「BAZAAR」第⼆弾開催決定!平林 奈緒美さん×⼩林 和⼈さん 対談

2023/07/11

オープン1周年記念企画として⽴ち上がったマーケットイベント企画「BAZAAR」の第⼆弾開催が決定しました。
アートディレクターの平林 奈緒美さんと、プロダクトセレクターを務める⼩林和⼈さん(Roundabout, OUTBOUND オーナー)の審美眼により、各地“忘れ物保管所”のデッドストックやユーズド品から⼤切なものを集めた“バザー”企画。買い付けを終えたお⼆⼈に、今回のアイテムの魅⼒をお話いただきました。

小林さん:今回もスタッキングアイテムが豊富に揃いました。
前回も反復の美についてお話をしましたが、普段自分の店でも手仕事のものと機械生産のものを両方扱っていて、手仕事の“ゆらぎ”は好きなんですが、機械生産ならではのカチッとした感じもいいんですよね。その中でもフルオートメーションではなく、NIKKOの工場で見たように、最後は人の手で検品していたり…ちゃんと人の手と目をくぐっているものに惹かれます。

平林さん:わかります。

小林さんの今回のおすすめは?

小林さん:季節的にも今回はビールジョッキがおすすめです。この形でスタッキングができるというのが秀逸で、常設のセレクトに入れたいと思うくらいです。ジョッキといえば、子供の頃やっていた、麦茶でビール気分を味わう“ブクブクごっこ”を思い出します(笑)。

平林さん:笑
私的には「Pyrex(パイレックス)」ですね。パイレックス好きの方が自国に帰る際に放出したんでしょうか、大量に出ていて。ロゴのデザインも時代によって色々なものがあり、中にはMADE IN BRITAINのパイレックスもあったりして面白かったです。特にグラタン皿がいいですね、サイズも小降りで使いやすそう。最近ガラスの耐熱食器からなんとなく意識が逸れていて。昔は好きだったんですけど。今回見つけて、はっ!っとしました。

小林さん:それもこの企画の面白さですね。
ものの魅力って、もちろん機能と機能以外の部分の両方あると思っている立場ではいますけど、道具として作られているものは、やっぱり機能がいかに優れているかという部分を見てしまいますね。

平林さん:それはありますね。
そして今回も、小林さんは相変わらずの“計り愛”が溢れていますね。

TANITAの緑の計り、手前はPyrexのグラタン皿

小林さん:そうですね。このTANITAの、身も蓋もないような生っぽい緑の計りはおもしろい。令和の時代には見ない、絵の具のチューブから出したままみたいな緑!

平林さん:なかなか見ないタイプの緑色ですね。でも状態はすごくいいですよね。
私は昔のタッパーウェアがあるとつい手に取っちゃいますね。

小林さん:このタッパーが面白いのは、上から見ると丸いけど、下から見ると四角なんですよね。いい形です。

平林さん:サイズからしてパスタ用でしょうかね?

小林さん:そうかもしれないですね!

――買い付けた後にこの取材で“答え合わせ”をするのが楽しそうなお二人。
頭をやわらかくして、グッとくるデザインがどこからやってきたのか、何のために作られたモノなのかを考えるのも、このバザーの楽しさです。

小林さん:イースターのチョコレート型もありますよ。箱の裏にある作り方の説明文がおもしろいんです。文字組が詰まりすぎてたりして。デザイナー目線でどうでしょう。

平林さん:完成度が低いけどストレートに情報を伝えるためにデザインされているものって、なぜか惹かれますよね。おしゃれであれば良いというものじゃないという。

小林さん:そこに奥深さがありますよね。

小林さん:今回はカトラリーが少なかったのですが、このバターナイフは僕が心の中で思い描くバターナイフの形。これぞ!っていう。
「コップらしいコップ」という、僕の好きなブルーノ・ムナーリの言葉があるんですが、そういうものに惹かれてしまいます。これはとてもバターナイフらしいバターナイフ。

平林さん:計りらしい計りとかね。

小林さん:そうそう、グラタン皿らしいグラタン皿とか。ビールジョッキらしいビールジョッキとか。そういうものって探そうと思ってもなかなか見つからないんですよね。

平林さん:私はこのナプキンリングも好きです。円筒形のステンレスをぶった斬っただけで、オシャレ要素が何もないところがいい。

小林さん:色気づいているところが全くなくていいですよね。潔さがあります。
魅力を感じるものって、逆に色気を感じると言える場合もあるんですが、でもその色気を作り手が出してやろうとすると、途端にいやらしくなるという…

平林さん:デザインの一番難しいところですね。小林さん的に今回のアイテムの中で色気のあるものはどれですか?

小林さん:何の主張もないように見えるこの真っ白なバットには、そこはかとない色気を感じますね。これは出そうと思って出る色気ではないと思うんですよ。
スタイリング的な造形としてのデザインではなく、どちらかといえばエンジニアリング的な、設計に近い作業とも言えると思いますが、そういうベクトルのデザインは、作為と無縁であるがゆえの魅力を感じます。業務用のものはそういうものが多いのかもしれませんね。

平林さん:ですね。しかもこの陶器のバットは機能的に作られているんだけど、金属のものとはまた違う表情があるじゃないですか。そういうところに色気を感じるのかもしれませんね。

小林さん:このあたりのボックスもいろいろと使えそうですよね。

平林さん:実はこの一番大きくて薄いタイプが売れ残ったら、私が買おうと思っています。

小林さん:何に使いますか?

平林さん:家のストックルームの棚に薄くて奥行きのある段が出来ちゃっていて。そこにちょうどいいな、と。色もいい。

小林さん:そうやってその人ごとの住空間のなかで「ここに使おう!」みたいな部分にピンポイントではまると嬉しいですよね。

小林さん:今回は子供用の積み木もあるんですよね。木製品自体が珍しい。

平林さん:我々が道具じゃないものを選ぶのは珍しいですね。
こういうおもちゃはいいですね、ソリッドで美しいし。子供の頃持っていたとか使っていたものの記憶って、結構残っているものじゃないですか。私も、これに近い木で出来た牧場のおもちゃを持ってました。
そういえば、子供が使う食器なんかも、今度手がけてみたいなと思いますね。

小林さん:平林さんが考える子供用食器、とても気になります。

平林さん:子供の頃に家族でよく行っていたレストランがあって、そこのお子様ランチの器はメラミンではなく陶器だったんです。フチに線路が描かれていて、そこに毎回違う電車が乗っていたんですけど、そのお皿が欲しくて欲しくて…。通いつめてもらったことがありました。

小林さん:わあ、いい話...!でも、平林さんはミニマリストのイメージがあるので意外ですね。
そうやって子供の頃に夢があるものをたくさん使って、デコレーション欲を満たしておくというのはやっぱり大事なんですね。

平林さん:いろんなものを経験して辿り着いたシンプルと、最初からシンプルなものにしか触れていないかでは大きく違いますから。

小林さん:そこは確実に強度が違ってきそうですね。うちの娘も幼少期はピンクフリフリ期を経ましたが、やっぱり消化させた方がいいんですよね。親のトーン&マナーは子供に押し付けるものじゃないというか。

平林さん:今の時代、特に日本人がそうだと思うんですが、みんなが正しいことをしようとするじゃないですか。前もっていろんな情報を仕入れて、その範囲内で間違いのないものを揃えていくというか。そういうのはつまらないですね。間違いのないものに囲まれて育つ子供って、どういう感じになっていくんだろうなあと思ったりします。
私の育った家にはオシャレでもシンプルでもない、自分の理解できないものもたくさんあって、好きじゃなかったけど、でも自分の家にしかない懐かしい何かがあったんですよね、そういうものがなくなってしまっている気がして…

小林さん:そういう意味でいうと、緑の計りはいいですよね(笑)

平林さん:これを選ぶ人がいなくなっていると思いますね。この企画では、そういうものを発掘して増やしていきたいですね。

小林さん:“その他”のカテゴリーですね!

平林さん:そうそう、その他のカテゴリーは各自でちょこちょこ集めておきたいですね。一緒に買い付けるのも楽しいですが、海外に行った時とか、運命的な出会いがあるので。

小林さん:バザー目線で日々を過ごすのも楽しそうです。

子ども時代の暮らしの記憶が、大人になってからの暮らしにどう繋がるのか…
是非「BAZAAR」には、直感を大事に、遊び心を持って足を運んでみてはいかがでしょうか。
第二弾は、ガラスやステンレスものも揃い、ぐっと夏らしさあふれるものになりました。もちろん、オールドニッコーと言われる、ニッコーの珍しい食器も並びますよ!
7月26日(水)から8月14日(月)までの開催、是非お越しください。

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