MING TREE Ⅱ発売記念 グラフィックデザイナー・小林一毅さんインタビュー

NIKKOが1957年に発売した生命の樹を絵柄にした「ミングトゥリー」という歴史あるコレクションを、グラフィックデザイナー・小林一毅氏のデザインによって「MING TREE Ⅱ(ミングトゥリー  セカンドエディション)」として発売することを記念して、スペシャルインタビューをお届けします。

小林一毅/こばやし・いっき

グラフィックデザイナー。1992年滋賀県生まれ。女子美術大学、多摩美術大学非常勤講師。
多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業後、資生堂クリエイティブ本部でのデザイナー勤務を経て、2019年独立。2024年、南方書局より画集「言葉が立ち上がるまえに」を刊行。2026年1月には南方書局より画集「小さなウインドウで見る」を刊行予定。
Instagram:@kobayashi.ikki

ーー通常ひとつのお皿のコレクションを作るのには、約半年ほどの期間をかけますが、「MING TREE Ⅱ」のプロジェクトには約1年もの歳月がかかりましたね。

一毅さん:「はい、何枚も何枚も描きましたね。図案を描く行為というのは、僕の場合その日のコンディションに結構左右されるんですね。いい線が引けるようになるまでに数日はかかります。ひと線目ですぐにパッといい線が引けるわけではなくて、ある程度集中して描き続けることで良くなるし、期間があいてしまうとどうしても線質が落ちてしまうんです」

ーーベースの図案が決まるまでは描き続けたということですね。

一毅さん:「そうですね。どうしても手の動かし方などで少し変わったりして、前に描いたものと統一感がなくなってしまったりということが起こりうるんです」

ーーパソコンでグラフィックを起こして…ではなく、一つひとつ手描きで作っていく工程によって、NIKKOとしても思い入れがどんどん深くなっていきました。

一毅さん:「僕にとってもそう言えます。手が覚えるという感覚でしょうか。期間があまりに長すぎちゃうと、どんどん手際が良くなっていって。最初のころより時間もかからなくなり、軽やかになりながらも実はちょっと『めんどくさいなぁ』みたいな感覚も出てくるんです(笑)。でも自分の生活圏の中にこのお皿が入ってきているということなんですよね。それってすごいことで、それだけの作品だと思いますね」

ーーデザインが決まったときはどんな気持ちになりましたか?

一毅さん:「『これでいきましょう』とGOが出たときは『終わった…』という一言。それは突き放す言い方ではなくて、日常の中にあった一つのルーティンに区切りがついたような、運動会の練習が終わったような感覚に近いのかもしれません」

ーーそもそもこのプロジェクトのご相談をする前から、REMASTEREDを使っていたんですよね。

一毅さん:「そうなんです。広島にあるジェネラルストア『84(はちよん)』さんでロゴやショッパーをデザインしたのですが、そのタイミングでお店の中でREMASTEREDに目がとまったんですよね。そうしたら、ものすごく丁寧にREMASTEREDの想いについて話をしてくれたんです。彼らはただ器を差し出すのではなく、コンシェルジュのようにその背景なども説明しながらこちらの要望を聞いて、棚にある商品だけでなくバックヤードからぴったりの商品を持ってきてくれるような姿勢を持っている方たちなんです。そこでREMASTEREDを初めて購入しました」

ーーそれは嬉しいお話です。

一毅さん:「REMASTEREDを使っているとご飯を作るのも、食べるのも楽しくなるじゃないですか。そこで今回のお話をいただいたので、とても嬉しかったです」

ーー平面で描いているのと、実際に立体としてお皿になったときの違いや難しさはありましたか?

一毅さん:「そうですね、やはりバランス面は難しかったですね。紙で描いているときとは見え方が異なるので、最初はみちっと全体を埋めた方が印象がいいのかなと思ったのですが、器に入れてみると抜けがなくてあまり良くないなと。余白を積極的に入れることの方が今回は重要なのだと思いました」

ーーご自身でゼロからデザインするのと、今回のようにオリジナル版があるのと、大変さはどのように異なりますか?

一毅さん:「今回は特に、オリジナルを描いた人が誰かもわからず、言葉が残っているわけでもない。でも描けば描くほどクオリティの高さに気づかされ、これと対等に渡り合えるようにしなければという、いつもとは別のプレッシャーがありました。多分誰よりもこの絵柄を見たと思いますし、頭の中にも焼き付けました。見れば見るほどファンタジー感があって、これを会社の内部の方が描いていたと思うと、NIKKOさんはすごいなぁと感じました」

ーーMING TREE Ⅱは一毅さんのご自宅でも活躍しそうでしょうか。

一毅さん:「しますね。このプロジェクトのはじまりは、まずはオリジナルのミングトゥリーを使わせてくださいと言って、数ヶ月使うことでした。自分の生活に馴染ませることからスタートさせていただき、そこから1年かけて、今度はMING TREE Ⅱを使うのがとても楽しみです。
僕はミコト屋さんの野菜を定期便でお願いしているのですが、実はあんまり料理をしなくなっていて。彼らの野菜がおいしいので、塩焼きや蒸したりして素材そのものを食べるくらいが僕にはちょうど良いんですよね。どんどん調理がシンプルになっちゃって(笑)。でも、子どもの好きな卵料理とか、またじっくり料理を楽しみたくなりました」

小林一毅さんの新たな表現によって、また次の100年、もっと先に続くミングトゥリーが「MING TREE Ⅱ(ミングトゥリー セカンドエディション」として遂に完成しました。さらに一毅さんが描き続けた絵柄を、シルクスクリーンのポスターとして限定20枚、サイン入りで販売することも決定。是非店頭でご覧ください。

【ミングトゥリーとは】
NIKKOのミングトゥリーは1957年(東京タワーが完成する1年前)の発売以来、日本だけでなく欧米のご家庭でも広く愛用されてきました。長きに渡って硬質陶器に銅板絵付けで製造してきたミングトゥリーを、NIKKOの高い転写紙技術を駆使して純白のNIKKO FINE BONE CHINAに絵付けし、「MING TREE」としてリボーン。純白の素地だからこそ表現できるより繊細で美しい絵柄に加え、業務用にも耐えうる強度を兼ね備えました。
そして今回、その歴代シリーズを小林一毅氏とともに再解釈し、新デザインとして「MING TREE Ⅱ」が誕生しました。ミングトゥリー/生命の樹は、万物の根源的な命を樹木になぞらえたもので、ペルシャ・インドやアジア各地で生まれ、ヨーロッパにも伝わった普遍的な図案です。絵柄は「豊饒」「健康」「繁栄」の歓びを表しています。

<記事内紹介・関連商品>

Interview & Text by Sahoko Seki
Photo by Yuuki Furue

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