LOST AND FOUND 「飲食店のUTSUWA Vol.4 organ」

2024/08/27

NIKKOとさまざまな取り組みをご一緒している飲食店のプロフェッショナルたち。そんな彼らの器選びにおけるこだわりや器に盛り付ける一品にかけた想いなど、店舗紹介とともに心ゆくまで話していただく連載「飲食店のUTSUWA」、早くも四回目となりました。

今回お話を伺うビストロ「organ」は、2011年に人通りもまばらで昔ながらの個人商店と住宅が混在する西荻窪にオープンし、マイナーだった町に人を呼ぶ存在となった名店。2005年に三軒茶屋の外れにオープンしたナチュラルワインの先駆けビストロ「uguisu」の姉妹店として誕生しました。どちらも厳選されたナチュラルワインとこだわり抜いた食材を最大限に活かした、美しく美味しい料理を提供するお店です。オーナーシェフの紺野真さんは、昨年麻布台ヒルズにオープンした、イギリスのホームファニシングショップ「ザ・コンランショップ」の日本初のレストラン「orby」でヘッドシェフも務めています。人気のブランチメニューを作っていただきながら、お話しを伺いました。

カルチャーの香りが漂う、通い詰めたくなるレストラン

机も椅子もライトも、2つとして同じものが見当たらない店内は、古いものとロック好きな紺野さんらしさがたっぷり詰まっていて、目に入るもの全てがさりげなく、でも完璧なバランスを保っています。ゆっくりとくつろげるカフェのようでも、音楽を楽しむバーのようでもある……月日を重ねるごとに文化の年輪から滲み出てくるような居心地の良い空気感は、「どうぞ好きなように楽しんでね」と出迎えてくれているよう。

1人でも仲間とでもいい、使い勝手の良い雰囲気を作り出しているのは、紺野さんやスタッフの方々も同じように肩肘張らずに楽しもうとする姿勢からくるものなのかもしれません。

レストランは料理だけを提供しているだけじゃない!と紺野さん。店内に置かれたアナログのレコードたちや古いミシン、写真集などが物語る世界観も、その一つ。訪れる度に新しい発見がある店内では、もちろん、スタッフたちとの会話も大切な一つです。

ソースを中心に据えた器選び

父親の仕事の関係でアメリカの大学に通い、西海岸のカフェムーブメントをリアルに感じてきた紺野さんは、帰国後に独学で料理を始め、何かに縛られることなく独自のスタイルで自由に料理してきたといいます。

「デンマークのレストランNOMAが有名になったのは10年くらい前かな、僕もコペンハーゲンや北欧の飲食店に行きましたが、みんなすごく影響を受けましたよね。ノマディック料理ってフランス料理のようなソースを大切とする世界とは違って、発酵や素材そのものが生かされる文化。素材にすごくフォーカスする料理だから和食と親和性がありますよね。NOMAの人たちも日本が大好きで何度も来日していて、影響を受けていると思うんです。だから、素材感のある日本の作家ものの陶器がすごくフィットしたんだと思います。」

カウンターには作家ものの器たちがずらりと並びます。とある作家に特注で作ってもらったものは、作家自らが「オルガン皿」と命名したものもあるんだそう。

「僕もお店を始めた頃から、いち早く日本の作家の陶器を使ってきたし今でも使っています。ただ、僕はクラシックなフランス料理は絶対に外せない。メニューには自分の創作料理だけでなく、必ず『フランスの名前のついた料理』というのを入れるようにしています。例えば、オランデーズソースとかアメリケーヌソースとかね。フランス料理を大切に思うと、ソースが特に大事になってくる。」

「素材感のある作家もののお皿が悪いわけではないのですが、高温で焼いて釉薬がかかっているツルッとした白いお皿が使い勝手が良いなと思って、最近は一周まわって白い磁器を使うことが多いです。昔のフランス料理に使われていた模様の入った器はtoo muchですが、白に金縁の入ったお皿にじゃがいものピューレとブータンノアールなどの料理を乗せるとすごくかっこいいいなと、改めて白い磁器の良さを感じています。」

「NIKKOの器はとにかく強いし、料理の邪魔をしない。表面がツルッとした器でないとソースを流した時に、陶器が吸ってしまったり滲んだりしてイメージ通りにならないことも多い。ソースのラインはパキッと鮮やかにさせたいんです。それに、素材感のある器にフォークナイフや、シルバーのスプーンや箸だとお客様のギギッという音に耳が向いてしまったりしますしね。その点、日本は箸文化だから素材感のある陶器が発達したんでしょうね。そして、heavy-dutyに耐えうるところ。毎日毎日何年も使うものだから、やっぱり強くないとね。」

一周まわって白い磁器のポテンシャルに気がついた

「先日、LOST AND FOUNDに行ってきました。ヨーグルトを入れた蓋付きの器は以前から使っているんですが、今回は変形オーバルのお皿が良いなと思って購入してきました。まだ使ってはないけどグラタン皿もありますし、このお店で購入したお皿だけでも結構たくさんありますよ。」と、購入したばかりのオーバル皿にアスパラとオランデーヌソースの一品を盛り付けてくれました。

「普通のオーバルじゃなく、少しぽってりしたフォルムがいいなと思って。これ、なんとも言えない形が他になくていいね!」

器のことは常に考えていて。定期的に器屋などに足を運ぶ、と紺野さん。いつも即決で購入するそうです。
「どんな料理に合うかなと少しは考えますが、ほとんどは直感ですね。」

人気のブランチタイムは毎週土・日の12時から15時まで。昼飲みにぴったりなナチュラルワインの魅力をさらに引き立てる朝食系、野菜系、魚介系、お肉系と様々なアラカルトたちが、食べやすい小さめなポーションでラインナップしています。ブランチメニューはバチっと決めすぎずに、当日の気分やイメージで少し変えたりしながら気負わずに作るそうです。ぜひ一度訪れて、この世界観の中で絶妙な食材の組み合わせやこだわりのソースを楽しんでいただけたら!

紺野さんのお気に入りが溢れる店内で、ニュートラルな存在感を放っている白いNIKKOの器とのバランスにも注目していただけたら嬉しいです。

<店舗情報>
organ.
https://www.instagram.com/organ_tokyo/
住所:東京都杉並区西荻南2-19-12
電話暗号:03-5941-5388
営業時間:火・水・木・金 17:00-23:00 ( L.O 21:00 それ以降にご入店の場合はワインバーとして利用可)
土・日 12:00-15:00 ( L.O 14:00 )   /  17:00-21:00 ( L.O 20:00 )
定休日:第4火曜とその翌日の水曜

<記事内紹介商品>


花のかたち 10.5cmボックス (ニッコー公式オンラインショップ)


UYUN 26cmオーバル (ニッコー公式オンラインショップ)

Interview & text Hisako Namekata
Photo by Naoki Yamashita

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