角を借りて、様々な野菜を育てているので、農業の大変さとともに、愛情を持って育てた野菜の本当の美味しさを痛感しているといいます。マキさん:最近は枝豆や空芯菜、落花生なんかも育てているんですよ。野菜や果物の価格変動に苦しみ、また見た目が悪いものは市場に出すことすらできないという現状に頭を悩ませる農家は多いといいます。 マキさん:皆さんの生産を見ていると、野菜がどうやって作られているかを理解し、感謝しながらちゃんとした価格で購入したいと、つくづく思いますね。 アグリコネクトでは、いくつもある畑の中で、ボナースを使うべきかを見極めながら使っているのだそう。アグリコネクト・阿部智宏さん:このあたりでは、火山灰土と言って、そもそもリン酸を吸収しづらい土があります。人工的にリン酸を供給してあげないと、なかなか吸収できない土なんです。畑の場所は時期によって植えるものが異なるので、土のバランスを見ながら、ボナースを使うかどうかを決めています。マキさん:土のバランスはどうやって見るのでしょう。 アグリコネクト・阿部智宏さん:カルシウム、マグネシウム、ミネラル、窒素…などの栄養素のバランス見て、それを補うための肥料をあげています。我々は簡易の検査キットを使ったり、専門機関に土を送ることで、より詳しい成分を出してもらい、土のバランスを常に見ながら肥料設計を整えています。今やボナースがなくてはならない肥料だと言いながらも、その価格に本音がポロリ。アグリコネクト・阿部智宏さん:通常の肥料に比べると、ボナースは高いですよね。もう少し下がったらなぁ…。ボナースの活動は始まったばかりで、実は農家にとっては価格が高いのが現状です。半永久的に使えるという利点はありながら、レストラン・農作物生産者・生活者と共に、食をとりまく循環をつくりあげていくことを目指すために、課題も多くあります。変化にブレーキをかけず、挑戦し続ける彼らの姿勢に我々も続いていきたいと感じた訪問になりました。アグリコネクト・阿部智宏さん:サラダハーブ以外にも季節の野菜に今年は挑戦して、ノウハウをどんどん貯めていきたい。考え、実行し続けたら必ず技術力は上がっていくのだから。 今回マキさんと試食したケールは、「オーガニック・エコフェスタ(※)」で最優秀賞を目指していると言います。それは何も夢のような話ではない。2021年にはルッコラ部門で最優秀賞を獲得した彼らが、満を持して生産したケールなのだから! フードイベント「BONEARTH TABLE」では、この力強いケールを味わえるひと皿「ケールと夏野菜のキヌアライス」も楽しむことができます。ワタナベマキさんによる全4皿の涼やかなメニューは、全てボナースの原料となるNIKKO FINE BONE CHINAで作られた、「REMASTERED」のテーブルウエアに盛り付けられます。おいしい料理を楽しみながら、是非一緒に食の未来を考えていきましょう。※オーガニックエコフェスタ 消費者と生産者にオーガニックの魅力と重要性を伝えること、そしてオーガニック栽培に取り組む生産者を支援する目的で2012年に初開催されたイベント。毎年、野菜の種類別に栄養価コンテストを行い、最優秀賞を決めている。特別に、ケールと夏野菜のキヌアライスのレシピを公開! ケールと夏野菜のキヌアライス 【ケールソテー】・ケール 150g・白ワイン 大さじ1・レモン汁 大さじ1・にんにく(つぶす) 1片・しょうゆ 小さじ1・塩 小さじ1/3・ピーナッツオイル 小さじ2⁡① ケールは太い芯をのぞき、2cm幅に切る② フライパンにオイルとにんにくを入れ、弱火で熱し香りがたったら①を入れて中火にし、白ワイン、塩を加えて蓋をして3分ほど蒸し炒めをする③ レモン汁、醤油を加えて和える⁡【ビーツのマリネ】・ビーツ 小1個(200g)・赤ワインビネガー 大さじ1・塩 小さじ1/3・粗びき黒こしょう 少々・オリーブオイル 小さじ2⁡① ビーツは皮をむき細切りにし、蒸し器で7分蒸す② 温かいうちに、赤ワインビネガー、塩、オリーブオイルでマリネしこしょうをふる⁡【ズッキーニのクミンマリネ】・ズッキーニ 1本(250g)・クミンシード 小さじ1・にんにく(つぶす) 1片・塩 小さじ1/3・オリーブオイル 小さじ2⁡① 薄切りにしたズッキーニは塩をふり、しんなりするまでおいて軽く絞る② クミンシードはフライパンで乾煎りし、香りがたったら①と和え、にんにく、塩、オリーブオイルを加えてさっと混ぜる⁡【キヌアライス】(作りやすい分量)・米 1.5合・キヌア 大さじ5・ローリエ 1枚・塩 小さじ1/3・水 400ml⁡① 米とキヌアは洗ってざるにあげる② 鍋に①、ローリエ、塩、水を入れて10分浸水させ、強火にかける③ 煮立ったら弱火にして12分炊き、10秒ほど強火にしたら火を消して15分蒸らす④ キヌアライスに、各々のソテーとマリネを盛り付け、混ぜながら食べる!...

「BAZAAR」第⼆弾開催決定!平林 奈緒美さん×⼩林 和⼈さん 対談

「BAZAAR」第⼆弾開催決定!平林 奈緒美さん×⼩林 和⼈さん 対談

2023/07/11

オープン1周年記念企画として⽴ち上がったマーケットイベント企画「BAZAAR」の第⼆弾開催が決定しました。アートディレクターの平林 奈緒美さんと、プロダクトセレクターを務める⼩林和⼈さん(Roundabout, OUTBOUND オーナー)の審美眼により、各地“忘れ物保管所”のデッドストックやユーズド品から⼤切なものを集めた“バザー”企画。買い付けを終えたお⼆⼈に、今回のアイテムの魅⼒をお話いただきました。 小林さん:今回もスタッキングアイテムが豊富に揃いました。前回も反復の美についてお話をしましたが、普段自分の店でも手仕事のものと機械生産のものを両方扱っていて、手仕事の“ゆらぎ”は好きなんですが、機械生産ならではのカチッとした感じもいいんですよね。その中でもフルオートメーションではなく、NIKKOの工場で見たように、最後は人の手で検品していたり…ちゃんと人の手と目をくぐっているものに惹かれます。平林さん:わかります。小林さんの今回のおすすめは? 小林さん:季節的にも今回はビールジョッキがおすすめです。この形でスタッキングができるというのが秀逸で、常設のセレクトに入れたいと思うくらいです。ジョッキといえば、子供の頃やっていた、麦茶でビール気分を味わう“ブクブクごっこ”を思い出します(笑)。平林さん:笑私的には「Pyrex(パイレックス)」ですね。パイレックス好きの方が自国に帰る際に放出したんでしょうか、大量に出ていて。ロゴのデザインも時代によって色々なものがあり、中にはMADE IN BRITAINのパイレックスもあったりして面白かったです。特にグラタン皿がいいですね、サイズも小降りで使いやすそう。最近ガラスの耐熱食器からなんとなく意識が逸れていて。昔は好きだったんですけど。今回見つけて、はっ!っとしました。小林さん:それもこの企画の面白さですね。ものの魅力って、もちろん機能と機能以外の部分の両方あると思っている立場ではいますけど、道具として作られているものは、やっぱり機能がいかに優れているかという部分を見てしまいますね。平林さん:それはありますね。そして今回も、小林さんは相変わらずの“計り愛”が溢れていますね。 TANITAの緑の計り、手前はPyrexのグラタン皿 小林さん:そうですね。このTANITAの、身も蓋もないような生っぽい緑の計りはおもしろい。令和の時代には見ない、絵の具のチューブから出したままみたいな緑!平林さん:なかなか見ないタイプの緑色ですね。でも状態はすごくいいですよね。私は昔のタッパーウェアがあるとつい手に取っちゃいますね。 小林さん:このタッパーが面白いのは、上から見ると丸いけど、下から見ると四角なんですよね。いい形です。平林さん:サイズからしてパスタ用でしょうかね?小林さん:そうかもしれないですね! ――買い付けた後にこの取材で“答え合わせ”をするのが楽しそうなお二人。頭をやわらかくして、グッとくるデザインがどこからやってきたのか、何のために作られたモノなのかを考えるのも、このバザーの楽しさです。 小林さん:イースターのチョコレート型もありますよ。箱の裏にある作り方の説明文がおもしろいんです。文字組が詰まりすぎてたりして。デザイナー目線でどうでしょう。平林さん:完成度が低いけどストレートに情報を伝えるためにデザインされているものって、なぜか惹かれますよね。おしゃれであれば良いというものじゃないという。小林さん:そこに奥深さがありますよね。 小林さん:今回はカトラリーが少なかったのですが、このバターナイフは僕が心の中で思い描くバターナイフの形。これぞ!っていう。「コップらしいコップ」という、僕の好きなブルーノ・ムナーリの言葉があるんですが、そういうものに惹かれてしまいます。これはとてもバターナイフらしいバターナイフ。平林さん:計りらしい計りとかね。小林さん:そうそう、グラタン皿らしいグラタン皿とか。ビールジョッキらしいビールジョッキとか。そういうものって探そうと思ってもなかなか見つからないんですよね。 平林さん:私はこのナプキンリングも好きです。円筒形のステンレスをぶった斬っただけで、オシャレ要素が何もないところがいい。小林さん:色気づいているところが全くなくていいですよね。潔さがあります。魅力を感じるものって、逆に色気を感じると言える場合もあるんですが、でもその色気を作り手が出してやろうとすると、途端にいやらしくなるという…平林さん:デザインの一番難しいところですね。小林さん的に今回のアイテムの中で色気のあるものはどれですか? 小林さん:何の主張もないように見えるこの真っ白なバットには、そこはかとない色気を感じますね。これは出そうと思って出る色気ではないと思うんですよ。スタイリング的な造形としてのデザインではなく、どちらかといえばエンジニアリング的な、設計に近い作業とも言えると思いますが、そういうベクトルのデザインは、作為と無縁であるがゆえの魅力を感じます。業務用のものはそういうものが多いのかもしれませんね。平林さん:ですね。しかもこの陶器のバットは機能的に作られているんだけど、金属のものとはまた違う表情があるじゃないですか。そういうところに色気を感じるのかもしれませんね。 小林さん:このあたりのボックスもいろいろと使えそうですよね。平林さん:実はこの一番大きくて薄いタイプが売れ残ったら、私が買おうと思っています。小林さん:何に使いますか?平林さん:家のストックルームの棚に薄くて奥行きのある段が出来ちゃっていて。そこにちょうどいいな、と。色もいい。小林さん:そうやってその人ごとの住空間のなかで「ここに使おう!」みたいな部分にピンポイントではまると嬉しいですよね。 小林さん:今回は子供用の積み木もあるんですよね。木製品自体が珍しい。平林さん:我々が道具じゃないものを選ぶのは珍しいですね。こういうおもちゃはいいですね、ソリッドで美しいし。子供の頃持っていたとか使っていたものの記憶って、結構残っているものじゃないですか。私も、これに近い木で出来た牧場のおもちゃを持ってました。そういえば、子供が使う食器なんかも、今度手がけてみたいなと思いますね。小林さん:平林さんが考える子供用食器、とても気になります。平林さん:子供の頃に家族でよく行っていたレストランがあって、そこのお子様ランチの器はメラミンではなく陶器だったんです。フチに線路が描かれていて、そこに毎回違う電車が乗っていたんですけど、そのお皿が欲しくて欲しくて…。通いつめてもらったことがありました。小林さん:わあ、いい話...!でも、平林さんはミニマリストのイメージがあるので意外ですね。そうやって子供の頃に夢があるものをたくさん使って、デコレーション欲を満たしておくというのはやっぱり大事なんですね。平林さん:いろんなものを経験して辿り着いたシンプルと、最初からシンプルなものにしか触れていないかでは大きく違いますから。小林さん:そこは確実に強度が違ってきそうですね。うちの娘も幼少期はピンクフリフリ期を経ましたが、やっぱり消化させた方がいいんですよね。親のトーン&マナーは子供に押し付けるものじゃないというか。平林さん:今の時代、特に日本人がそうだと思うんですが、みんなが正しいことをしようとするじゃないですか。前もっていろんな情報を仕入れて、その範囲内で間違いのないものを揃えていくというか。そういうのはつまらないですね。間違いのないものに囲まれて育つ子供って、どういう感じになっていくんだろうなあと思ったりします。私の育った家にはオシャレでもシンプルでもない、自分の理解できないものもたくさんあって、好きじゃなかったけど、でも自分の家にしかない懐かしい何かがあったんですよね、そういうものがなくなってしまっている気がして… 小林さん:そういう意味でいうと、緑の計りはいいですよね(笑)平林さん:これを選ぶ人がいなくなっていると思いますね。この企画では、そういうものを発掘して増やしていきたいですね。小林さん:“その他”のカテゴリーですね!平林さん:そうそう、その他のカテゴリーは各自でちょこちょこ集めておきたいですね。一緒に買い付けるのも楽しいですが、海外に行った時とか、運命的な出会いがあるので。小林さん:バザー目線で日々を過ごすのも楽しそうです。 子ども時代の暮らしの記憶が、大人になってからの暮らしにどう繋がるのか…是非「BAZAAR」には、直感を大事に、遊び心を持って足を運んでみてはいかがでしょうか。第二弾は、ガラスやステンレスものも揃い、ぐっと夏らしさあふれるものになりました。もちろん、オールドニッコーと言われる、ニッコーの珍しい食器も並びますよ!7月26日(水)から8月14日(月)までの開催、是非お越しください。 関連記事:オープン1周年企画 アートディレクター・平林 奈緒美さん×小林 和人さん 対談

「BAZAAR」第⼆弾開催決定!平林 奈緒美さん×⼩林 和⼈さん 対談

2023/07/11

オープン1周年記念企画として⽴ち上がったマーケットイベント企画「BAZAAR」の第⼆弾開催が決定しました。アートディレクターの平林 奈緒美さんと、プロダクトセレクターを務める⼩林和⼈さん(Roundabout, OUTBOUND オーナー)の審美眼により、各地“忘れ物保管所”のデッドストックやユーズド品から⼤切なものを集めた“バザー”企画。買い付けを終えたお⼆⼈に、今回のアイテムの魅⼒をお話いただきました。 小林さん:今回もスタッキングアイテムが豊富に揃いました。前回も反復の美についてお話をしましたが、普段自分の店でも手仕事のものと機械生産のものを両方扱っていて、手仕事の“ゆらぎ”は好きなんですが、機械生産ならではのカチッとした感じもいいんですよね。その中でもフルオートメーションではなく、NIKKOの工場で見たように、最後は人の手で検品していたり…ちゃんと人の手と目をくぐっているものに惹かれます。平林さん:わかります。小林さんの今回のおすすめは? 小林さん:季節的にも今回はビールジョッキがおすすめです。この形でスタッキングができるというのが秀逸で、常設のセレクトに入れたいと思うくらいです。ジョッキといえば、子供の頃やっていた、麦茶でビール気分を味わう“ブクブクごっこ”を思い出します(笑)。平林さん:笑私的には「Pyrex(パイレックス)」ですね。パイレックス好きの方が自国に帰る際に放出したんでしょうか、大量に出ていて。ロゴのデザインも時代によって色々なものがあり、中にはMADE IN BRITAINのパイレックスもあったりして面白かったです。特にグラタン皿がいいですね、サイズも小降りで使いやすそう。最近ガラスの耐熱食器からなんとなく意識が逸れていて。昔は好きだったんですけど。今回見つけて、はっ!っとしました。小林さん:それもこの企画の面白さですね。ものの魅力って、もちろん機能と機能以外の部分の両方あると思っている立場ではいますけど、道具として作られているものは、やっぱり機能がいかに優れているかという部分を見てしまいますね。平林さん:それはありますね。そして今回も、小林さんは相変わらずの“計り愛”が溢れていますね。 TANITAの緑の計り、手前はPyrexのグラタン皿 小林さん:そうですね。このTANITAの、身も蓋もないような生っぽい緑の計りはおもしろい。令和の時代には見ない、絵の具のチューブから出したままみたいな緑!平林さん:なかなか見ないタイプの緑色ですね。でも状態はすごくいいですよね。私は昔のタッパーウェアがあるとつい手に取っちゃいますね。 小林さん:このタッパーが面白いのは、上から見ると丸いけど、下から見ると四角なんですよね。いい形です。平林さん:サイズからしてパスタ用でしょうかね?小林さん:そうかもしれないですね! ――買い付けた後にこの取材で“答え合わせ”をするのが楽しそうなお二人。頭をやわらかくして、グッとくるデザインがどこからやってきたのか、何のために作られたモノなのかを考えるのも、このバザーの楽しさです。 小林さん:イースターのチョコレート型もありますよ。箱の裏にある作り方の説明文がおもしろいんです。文字組が詰まりすぎてたりして。デザイナー目線でどうでしょう。平林さん:完成度が低いけどストレートに情報を伝えるためにデザインされているものって、なぜか惹かれますよね。おしゃれであれば良いというものじゃないという。小林さん:そこに奥深さがありますよね。 小林さん:今回はカトラリーが少なかったのですが、このバターナイフは僕が心の中で思い描くバターナイフの形。これぞ!っていう。「コップらしいコップ」という、僕の好きなブルーノ・ムナーリの言葉があるんですが、そういうものに惹かれてしまいます。これはとてもバターナイフらしいバターナイフ。平林さん:計りらしい計りとかね。小林さん:そうそう、グラタン皿らしいグラタン皿とか。ビールジョッキらしいビールジョッキとか。そういうものって探そうと思ってもなかなか見つからないんですよね。 平林さん:私はこのナプキンリングも好きです。円筒形のステンレスをぶった斬っただけで、オシャレ要素が何もないところがいい。小林さん:色気づいているところが全くなくていいですよね。潔さがあります。魅力を感じるものって、逆に色気を感じると言える場合もあるんですが、でもその色気を作り手が出してやろうとすると、途端にいやらしくなるという…平林さん:デザインの一番難しいところですね。小林さん的に今回のアイテムの中で色気のあるものはどれですか? 小林さん:何の主張もないように見えるこの真っ白なバットには、そこはかとない色気を感じますね。これは出そうと思って出る色気ではないと思うんですよ。スタイリング的な造形としてのデザインではなく、どちらかといえばエンジニアリング的な、設計に近い作業とも言えると思いますが、そういうベクトルのデザインは、作為と無縁であるがゆえの魅力を感じます。業務用のものはそういうものが多いのかもしれませんね。平林さん:ですね。しかもこの陶器のバットは機能的に作られているんだけど、金属のものとはまた違う表情があるじゃないですか。そういうところに色気を感じるのかもしれませんね。 小林さん:このあたりのボックスもいろいろと使えそうですよね。平林さん:実はこの一番大きくて薄いタイプが売れ残ったら、私が買おうと思っています。小林さん:何に使いますか?平林さん:家のストックルームの棚に薄くて奥行きのある段が出来ちゃっていて。そこにちょうどいいな、と。色もいい。小林さん:そうやってその人ごとの住空間のなかで「ここに使おう!」みたいな部分にピンポイントではまると嬉しいですよね。 小林さん:今回は子供用の積み木もあるんですよね。木製品自体が珍しい。平林さん:我々が道具じゃないものを選ぶのは珍しいですね。こういうおもちゃはいいですね、ソリッドで美しいし。子供の頃持っていたとか使っていたものの記憶って、結構残っているものじゃないですか。私も、これに近い木で出来た牧場のおもちゃを持ってました。そういえば、子供が使う食器なんかも、今度手がけてみたいなと思いますね。小林さん:平林さんが考える子供用食器、とても気になります。平林さん:子供の頃に家族でよく行っていたレストランがあって、そこのお子様ランチの器はメラミンではなく陶器だったんです。フチに線路が描かれていて、そこに毎回違う電車が乗っていたんですけど、そのお皿が欲しくて欲しくて…。通いつめてもらったことがありました。小林さん:わあ、いい話...!でも、平林さんはミニマリストのイメージがあるので意外ですね。そうやって子供の頃に夢があるものをたくさん使って、デコレーション欲を満たしておくというのはやっぱり大事なんですね。平林さん:いろんなものを経験して辿り着いたシンプルと、最初からシンプルなものにしか触れていないかでは大きく違いますから。小林さん:そこは確実に強度が違ってきそうですね。うちの娘も幼少期はピンクフリフリ期を経ましたが、やっぱり消化させた方がいいんですよね。親のトーン&マナーは子供に押し付けるものじゃないというか。平林さん:今の時代、特に日本人がそうだと思うんですが、みんなが正しいことをしようとするじゃないですか。前もっていろんな情報を仕入れて、その範囲内で間違いのないものを揃えていくというか。そういうのはつまらないですね。間違いのないものに囲まれて育つ子供って、どういう感じになっていくんだろうなあと思ったりします。私の育った家にはオシャレでもシンプルでもない、自分の理解できないものもたくさんあって、好きじゃなかったけど、でも自分の家にしかない懐かしい何かがあったんですよね、そういうものがなくなってしまっている気がして… 小林さん:そういう意味でいうと、緑の計りはいいですよね(笑)平林さん:これを選ぶ人がいなくなっていると思いますね。この企画では、そういうものを発掘して増やしていきたいですね。小林さん:“その他”のカテゴリーですね!平林さん:そうそう、その他のカテゴリーは各自でちょこちょこ集めておきたいですね。一緒に買い付けるのも楽しいですが、海外に行った時とか、運命的な出会いがあるので。小林さん:バザー目線で日々を過ごすのも楽しそうです。 子ども時代の暮らしの記憶が、大人になってからの暮らしにどう繋がるのか…是非「BAZAAR」には、直感を大事に、遊び心を持って足を運んでみてはいかがでしょうか。第二弾は、ガラスやステンレスものも揃い、ぐっと夏らしさあふれるものになりました。もちろん、オールドニッコーと言われる、ニッコーの珍しい食器も並びますよ!7月26日(水)から8月14日(月)までの開催、是非お越しください。 関連記事:オープン1周年企画 アートディレクター・平林 奈緒美さん×小林 和人さん 対談

LOST AND FOUND「飲食店のUTSUWA  Vol.1 LUCKY ALEXANDER CHINA」

LOST AND FOUND「飲食店のUTSUWA Vol.1 LUCKY ALEXANDE...

2023/06/30

NIKKOとさまざまな取り組みをご一緒している飲食店のプロフェッショナルたちの器選びにおけるこだわり、器に盛り付ける一品にかけた想いなど、店舗紹介とともに心ゆくまで話していただく新連載、「飲食店のUTSUWA」がスタートします。第一回目となる今回は、原宿を代表する行列のできるグルメバーガー店「THE GREAT BURGER」をはじめヒット店舗を連発し、もはや原宿エリアで知らない人はいない!というほど人気店舗を複数軒経営している、車田篤氏率いる株式会社LDFSの新店舗「LUCKY ALEXANDER CHINA」です。原宿ではなく、新たな地として選んだのは、松見坂交差点近くの淡島通り。アメリカチャイナタウンにある町中華をイメージした、餃子が主役の新しいスタイルの中華料理店です。 「LUCKY ALEXANDER CHINA」が生まれるまで 「場所を借りたときは、実はまだどんな業態にするか決めていませんでした。でも、単品で勝負するお店はいつかやりたいなという構想はあったんです。餃子は、いつかやってみたいと思っていました。昔から一つ、売りがある専門店が好きなんです。」 飲食店は人を元気にするという役割があると常々考えているというオーナー車田篤氏。そんな想いから、“LUCKY”で始まる店舗を作りたいとぼんやり考えていたところ、“LUCKY”に人の名前を足して店名にしたらどうか!とひらめいて、昔よく遊んでいた友人のALEXANDERの名前をもらい、「LUCKY ALEXANDER CHINA」通称「LUCKY ALEX」という名前が生まれたそうです。 夜をメインにしたお店も、中華料理という業態も手がけるのは初の試みだということですが、細かいところまで自らデザインした店内は、飲食店の醍醐味である「幸運=LUCKY」がとことん詰め込まれていて、はじめてとは思えない完成度の高さ。壁にも「明日はきっといい日になる」など元気が出るような言葉や格言が散りばめられています。壁に使われている木、照明、入り口のドアの仕様やタイルの形に至るまで、モダンでありながら古き良き、昔ながらの風情を感じる「アメリカのチャイナタウン感」を演出するためにたくさんの細かい工夫が凝らされてます。そして、中国で縁起が良いとされる“8”にちなんだ八角形のテーブルや、赤い幸運カラーを基調としたトイレ、そしてそこに鎮座するゴールドの便器まで、まるでパワースポット!? 運気が上がらないわけがない空間に仕上がっています。 圧巻のメニュー数 「餃子でいく!と決めたものの、麻婆豆腐も海老チリも食べたい!お客さんに喜んでもらいたいなと考えていたら、メニューがかなり増えました(笑)。」というのも納得、餃子3種の他に小籠包、麻婆豆腐、よだれ鶏などお酒のおつまみにもぴったりな一品メニューは20種類ほど。〆にはチャーハンなどに加え、和歌山を代表する「丸田屋」のミニ中華そばもラインナップ。ビール8種、紹興酒やバイボール、サワー各種、ナチュラルワインに加え、ソフトドリンクも11種とドリンクの品揃えも圧巻です。デザートも5種類と、何度も通わないと制覇できないほど充実しています。 ランチタイムには、餃子とメインを組み合わせたボリューム満点のセットもあり、夜はわいわいと飲みながらつまむもよし、しっかり腹を満たすもよし。食べ終わったら、車田氏自ら考えたという39種類の有難いお言葉が入ったフォーチュンクッキーで運試しの楽しみも。 使い勝手の良い、全てが“LUCKY”尽くしの新しい溜まり場になりそうです。 NIKKOとのモノづくり デザートやグラスの一部を除いて、店内で使われている食器のほとんどはNIKKOで作られたオリジナルのもの。車田氏がNIKKO本社を訪れ、膨大なコレクションの中からセレクトし、デザインをしたボーンチャイナたちがお店をさらに盛り上げます。「どこもかしこも飲食店の器が素焼きのナチュラル系という、いわゆる"トレンド"に個人的にはもう若干飽きてきたから、正反対のボーンチャイナでいこうと思ったんです。」醤油やラー油入れ、薬味を入れる器もサンプルが充実していたので、店舗で使用しているイメージがすぐに浮かび、セレクトにも時間が掛からなかったそうです。既存のチャーハン皿は丸みが強かったので、少し角張ったクラシックなフォルムにしたい、という希望で型からおこしました。 「さまざまなメーカーのものを試しましたが、NIKKOの製品は全てにおいて形状の設計にこだわりを感じられました。レンゲなどは、口に入れた時の感じがとてもよかったし、透き通るような白の色味も質感も理想的でした。」食べ終わると「幸運=LUCKY」が出てくるようにデザインされているのがポイント! 今回特にこだわったのは、プリントの“赤”の色味。パンっと目に飛び込んでくるような発色の良い鮮やかでコクのある赤を選び、ロゴをプリントにしたのは、90年代のカフェブームの時代を報復とさせる雰囲気を、一周まわってもう一度、という思いからだそう。裏面もしっかりデザインされていて、こちらもどこか懐かしくて馴染みのあるビジュアルですね。家にあると、おうち時間も“LUCKY”になる!? 贈り物にも喜ばれそうな幸運アイテム、「LUCKY ALEX」×NIKKOの器たち。ほとんどの種類は店頭でも販売もしてるので、ぜひチェックしてください。 <店舗情報>LUCKY ALEXANDER CHINA (通称:LUCKY ALEX)住所:東京都目黒区駒場1-16-9電話番号:03-6804-7352営業時間:火〜金...

LOST AND FOUND「飲食店のUTSUWA Vol.1 LUCKY ALEXANDE...

2023/06/30

NIKKOとさまざまな取り組みをご一緒している飲食店のプロフェッショナルたちの器選びにおけるこだわり、器に盛り付ける一品にかけた想いなど、店舗紹介とともに心ゆくまで話していただく新連載、「飲食店のUTSUWA」がスタートします。第一回目となる今回は、原宿を代表する行列のできるグルメバーガー店「THE GREAT BURGER」をはじめヒット店舗を連発し、もはや原宿エリアで知らない人はいない!というほど人気店舗を複数軒経営している、車田篤氏率いる株式会社LDFSの新店舗「LUCKY ALEXANDER CHINA」です。原宿ではなく、新たな地として選んだのは、松見坂交差点近くの淡島通り。アメリカチャイナタウンにある町中華をイメージした、餃子が主役の新しいスタイルの中華料理店です。 「LUCKY ALEXANDER CHINA」が生まれるまで 「場所を借りたときは、実はまだどんな業態にするか決めていませんでした。でも、単品で勝負するお店はいつかやりたいなという構想はあったんです。餃子は、いつかやってみたいと思っていました。昔から一つ、売りがある専門店が好きなんです。」 飲食店は人を元気にするという役割があると常々考えているというオーナー車田篤氏。そんな想いから、“LUCKY”で始まる店舗を作りたいとぼんやり考えていたところ、“LUCKY”に人の名前を足して店名にしたらどうか!とひらめいて、昔よく遊んでいた友人のALEXANDERの名前をもらい、「LUCKY ALEXANDER CHINA」通称「LUCKY ALEX」という名前が生まれたそうです。 夜をメインにしたお店も、中華料理という業態も手がけるのは初の試みだということですが、細かいところまで自らデザインした店内は、飲食店の醍醐味である「幸運=LUCKY」がとことん詰め込まれていて、はじめてとは思えない完成度の高さ。壁にも「明日はきっといい日になる」など元気が出るような言葉や格言が散りばめられています。壁に使われている木、照明、入り口のドアの仕様やタイルの形に至るまで、モダンでありながら古き良き、昔ながらの風情を感じる「アメリカのチャイナタウン感」を演出するためにたくさんの細かい工夫が凝らされてます。そして、中国で縁起が良いとされる“8”にちなんだ八角形のテーブルや、赤い幸運カラーを基調としたトイレ、そしてそこに鎮座するゴールドの便器まで、まるでパワースポット!? 運気が上がらないわけがない空間に仕上がっています。 圧巻のメニュー数 「餃子でいく!と決めたものの、麻婆豆腐も海老チリも食べたい!お客さんに喜んでもらいたいなと考えていたら、メニューがかなり増えました(笑)。」というのも納得、餃子3種の他に小籠包、麻婆豆腐、よだれ鶏などお酒のおつまみにもぴったりな一品メニューは20種類ほど。〆にはチャーハンなどに加え、和歌山を代表する「丸田屋」のミニ中華そばもラインナップ。ビール8種、紹興酒やバイボール、サワー各種、ナチュラルワインに加え、ソフトドリンクも11種とドリンクの品揃えも圧巻です。デザートも5種類と、何度も通わないと制覇できないほど充実しています。 ランチタイムには、餃子とメインを組み合わせたボリューム満点のセットもあり、夜はわいわいと飲みながらつまむもよし、しっかり腹を満たすもよし。食べ終わったら、車田氏自ら考えたという39種類の有難いお言葉が入ったフォーチュンクッキーで運試しの楽しみも。 使い勝手の良い、全てが“LUCKY”尽くしの新しい溜まり場になりそうです。 NIKKOとのモノづくり デザートやグラスの一部を除いて、店内で使われている食器のほとんどはNIKKOで作られたオリジナルのもの。車田氏がNIKKO本社を訪れ、膨大なコレクションの中からセレクトし、デザインをしたボーンチャイナたちがお店をさらに盛り上げます。「どこもかしこも飲食店の器が素焼きのナチュラル系という、いわゆる"トレンド"に個人的にはもう若干飽きてきたから、正反対のボーンチャイナでいこうと思ったんです。」醤油やラー油入れ、薬味を入れる器もサンプルが充実していたので、店舗で使用しているイメージがすぐに浮かび、セレクトにも時間が掛からなかったそうです。既存のチャーハン皿は丸みが強かったので、少し角張ったクラシックなフォルムにしたい、という希望で型からおこしました。 「さまざまなメーカーのものを試しましたが、NIKKOの製品は全てにおいて形状の設計にこだわりを感じられました。レンゲなどは、口に入れた時の感じがとてもよかったし、透き通るような白の色味も質感も理想的でした。」食べ終わると「幸運=LUCKY」が出てくるようにデザインされているのがポイント! 今回特にこだわったのは、プリントの“赤”の色味。パンっと目に飛び込んでくるような発色の良い鮮やかでコクのある赤を選び、ロゴをプリントにしたのは、90年代のカフェブームの時代を報復とさせる雰囲気を、一周まわってもう一度、という思いからだそう。裏面もしっかりデザインされていて、こちらもどこか懐かしくて馴染みのあるビジュアルですね。家にあると、おうち時間も“LUCKY”になる!? 贈り物にも喜ばれそうな幸運アイテム、「LUCKY ALEX」×NIKKOの器たち。ほとんどの種類は店頭でも販売もしてるので、ぜひチェックしてください。 <店舗情報>LUCKY ALEXANDER CHINA (通称:LUCKY ALEX)住所:東京都目黒区駒場1-16-9電話番号:03-6804-7352営業時間:火〜金...

hideya流 初夏のアペリティーボ術

hideya流 初夏のアペリティーボ術

2023/06/22

夏の気配を感じる暑い日に、涼やかなガラスアイテムを使ったインスタライブを開催しました。ゲストは、様々なジャンルでご活躍されているアートディレクターのhideyaさんです。ご自宅にゲストを招いてアペリティーボからディナーを振る舞うhideyaさんのセンスは、毎回SNSで話題になっています。今回は特別に、LOST AND FOUNDに並ぶ約50種類もの涼やかなガラスアイテムから“とっておき”を選んでいただき、手軽で素敵な初夏のアペリティーボ術を伝授していただきました。そのレシピとポイントをお伝えします。 hideya 1985年生まれ。10代はニューヨークで育ち、エンターテイメントにおける活動後、音楽家としてはもちろん、空間プロデュース、フラワーデザイン、フードクリエイション、映像クリエイションなど映画の1シーンのように神秘的でエネルギー溢れる作品は圧巻。メゾンブランドのアートディレクションからイベント制作なども全体を通してブランディングを築き、またセレブリティーウェディングの総合プロデュースなど活躍は多岐にわたる。クライアントには企業のみならず世界中の(ニューヨーク・香港・韓国・イタリアなど)社交人の多くがリストに並ぶ。新進気鋭若手アーティスト。   ライム香るピーマンの爽やか和え  (材料:4人分)・ピーマン 中3個・大葉 約10枚・みょうが 3本・ライム 半分・塩、オリーブオイル 適量作り方:① ピーマンは細切りにし、軽く塩をふる。3分ほど経ったところで、ピーマンから出た水気をキッチンペーパーで丁寧に取り、青臭さを取る。② 大葉とミョウガを細切りにし、①に和え、オリーブオイルと塩、隠し味にライムの薄切りと果汁を入れて混ぜ合わせる。盛り付けた器は、「イッケンドルフ ミラノ」のもの。本来はカップとセットにしてソーサーとして作られたものなのですが、hideyaさんのアイディアのように、前菜などのちょっとしたものを盛り付けるのにも最適です。 豆苗とイカのシャキシャキ和え (材料:4人分)・豆苗 1袋・刺身用イカ 80g程度・ミント 適量・レモン汁、塩、醤油、オリーブオイル 適量作り方:① 沸騰したお湯が入った鍋に豆苗を入れ、蓋をして約1分半経ったら取り出し、水気を切って少し冷ましておく。*豆苗を鍋に入れる時は火からおろすことがポイント!*豆苗がくたくたになる前に取り出すのがポイント!② イカは約1センチの細切りにする。③ ①、②の順で器に盛り、上からちぎったミントをのせ、レモン汁、塩、オリーブオイル、醤油を5まわし入れる。こちらの器も「イッケンドルフ ミラノ」のもの。耐熱ガラスなので、温かいお料理にも、熱い飲み物にも対応できる優れもの。高さや幅の違うサイズ違いもラインナップしているので、用途に合わせて選ぶことができます。 トマトの生姜マリネ (材料:4人分)・トマト 3個・生姜 1かけ...

hideya流 初夏のアペリティーボ術

2023/06/22

夏の気配を感じる暑い日に、涼やかなガラスアイテムを使ったインスタライブを開催しました。ゲストは、様々なジャンルでご活躍されているアートディレクターのhideyaさんです。ご自宅にゲストを招いてアペリティーボからディナーを振る舞うhideyaさんのセンスは、毎回SNSで話題になっています。今回は特別に、LOST AND FOUNDに並ぶ約50種類もの涼やかなガラスアイテムから“とっておき”を選んでいただき、手軽で素敵な初夏のアペリティーボ術を伝授していただきました。そのレシピとポイントをお伝えします。 hideya 1985年生まれ。10代はニューヨークで育ち、エンターテイメントにおける活動後、音楽家としてはもちろん、空間プロデュース、フラワーデザイン、フードクリエイション、映像クリエイションなど映画の1シーンのように神秘的でエネルギー溢れる作品は圧巻。メゾンブランドのアートディレクションからイベント制作なども全体を通してブランディングを築き、またセレブリティーウェディングの総合プロデュースなど活躍は多岐にわたる。クライアントには企業のみならず世界中の(ニューヨーク・香港・韓国・イタリアなど)社交人の多くがリストに並ぶ。新進気鋭若手アーティスト。   ライム香るピーマンの爽やか和え  (材料:4人分)・ピーマン 中3個・大葉 約10枚・みょうが 3本・ライム 半分・塩、オリーブオイル 適量作り方:① ピーマンは細切りにし、軽く塩をふる。3分ほど経ったところで、ピーマンから出た水気をキッチンペーパーで丁寧に取り、青臭さを取る。② 大葉とミョウガを細切りにし、①に和え、オリーブオイルと塩、隠し味にライムの薄切りと果汁を入れて混ぜ合わせる。盛り付けた器は、「イッケンドルフ ミラノ」のもの。本来はカップとセットにしてソーサーとして作られたものなのですが、hideyaさんのアイディアのように、前菜などのちょっとしたものを盛り付けるのにも最適です。 豆苗とイカのシャキシャキ和え (材料:4人分)・豆苗 1袋・刺身用イカ 80g程度・ミント 適量・レモン汁、塩、醤油、オリーブオイル 適量作り方:① 沸騰したお湯が入った鍋に豆苗を入れ、蓋をして約1分半経ったら取り出し、水気を切って少し冷ましておく。*豆苗を鍋に入れる時は火からおろすことがポイント!*豆苗がくたくたになる前に取り出すのがポイント!② イカは約1センチの細切りにする。③ ①、②の順で器に盛り、上からちぎったミントをのせ、レモン汁、塩、オリーブオイル、醤油を5まわし入れる。こちらの器も「イッケンドルフ ミラノ」のもの。耐熱ガラスなので、温かいお料理にも、熱い飲み物にも対応できる優れもの。高さや幅の違うサイズ違いもラインナップしているので、用途に合わせて選ぶことができます。 トマトの生姜マリネ (材料:4人分)・トマト 3個・生姜 1かけ...

JUNE FEATURED ITEMS 小泉硝子製作所

JUNE FEATURED ITEMS 小泉硝子製作所

2023/06/16

LOST AND FOUND TOKYO STOREのアイテムから、毎月光をあててご紹介しているセンターテーブル。6月は、"夏至の前の身支度"をテーマに、自分自身や身の回りを整える日用品をご紹介しています。 その中から今月は「小泉硝子製作所」 へ、セレクターの小林和人氏とお伺いしました。 明治45年(1912年)に東京都台東区三ノ輪に創業した「小泉硝子製作所」は、ホウケイ酸ガラス(耐熱ガラス)を自社内で溶解できる数少ない国内メーカーです。 小林さん:LOST AND FOUNDを手掛けるNIKKOのように、国内で100年以上もの間、ものづくりを続ける作り手との取り組みができたらと考えていました。 現在は茨城県に工場を構え、1点1点、職人による手吹きや加工技術で、理化学用、医療用から、食器まで、様々な分野のガラス製品を世に送り出しています。 工場に並ぶのは、病院、薬品会社などから注文を受けて、製作したガラス製品のサンプルたち。元々、医療や実験器具として使用していた型を加工して、新たな姿に生まれ変わった商品も多数生まれています。 LOST AND FOUND TOKYO STOREでも取り扱いしている 「HOYA POT」は、照明やガス灯のガラスシェードとして使われた「ホヤ」をベースに飲み口や底をつけドリップポット型に。取り外しできるレザーホルダーはレザーブランド「.URUKUST(ウルクスト)」のデザイン。当初、ウルクストさんがこのポットを注文し、オリジナルのレザーハンドルを付けて引き出物としてお配りしたところから、商品化に至ったそうです。 小泉硝子製作所(以下小泉硝子)さん「病院で使用していたガラス容器に、もともとついていた目盛りをいれずに、蓋と取手を付けたガラスジャーです。梅酒を漬けたりする方もいらっしゃいますよ」こちらのアイテムは? 小泉硝子さん「目をあらうための瓶です。以前、酵素シロップ作家の方がこちらに蓋を付けて作られたこともあります。」 小泉硝子さん「こちらは昆虫採集のときに、いくつか組み合わせてゴム栓を装着して使うもの。ほかにも、毒壺、殺虫管など、すごい名前の瓶もありますよ。」 小泉硝子さん「こちらは腰につけるウイスキー瓶です。いまは作っていないですけれど…3つに分かれる型に吹きこんで作っています。」 セレクターの小林和人さんが掘り出すガラス器具たち。ここからまた新しい商品が生まれてくるかもしれません。これこそLOST AND FOUND!小林さん:今回、生産現場を訪れることで、一つ一つの製品が文字通り人の息吹によって形づくられ、微細な加減によって仕上げられているという小泉硝子の工芸的な側面を見ることができ、意義深かったです。また、過去の製品の型を生かした新しいプロダクトのアイディアも色々と湧き、今後に繋がりそうな収穫がありました。 今月のセンターテーブルで注目した、「小泉硝子製作所」のアイテムもご紹介します。小林さん:LOST AND FOUNDに並ぶ製品は、実験器具然とした素っ気ない佇まいが魅力ともいえますが、時折その背景にある人の手に想いを巡らすことで、また新たな魅力が立ち上がってくるかもしれません。...

JUNE FEATURED ITEMS 小泉硝子製作所

2023/06/16

LOST AND FOUND TOKYO STOREのアイテムから、毎月光をあててご紹介しているセンターテーブル。6月は、"夏至の前の身支度"をテーマに、自分自身や身の回りを整える日用品をご紹介しています。 その中から今月は「小泉硝子製作所」 へ、セレクターの小林和人氏とお伺いしました。 明治45年(1912年)に東京都台東区三ノ輪に創業した「小泉硝子製作所」は、ホウケイ酸ガラス(耐熱ガラス)を自社内で溶解できる数少ない国内メーカーです。 小林さん:LOST AND FOUNDを手掛けるNIKKOのように、国内で100年以上もの間、ものづくりを続ける作り手との取り組みができたらと考えていました。 現在は茨城県に工場を構え、1点1点、職人による手吹きや加工技術で、理化学用、医療用から、食器まで、様々な分野のガラス製品を世に送り出しています。 工場に並ぶのは、病院、薬品会社などから注文を受けて、製作したガラス製品のサンプルたち。元々、医療や実験器具として使用していた型を加工して、新たな姿に生まれ変わった商品も多数生まれています。 LOST AND FOUND TOKYO STOREでも取り扱いしている 「HOYA POT」は、照明やガス灯のガラスシェードとして使われた「ホヤ」をベースに飲み口や底をつけドリップポット型に。取り外しできるレザーホルダーはレザーブランド「.URUKUST(ウルクスト)」のデザイン。当初、ウルクストさんがこのポットを注文し、オリジナルのレザーハンドルを付けて引き出物としてお配りしたところから、商品化に至ったそうです。 小泉硝子製作所(以下小泉硝子)さん「病院で使用していたガラス容器に、もともとついていた目盛りをいれずに、蓋と取手を付けたガラスジャーです。梅酒を漬けたりする方もいらっしゃいますよ」こちらのアイテムは? 小泉硝子さん「目をあらうための瓶です。以前、酵素シロップ作家の方がこちらに蓋を付けて作られたこともあります。」 小泉硝子さん「こちらは昆虫採集のときに、いくつか組み合わせてゴム栓を装着して使うもの。ほかにも、毒壺、殺虫管など、すごい名前の瓶もありますよ。」 小泉硝子さん「こちらは腰につけるウイスキー瓶です。いまは作っていないですけれど…3つに分かれる型に吹きこんで作っています。」 セレクターの小林和人さんが掘り出すガラス器具たち。ここからまた新しい商品が生まれてくるかもしれません。これこそLOST AND FOUND!小林さん:今回、生産現場を訪れることで、一つ一つの製品が文字通り人の息吹によって形づくられ、微細な加減によって仕上げられているという小泉硝子の工芸的な側面を見ることができ、意義深かったです。また、過去の製品の型を生かした新しいプロダクトのアイディアも色々と湧き、今後に繋がりそうな収穫がありました。 今月のセンターテーブルで注目した、「小泉硝子製作所」のアイテムもご紹介します。小林さん:LOST AND FOUNDに並ぶ製品は、実験器具然とした素っ気ない佇まいが魅力ともいえますが、時折その背景にある人の手に想いを巡らすことで、また新たな魅力が立ち上がってくるかもしれません。...

小林和人が選んだもの「トレーの話」

小林和人が選んだもの「トレーの話」

2023/06/13

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、「SEKISAKA」の万能トレーについてです。 気軽に使える、万能トレー 小林さん: SEKISAKAは1701年から福井県鯖江市で続く漆器業を前身とする株式会社セキサカのブランドで、同社は高度経済成長期には機内食用食器などの樹脂製品のOEM生産も手掛けてきました。その技術を応用して現代的に再解釈した"PLACE"は、家庭用としても業務用としても気兼ねなく使える万能トレーです。LOST AND FOUNDらしい、ベーシックな4色(ライトグレー、ベージュ、オレンジイエロー、ダークグリーン)を選びました。B5、A4、B4というサイズ展開が文具的で良いですよね。 マイケル・ジャクソンのダンスのごとく 小林さん:塗料を吹き付けたドリッピング模様が特徴なのですが、実はこの柄が滑り止めになっているんです。世代的には、どこまで斜めに傾けられるかというマイケル・ジャクソンの「Smooth Criminal」ごっこをしたくなる衝動に駆られます(笑)。お茶を出すときも倒れづらく安心ですし、子供のおやつにも良いですよね。見た目だけでなく機能を兼ねているからこそ、惹かれたトレーです。 念願の、SEKISAKAプロダクト 小林さん:SEKISAKAの代表・関坂達弘さんは、学生の頃から「Roundabout」によく来てくれていた間柄で、数年前に彼が会社を継いでブランドを立ち上げてからは展示会でずっと定点観測していました。この"PLACE"も以前から気にしていましたが、ドリッピングがただの模様ではなく、実は機能として必然性を伴っているという部分がLOST AND FOUND的なのではと思い立ち、導入を決めました。NIKKOの本社がある石川県とも北陸繋がりですしね。リサイクル樹脂素材という点でも、親和性を感じています。初めて仕事でも関わることができて嬉しかったです。 家族揃っての、朝食時間に 小林さん:"PLACE"のシリーズはLOST AND FOUNDで紹介する他の製品とも相性が良いんです。朝食にはREMASTEREDのオーバルプレートやタンブラーの白がよく映えますし、スープボウル13は実はシリアルボウルとしても最適です。子供のりんごジュースにはBormioli Roccoのホステリアシリーズで大人気分を味わせたり。家族それぞれが好きな色のトレーに、自分に合った器をのせて皆で食べる景色もまた良いでしょうね。全員のカトラリーをバサッと乗せただけでも、そのラフな感じが絵になるというか。“運ぶ”ことをよりスムーズに行うという、トレーとしての機能をしっかりと果たしながら、キッチンだけでなく、デスクやベッドサイドなどでも活躍してくれそうな汎用性の高さを持ち合わせている。加えて絶妙な色合いが独特で、新しい定番の仲間入りを後押ししている。SEKISAKAの万能トレー、プレゼントとしても喜ばれるはず! SEKISAKAのすべてのアイテムを見る 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。interview & text...

小林和人が選んだもの「トレーの話」

2023/06/13

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。 今回小林さんが話してくれたのは、「SEKISAKA」の万能トレーについてです。 気軽に使える、万能トレー 小林さん: SEKISAKAは1701年から福井県鯖江市で続く漆器業を前身とする株式会社セキサカのブランドで、同社は高度経済成長期には機内食用食器などの樹脂製品のOEM生産も手掛けてきました。その技術を応用して現代的に再解釈した"PLACE"は、家庭用としても業務用としても気兼ねなく使える万能トレーです。LOST AND FOUNDらしい、ベーシックな4色(ライトグレー、ベージュ、オレンジイエロー、ダークグリーン)を選びました。B5、A4、B4というサイズ展開が文具的で良いですよね。 マイケル・ジャクソンのダンスのごとく 小林さん:塗料を吹き付けたドリッピング模様が特徴なのですが、実はこの柄が滑り止めになっているんです。世代的には、どこまで斜めに傾けられるかというマイケル・ジャクソンの「Smooth Criminal」ごっこをしたくなる衝動に駆られます(笑)。お茶を出すときも倒れづらく安心ですし、子供のおやつにも良いですよね。見た目だけでなく機能を兼ねているからこそ、惹かれたトレーです。 念願の、SEKISAKAプロダクト 小林さん:SEKISAKAの代表・関坂達弘さんは、学生の頃から「Roundabout」によく来てくれていた間柄で、数年前に彼が会社を継いでブランドを立ち上げてからは展示会でずっと定点観測していました。この"PLACE"も以前から気にしていましたが、ドリッピングがただの模様ではなく、実は機能として必然性を伴っているという部分がLOST AND FOUND的なのではと思い立ち、導入を決めました。NIKKOの本社がある石川県とも北陸繋がりですしね。リサイクル樹脂素材という点でも、親和性を感じています。初めて仕事でも関わることができて嬉しかったです。 家族揃っての、朝食時間に 小林さん:"PLACE"のシリーズはLOST AND FOUNDで紹介する他の製品とも相性が良いんです。朝食にはREMASTEREDのオーバルプレートやタンブラーの白がよく映えますし、スープボウル13は実はシリアルボウルとしても最適です。子供のりんごジュースにはBormioli Roccoのホステリアシリーズで大人気分を味わせたり。家族それぞれが好きな色のトレーに、自分に合った器をのせて皆で食べる景色もまた良いでしょうね。全員のカトラリーをバサッと乗せただけでも、そのラフな感じが絵になるというか。“運ぶ”ことをよりスムーズに行うという、トレーとしての機能をしっかりと果たしながら、キッチンだけでなく、デスクやベッドサイドなどでも活躍してくれそうな汎用性の高さを持ち合わせている。加えて絶妙な色合いが独特で、新しい定番の仲間入りを後押ししている。SEKISAKAの万能トレー、プレゼントとしても喜ばれるはず! SEKISAKAのすべてのアイテムを見る 小林 和人 @kazutokobayashi1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。interview & text...