ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。 この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。
今回小林さんが話してくれたのは、Turkの「プレスパン」についてです。
機械と人の、共同作業
キャンプで、餅を4つ焼きたい
ずっとキャンプに行ってみたいと思っているのですが… 直火で28センチのプレスパンに餅を4つのせて、バターでカリッと焼いたら美味しいだろうな(笑)。小さいサイズは目玉焼きとか、このサイズぴったりのパンケーキを焼いたりして。何を焼こうかとワクワクしますね。
見せる収納の迫力と、食欲をそそる姿
このプレスパンは、返しながら炒めるのではなく、じっくりと焼くために使うもの。 持ち手が長く、斜めにスッと立ち上がっているので、持ちやすいです。
日本のキッチンでは収納が大変に感じるかもしれませんが、壁にかけて見せる収納をしたら迫力が出ます。テーブルにそのまま出した時の姿は食欲をそそりますしね。
物と人が歩み寄っていく道具
道具らしい道具のひとつ。 使い始めは金タワシや野菜くずなどで“焼きならす”工程が必要です。そうやって表面の鉄粉やオイルなどが取り除かれ、油膜ができることでサビづらくなるんです。
決して親切な道具とは言えないかもしれないけれど、慣れていくと使いやすい。オートマ車ではなく、マニュアル車のような感じ。
物と人が歩み寄っていく、そういう道具かなと思います。
便利、手軽、簡単…そんな言葉が飛び交う時代だが、 少々大変だとしても、丁寧に手をかけてあげることで、良い“顔つき”になってくる。これが小林さんの言う、物と人の歩み寄りだ。一緒に時を重ねるごとに、愛情がどんどん強くなっていくはず。
長く、愛し続けてもらいたいフライパンの話。
小林 和人 @kazutokobayashi
1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。
「LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。
interview & text by Sahoko Seki
photo by Naoki Yamashita
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Turkといえば、もともとハンドメイドのフライパンが有名ですが、今回はあえて機械生産のシリーズを選びました。
NIKKOの洋食器は機械でピシッと生産されていますが、実はどの工程でも、最後は必ず人の手と目で厳しいチェックが行われています。機械と人の、共同作業。
このプレスパンにも、同じ規格で揃った気持ちよさがあり、機械と作り手で仕上げるという生産工程がNIKKOの製品にリンクしています。
ハンドメイドのものよりやや軽いので使いやすく、キャンプなんかにも持って行きやすいと思います。もちろん、価格的にも買いやすいですしね。