捨てられる食器から生まれた肥料「BONEARTH®(ボナース)」が発売となりました。
LOST AND FOUNDでも大人気となっている「REMASTERED」を含む、純白で丈夫な「NIKKO FINE BONE CHINA」ニッコーでは1978年ファインボーンチャイナの生産を開始しました。 その特徴は、群を抜いた透光性と優れた強度。 その密度は、50%にまで高められたボーンアッシュの含有量にあります。 通常50%を超えると成形が困難とされていたものを、研究を重ねた末に見事に実現。 それが、世界一とも言われる純白のボーンチャイナをつくりだしています。をつくる際に工場で出る不合格品を有効活用し、植物の肥料として開発した商品です。
世界一白いとも評されるファインボーンチャイナの器と同じく、この肥料も美しい白さが一際目を引きます。
食器が植物の肥料になる!?
しかし、そもそも器が植物の肥料になるのかという疑問が真っ先に浮かびますが……NIKKO FINE BONE CHINAの原料には、石や粘土に加え、牛骨の灰(食肉加工されて残った牛の骨を溶解再合成)があります。その牛骨灰に含まれるリン酸三カルシウムが肥料として有効とのこと。NIKKOが肥料化してリサイクルする技術を確立し、2022年2月10日に農林水産省で肥料登録され、いよいよ発売となったのです。
リン酸は、開花や結実を促進させ、果実の成熟や品質向上にも働きかける植物が育つ上で重要な栄養素。実際に共同研究をした石川県立大学の実験データでも、ボナースが肥料として効果があると実証されました。
肥料としての価値と、化粧砂としての価値
ボナースの特徴は、臭わない/長期保存できる/肥料効果が長期間持続する/白く映える化粧砂として使用可能という点。
土に混ぜて肥料にすることはもちろん、鉢の表面にも敷き詰めたら、持ち前の潔い白さが清潔感を演出し、さらに土埃が舞うのも防いでくれるという優れたアイテムなのです。
白い器に料理が供されたときの高揚感を、白い化粧砂から顔を出す植物の凜とした姿を見たときにも感じることができるはず。
陶磁器事業の真の循環社会とは
NIKKOが目指す陶磁器の循環社会に向けての歩みは、このボナースのデビューはまだスタート地点に過ぎないといいます。
まずは工場で出る食器の不合格品を肥料にすることに成功したわけですが、その先には、もちろんホテルやレストランで実際に使用された自社品の回収の取り組みがあります。それが可能になり、ボナースによって畑で育てられた食材がレストランに渡り、真っ白な食器に料理として供されたとき、思い描く「循環」にまた一歩、歩みを進めたことになります。
そしてさらには、他社品を含めて広く回収し、ボナース以外のリサイクル商品の製造販売を行なっていく。食に関わる業界が動いてこそ、真の循環社会を作り出すのです。
幸せな食事の時間に、素材と器のストーリーに想像を巡らせることができる社会の実現に向け、毎日プロジェクトは進んでいます。
人も植物も同じ素材からできた道具で生活する
さて、ボナースがきっかけでさらに新たなプロダクトが誕生することを最後にお伝えしておきましょう。
NIKKOと、デザイン・イノベーションファーム「Takram Japan」がタッグを組み、ボナースを用いて卓上で使う美しいプランター「Table Planter(テーブルプランター)」を発表。これはLOST AND FOUND TOKYO STOREでも夏頃から販売される予定です。
Takramのプロダクトデザインチーム4名とプロダクトデザイナーである鈴木元氏デザイナーがボナースを用いて作り出すプランターの数々。食卓の上で可憐に生きる植物が、私たちの生活を彩り、新しい価値を生み出します。
人も植物も同じ素材からできた道具で生活する
私たちは、どうしたらまた自然とのいい関係を築いていけるのか。
NIKKKOが歩み始めた一歩に、消費者として、パートナーとして……多くの方の心が動くことを願っています。
text by Sahoko Seki
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