白い器に込められた、愛|行方ひさことJUNNAの石川県訪問 Page2

いよいよ工場へ潜入

REMASTEREDをはじめ、NIKKOファインボーンチャイナの原料となるのは、陶石、骨材、融材、粘土。特に器の白さを左右する白い粘土は、世界でもとても貴重なものだそう。

座布団のように重ねられているのは、これらの原料をまずは粉砕し、細かい泥状にし、そしてろ過して水分を少なくしたもの。
JUNNAさん、思わず座布団の触感を確認!

ここから空気を抜くための土錬(どれん)を行う。
空気が入っていると、成形中に品物が切れてしまったり、焼成中に破裂してしまうことも!そこで機械の中で素地は練られながら、真空ポンプにより脱気することにより、均一で空気の入っていない“坏土(はいど)”と呼ばれるものができあがる。
ここでも二人で触感を確認。
ひさこさん:「滑らかで気持ち良い(笑)!これが焼くと真っ白になるわけですよね。」

原料の状態や天候によって、坏土の触感は毎回異なるため、絶えず人の手によって状態をチェックし、ほんの少しの水分量を調整している。

考え抜かれた機械と、鍛え抜かれた職人の“合わせ技”

続いていよいよ成形のラインへ。
ひさこさん:「陶芸家の方がロクロでお皿を作っているのと同じだけど、すごく早い!」
1日になんと2000〜3000枚の品物を成形できるというロクロ成形のラインが目の前に広がる。
正にロクロと同じ原理で、石膏の型の上に素地を乗せ、石膏型と金属製のコテが高速回転しながら、素地を押しつぶして成形させていく機械だ。
同時に、触れると割れてしまうほどの硬さを、乾燥させて硬めていく。
日本全国、注目の器を作る作家巡りがライフワークにもなっているひさこさんも、この流れに感心している。

機械の側には必ず人が作業をしている。ここでは、女性がスポンジに水を含ませながら、品物を滑らかに整えている。成形の仕上げ作業だ。

ちなみに、成形の際に型からはみ出た素地(坏土)は原料として再利用される。
二人も気になっていたそうだが、貴重な素材、決して無駄にはしない。

ロクロ成形のほか、品物の形状によって成形の方法は異なる。
例えば、REMASTEREDオーバルプレート39はプレス成形で作られる。プレス機に合うよう、坏土をクレープのように薄くのばし、高圧力で成形していく方法。
JUNNAさん:「プレス機に坏土を置いたり、型についた水分を丁寧に拭き取る作業は、人の手によって行われているんですね。」
考え抜かれた機械を見ながら感心するも、結局は人の手がなければ進むことがない流れに驚く。このラインは、1日に400枚ほどの品物を成形できるという。
そのほか、REMASTEREDティースプーン13は鋳込み(いこみ)成形で作られる。坏土をさらに水に溶かして泥を作り、それを石膏型の中に流し込んで成形していく方法。この流れは、ほとんどの作業を人の手によって行なっている。特に石膏型から品物を取り出す作業は繊細で、見ていて息を飲む。

無邪気に石膏型を手にしたひさこさん。
ひさこさん:「作業しているのは女性の方がほとんどだけど、石膏型が重くて大変!」
汗をかく力仕事と、慎重な手仕事が順に繰り返される現場に驚いていた。

美しい品物を見ると、JUNNAさんはすぐにシャッターをきる。

成形が終わると、全ての品物はカッターのような専用の道具を使い、人の手によって、合わせ目の跡を削り取り、さらに削った部分には水を含ませたスポンジで美しい丸みをつけていく。

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