小林和人が選んだもの「トレーの話」

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。
この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。

今回小林さんが話してくれたのは、「SEKISAKA」の万能トレーについてです。

気軽に使える、万能トレー

小林さん: SEKISAKAは1701年から福井県鯖江市で続く漆器業を前身とする株式会社セキサカのブランドで、同社は高度経済成長期には機内食用食器などの樹脂製品のOEM生産も手掛けてきました。その技術を応用して現代的に再解釈した"PLACE"は、家庭用としても業務用としても気兼ねなく使える万能トレーです。
LOST AND FOUNDらしい、ベーシックな4色(ライトグレー、ベージュ、オレンジイエロー、ダークグリーン)を選びました。B5、A4、B4というサイズ展開が文具的で良いですよね。

マイケル・ジャクソンのダンスのごとく

小林さん:塗料を吹き付けたドリッピング模様が特徴なのですが、実はこの柄が滑り止めになっているんです。世代的には、どこまで斜めに傾けられるかというマイケル・ジャクソンの「Smooth Criminal」ごっこをしたくなる衝動に駆られます(笑)。
お茶を出すときも倒れづらく安心ですし、子供のおやつにも良いですよね。見た目だけでなく機能を兼ねているからこそ、惹かれたトレーです。

念願の、SEKISAKAプロダクト

小林さん:SEKISAKAの代表・関坂達弘さんは、学生の頃から「Roundabout」によく来てくれていた間柄で、数年前に彼が会社を継いでブランドを立ち上げてからは展示会でずっと定点観測していました。
この"PLACE"も以前から気にしていましたが、ドリッピングがただの模様ではなく、実は機能として必然性を伴っているという部分がLOST AND FOUND的なのではと思い立ち、導入を決めました。
NIKKOの本社がある石川県とも北陸繋がりですしね。リサイクル樹脂素材という点でも、親和性を感じています。初めて仕事でも関わることができて嬉しかったです。

家族揃っての、朝食時間に

小林さん:"PLACE"のシリーズはLOST AND FOUNDで紹介する他の製品とも相性が良いんです。
朝食にはREMASTEREDのオーバルプレートタンブラーの白がよく映えますし、スープボウル13は実はシリアルボウルとしても最適です。子供のりんごジュースにはBormioli Roccoのホステリアシリーズで大人気分を味わせたり。家族それぞれが好きな色のトレーに、自分に合った器をのせて皆で食べる景色もまた良いでしょうね。全員のカトラリーをバサッと乗せただけでも、そのラフな感じが絵になるというか。

“運ぶ”ことをよりスムーズに行うという、トレーとしての機能をしっかりと果たしながら、キッチンだけでなく、デスクやベッドサイドなどでも活躍してくれそうな汎用性の高さを持ち合わせている。加えて絶妙な色合いが独特で、新しい定番の仲間入りを後押ししている。SEKISAKAの万能トレー、プレゼントとしても喜ばれるはず!

SEKISAKAのすべてのアイテムを見る

小林 和人 @kazutokobayashi
1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生 活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。
「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。

interview & text by Sahoko Seki
photo by Naoki Yamashita

※記事に価格の掲載がある場合、表示価格は投稿当時のものとなります。

記事一覧に戻る