時代を明るくリードしてくれる、様々な分野にまつわるプロフェッショナルたち。そんなプロたちが選んだお気に入りのセレクトアイテムとともにお送りする「行方ひさこのLOST ANDFOUNDなLIFE」。仕事でもプライベートでも、たくさんのものを見て、真摯に向き合ってきた彼らたちだからこその、ものを選ぶ時の視点やこだわり、ものと向き合う姿勢などを掘り下げていきます。
太田メグ / MEG OHTA
今回は、SUNDAY ISSUE ディレクター太田メグさんをゲストにお迎えしました。実ははじめましてだったのですが、かなり前から刺激的なお取り組みをされている方として知っていたので、お会いするのを楽しみにしていました。共通の知り合いも多く、20年以上前から活動拠点がかなり近かったこともわかり(ここで書けないことばかりで盛り上がりました)、過去と現在を一瞬で行ったり来たりしている気分で色々とお話しを伺うことができました。
SUNDAY ISSUEとは
まずは、メグさんがディレクターを務める「SUNDAY ISSUE」について。
「SUNDAY ISSUE」は、2010年から5年間の間運営されていた、ギャラリースペース・ブックコーナー・ラウンジバーという3つの要素を併せ持った、渋谷の文化を牽引する新しいスペースでした。オープン当時はかなり話題になり、今までとは少し違った時代を作っていく自由な感性を感じていました。現在はアートに関わるイベントのディレクションや、商品プロデュース、アーティストマネージメントなどを行う会社屋号となっています。
「SUNDAY ISSUE」というネーミングは、新聞の日曜版のイメージから生まれ、文化や関心ごとが集まる場所でありながら、のびやかな雰囲気が感じられる空間でありたいという気持ちを込められて名付けられたもの。お話しを聞いて驚いたことに、こちらのロゴのデザインは、LOST AND FOUNDと同じアートディレクターの平林奈緒美さん!ネーミングやコンセプトもアドバイスをいただきながら、一緒に作り上げていったそうです。
考える場所や機会を提供する
そして、「SUNDAY ISSUE」の中から生まれたプロジェクトの1つが、いまメグさんが最も愛を注いでいる「Cat’s ISSUE」。猫好きなアーティスト、デザイナー、編集者、歌手など様々なクリエイターたちとともに、ネコへの偏愛を発信するプロジェクトです。2014年から様々ネコ企画のプロデュースを行い、POP UP STOREでの商品販売や、番組制作など多岐にわたる活動を行い、利益の一部をネコの保護活動に支援しています。
7歳になる男の子のお母さんでもあるメグさんは、コムタンというネコとご主人との4人暮らし。ネコネイティブな子供に育てたい!と息子さんが生まれた時から、ネコとの暮らしを大切にしているそうです。
実際にどんな想いで「Cat’s ISSUE」活動しているのかお伺いしました。
メグさん:アートキュレーター時代は、作家さんや作品が既に持つストーリーを見つけてきて展示をさせてもらっていましたが、今はもっと直接的に受け取る側が読み解いたり、ヒントを得て考えていく、という体験を提供したいんです。
「Cat’s ISSUE」も、猫との暮らしをみんなで考えていく機会を作りたくて。今の時代ならではの猫がいる暮らしの楽しみ方をみんなで考えていこう!という場所を作りたかったんです。
商品開発も、ただネコの柄がついていればいいというものではなく、そこに1つ物語性があったり、様々な活動をしている作家さんと一緒に作るということに意味があるんです。作家さんへのリスペクトによって、その方の世界観を取り込んで提案していきたい。マーケティング的な商品作りではなく、アートよりなモノづくりをしていきたいです。みんながなんとなくいいな、欲しいなと思っているけれど、まだ形になっていないモノを作っていけたらと思っています。
モノを選ぶ、ということ。
アートキュレーション、イベントプロデュースからモノづくりまで幅広く活動しているメグさんのアウトプットへの考え方の基本をお話しいただいたところで、LOST AND FOUNDから選んでいただいたお気に入りアイテムについて掘り下げていきます。
まず、REMASTEREDの小さなオーバル皿〈オーバルプレート13〉を選んでいただきました。これは5サイズあるオーバル皿の中で一番小さいサイズなのですが、どんなふうに使いたいですか?
メグさん:ネコ用、人間用と器を分けたくない、お揃いの器で食事をしてもいいんじゃないかと思っています。ネコは手が使えないから、舌だけで食事をします。だから器が軽すぎても動いてしまってダメだし、リムの立ち上がりの角度や広さなど食べやすいモノを選んであげていますね。自分のギャラリーでも陶芸家さんの作品を扱っていたこともあり、器を選ぶことは大好きなんです。これは、リムの立ち上がりもあって、サイズ感もネコにもちょうど良く、人が使ってもがとっても可愛いですよね。
次に選んでいただいたのは、〈OTTINETTIミニソースパン片手・中型12CM〉です。モノを選ぶ時に大切にしていることはどんなことですか?
メグさん:実用性はもちろん、見た目の良さを兼ね備えていることですね。調理後、そのまま食卓に出せるのはとてもいいですよね。小さい鍋ってお子さんがいるご家庭では、すごく使えると思います。茹で卵はもちろん、アヒージョとか……蓋もおしゃれでさすがMADE IN ITALYですね。
OTTINETTIは、1920年に創業した老舗調理器具メーカーで、ミニソースパン片手には浅型と深型もありますし、両手も小さいシチューポットのようで可愛いですよね。アルミ製ソースパンにセラミックポットがセットになっているので、あらかじめ仕込んでおいた料理をアルミ鍋の本体にセットしてのサーブができます。真鍮の持ち手は、もちろん熱くならないから安心です。
※OTTINETTI ミニソースパンは、アルミ鍋にセラミックポットを入れた状態での直火使用はできません。セラミックポットが割れる恐れがございます。
※セラミックポットは耐熱性で、オーブン・電子レンジでの使用が可能です。温めた後にアルミ鍋にセットしてご使用ください。
そして、お掃除道具もかなり興味を持たれていましたが、男のお子さんはやっぱり汚します?
メグさん:子供は砂を持ち帰ってくるので、家中砂だらけになります。(笑)
それで、このスウェーデン製の〈IRIS HANTVERKちり取りブラシセット〉を選んだのですね。
これも必需品!うちはとにかく、どこからともなく砂がやってくるし(笑)。広めのベランダがあるので、砂だけでなく落ち葉などもあります。ベランダでネコと子供と過ごすことが多いのですが、良い掃除道具をずっと探していたんです。これも実用性とデザインのバランスがとても良いですよね。厚みのあるハンドルはとても握りやすいし、腰を曲げなくてもよい長さもベスト、そして軽量!何より片付けずに出しておいても絵になる洗練されたデザインが嬉しいです。(笑)
メグさんが必要だと思う物でも、本当に必要なのかどうかをしっかり家族で再検討するそう。デザインと実用性とがベストでないと購入に至れない、でもその反面、実用とは全く関係なく「遊び心だけ」で欲しい!と思ったものはフィーリングでわりとすぐにパッと買ってしまいます、と話してくれました。
実用的に必要なものを一つひとつしっかり吟味し、少ないモノでシンプルに暮らすことと、生活の中での「楽しみ」は別枠で考え、どちらも大切にしているからこそ、その、審美眼がさらに磨かれていくのかもしれません。それは、メグさんのモノ作りの姿勢にも通じるものがあるのではないかと感じました。
interview & text by Hisako Namekata
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