小林和人が選んだもの「たわしの話」

2022/01/24

ひとつの物について深く探っていくことで、物選びがグッと楽しくなる。
この連載では、LOST AND FOUNDセレクター・小林和人さんが、このお店で選んだアイテムの中から毎回ひとつをピックアップし、とことん話します。

今回小林さんが話してくれたのは亀の子束子の「白いたわし」についてです。

ご飯茶碗とたわし

小林さん:ここ何年か、朝は納豆ご飯と決めています。
ご飯茶碗ってすぐに洗いたいじゃないですか。夜は浸けておいて時間が経ってから洗ったりしますが、朝はそんな悠長なことを言っていられないので、食べ終わったらすぐに洗いたい。そんな時に柔らかいスポンジだとご飯粒が残っちゃうし、固い面だとご飯粒が隙間に詰まっちゃうし…。どうにかしたいと思っていたのですが、出会ったんですよね!

リュウゼツランの麻

小林さん:亀の子束子といえば、茶色のパームヤシのものがまず思い浮かびますが、この白いたわしも見逃せません。あまり知られていないのですが、サイザル麻を使っていて、高い柔軟性と吸水性が特徴。サイザル麻は、リュウゼツランという植物の繊維なんです。アロエを大きくしたような…、テキーラの原料としても知られています。吉祥寺『OUTBOUND』(@kazutokobayashi)の店先にも飾っていて、私にとっては馴染みのあるもの。

長い皿洗い歴で見つけた名品

小林さん:リュウゼツランの綺麗な繊維はとてもしなやか。茶碗やフライパンの隅っこのカーブに沿うような丸い形も使いやすいです。皿洗い歴が長い私は、ずっと洗うための良い道具を探していたのですが、見つけましたね。
やさしい繊維なので、足の裏にも使えるかも!笑

使い方の発見を

小林さん:石鹸置きにも良いですよね!洗濯用石鹸をたわしの上に置いて、ちょっと汚れたシャツの襟をブラシで洗うセットに。皆さんにもどんどん使い方を発見してほしい。
私のモノ選びの基準のひとつとして、“いろんな使い方ができる”というのは重要な要素です。とてもシンプルな姿をしているけれど、たくさんの側面を持っているモノが好きです。発見があると、そこからまたどんどん愛着が湧いてきて面白いんですよね。

たしかに、角度を変えてみればモノの使い方は様々かもしれない。固定概念にとらわれることなく、使い方を考えるモノ選びの時間は楽しい。是非そんな時間をLOST AND FOUNDで体験してみていただきたい。
余談ですが、小林さんの最強朝食は、納豆にめかぶ、じゃこをのせ、ごま油で和えたもの。毎朝お茶碗に2杯を食べるそう!

<記事内紹介商品>

小林 和人 kazutokobayashi
1975年東京都生まれ。1999年多摩美術大学卒業後、国内外の生活用品を扱う「Roundabout」を吉祥寺にオープン(2016年に代々木上原に移転)。2008年には非日常にやや針の振れた温度の品々を展開する「OUTBOUND」を始動。両店舗のすべての商品のセレクトや店内ディスプレイ、展覧会の企画を手がける。
LOST AND FOUND」ではセレクターを務める。

interview & text by Sahoko Seki
photo by Naoki Yamashita

※記事に価格の掲載がある場合、表示価格は投稿当時のものとなります。

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