「継ぐを繋ぐ、その一歩に」堤淺吉漆店の金継ぎコフレを使ったワークショップ 体験レポート

LOST AND FOUNDオープン当初からラインナップしている人気アイテムの1つに、堤淺吉漆店の金継ぎコフレがあります。明治42年に京都に創業以来、漆生産者から原料となる漆樹液を仕入れ、黒や朱色など様々な用途目的にあった漆を精製・調合・販売している老舗漆専門店です。今回は、この堤淺吉漆店のスタイリッシュな金継ぎコフレを使った初心者向けのワークショップを行いました。

堤淺吉漆店(ツツミアサキチウルシテン)

日光東照宮をはじめ、国宝・重要文化財建造物の修復や、国内外の漆芸作家、職人たちに漆を提供する漆原材料メーカー。日本産漆取り扱いトップシェア。一方で、近年の漆需要減少に危機感を感じ、2016年から漆普及活動「うるしのいっぽ」を始動。さらに漆の新しい価値観や可能性を伝える「BEYOND TRADITION」を立ち上げ、環境負荷のない漆塗り木製サーフボードをアイコンに「人と地球にやさしい漆の価値」を世界に発信。さらに木と漆のストロー/suwなど、循環可能なプロダクトも制作し、共感を呼んでいる。
第三回三井ゴールデン匠賞授賞。ジャパンクラフト21第一回ロニー賞授賞。
Instagram:@tsutsumi_urushi

金継ぎは割れたり欠けたりしてしまった陶器などを漆で繋ぎ、修復する技法のことですが、そもそも皆さん“漆”のことをご存知でしょうか。まずは、「漆」についての簡単な説明を。

漆は日本をはじめ中国、朝鮮半島などで採取・使用されてきたウルシの木の樹液です。樹の幹に傷を付けると出てくる樹液は、古来から木の保護や接着剤としても使われてきた自然の樹脂です。10年~15年の成木から牛乳瓶1本分ほどしか採取出来ない、貴重な自然の恵みです。

およそ12,000年前の漆の木片が見つかっていることからも、かなり古くから使われてきたものであると言えます。 耐熱・耐湿・抗菌・防腐に加えて独特の光沢を得られるので、ただ美しいだけではなく実用的だからこそ長く使われてきました。漆は世界最古の天然塗料であり、強力な接着剤とも言われているんです。

長く愛用できる日用品を販売するLOST AND FOUNDでは、皆さんがお持ちのお気に入りアイテムも、より深く使い続けることができるように、金継ぎコフレを販売しています。

今回の金継ぎワークショップでは、欠けてしまっているニッコーの食器またはご持参いただいた食器を使用し、「器が割れている場合」と「器が欠けている場合」の2つに分かれ、それぞれの方法で接着を行いました。

「器が割れている場合」は、小麦粉と生漆を混ぜてつくる麦漆を作って接着をし、「器が欠けている場合」は、砥の粉トノコと生漆を混ぜてつくる錆漆サビウルシを作って欠けを埋めていきます。

漆は、湿度と温度が高いほど早く硬化する特性があります。特に接着に使用する麦漆の硬化には1週間以上を要します。今回のワークショップは、完成までの工程説明を受けた上で、最初の工程である麦漆で接着または錆漆で穴埋めに挑戦し、マスキングテープで補強して終了!所要時間は、全て含めて2時間程度です。

「ムロ」と呼ばれる箱をつくり、動かさないよう触らないようにその中で保管します。

参加してくださった皆様からは、「割れても取っておいてよかった!愛着が増します。」「久しぶりに集中しました。気持ち良い時間でした。」など様々な嬉しい感想をいただきました。

こちらの堤淺吉漆店金継ぎコフレは、小麦粉やサラダ油といった、どのご家庭でも用意できるもの以外は道具を含め全て揃っている、ほぼオールインワンの優れものです。コフレの中に入っている冊子に、金継ぎの説明をしている動画サイトのパスワードが書いてあります。それをご覧いただければご自分でも簡単にトライすることができます。

初めて挑戦する人を想定して作られている動画はとても分かりやすく、金継ぎは難しいのでは?と手を出せずにいる人の敷居を低くしてくれるはず。動画は工程に沿って数回に分かれていて、とても見やすい! 準備から片付けまでスムーズに行うことができます。モノも情報も溢れている時代に、壊れても直して使い継ぐという、やさしい価値観をぜひ一緒に見直してみませんか。

とはいえ、はじめてのことで一人では自信がない、重い腰が上がらないという方も多いと思います。
本ワークショップは、大変ご好評につき、定期開催を行っております。
LOST AND FOUND ウェブサイト、Instagramなどで随時開催日程を更新しております。ぜひご一緒にいかがでしょうか。皆様のご参加をお待ちしています!

<記事内紹介商品>
堤淺吉漆店 金継ぎコフレ
¥16,500

text Hisako Namekata

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